やる気を出すためのタイムプレッシャーテクニック
今回は、「やるべきことを効率的にこなすための時間活用法」について話していきます。紹介するのは、タイムプレッシャーと呼ばれる心理テクニックです。
以前話した学習の心理学のときにも少し触れましたが、最も効果的で簡易的な活用法のひとつに制限時間を設けるという方法があります。
今回はその制限時間を使ったタイムプレッシャーテクニックについて詳しく話していきます。
多すぎる時間はやる気が無くなる原因になる
実は私たちは無限に時間があるときよりも、時間に限りがある方が集中できます。
たとえば、勉強をこれから始めようとするときに30分以内に1ページを終わらせるだとか、ひとつの問題に5分以上時間をかけて考えてはいけないといった時間的な制限を設けることがやる気を出すのに効果があります。
もちろん、これは仕事の場合にも使えます。メール確認は5分以内とか書類整理は11時までに終わらせるといった状況に使えますね。
タイムプレッシャーテクニックを使う3つのメリット
脳科学者として著名な茂木健一郎先生は、この作業に制限時間を設けるテクニックのことをタイムプレッシャーと呼んでいます。ひょっとしたらテレビで聞いたことがある人もいるかもしれません。
このタイムプレッシャーを自分にかけるということは、ただ単に作業を早くする、やる気を起こさせるということ以外にも心理的に3つの大きな意味を持っています。
ダラダラ癖、先延ばし癖の予防になる
タイムプレッシャーテクニックのメリットの1つは、ダラダラ癖を改善したり予防することができることです。
私たちは自分に許された作業の持ち時間が多ければ多いほど、無意識にその時間をいっぱいに使おうと自分で作業スピードを遅めてしまうという悪い癖があることが心理学の研究結果からわかっています。
制限時間がなく自由に時間が使えると、たくさん時間があるからと考えて、どうでもいいような作業にも時間を割いてしまったり手を抜いてダラダラ作業してしまうようになるのです。
これはセルフハンディキャッピングと言って、「いろいろやることがあったからうまくできなかったのは仕方ないよ」と自分に言い訳をしてしまう原因にもなります。
作業の数値化で自己分析することができる
2つ目のメリットは作業時間という数値を設けることで、自分の能力を数値化して自分を客観的に眺めることができるようになるということです。
この客観視ができるかどうかで、前回の学習の心理学のテーマでもある「自分の能力に合わせた難易度の最適化」の精度が大きく変わってきます。
自分のことを客観的に数値化できないと、きちんとしたレベル合わせがうまくできませんからね。
ゲーム性で勉強や仕事が楽しめるようになる
3つ目のメリットはゲーム性です。
ゲーム性があるかどうかでその作業自体を楽しめるかどうか、さらには集中できるかどうかが決まってくると言っても過言ではありません。
楽しいことをやるときと、楽しくないことをやるときのモチベーションが全然違うのは誰でも簡単に想像できるだろうと思います。
そこで作業の中に制限時間を設けて「何分以内にクリアするぞ!」とゲーム性を自分で作ってしまうことで楽しい上に集中力がつき、作業のスピードが上がるといった一石三鳥のお得な効果があります。
時間を制するものはすべてを制する
以上がタイムプレッシャーを使った心理テクニックの3つの大きなメリットでした。もう一度まとめますと以下のようになります。
- ダラダラ癖、先延ばし癖の予防
- 作業の数値化で自己分析が可能
- ゲーム性で勉強や仕事が楽しめる
というわけで、ダラダラ癖の予防しながら、自分自身を客観視して調子に乗らないように注意し、最終的にはその作業自体を楽しみながらやるために、仕事でも勉強でもスポーツでも、制限時間を設定してから作業を始めることをおすすめします。