理想のビジネスパーソンはどっち?
これまでも仕事の成功を決める能力については何度か話してきましたが、今回の研究もこれまで話してきた心理学の話と合致する内容となっております。
仕事のことで悩んでいる人は参考にしてみてください。
世の中には大きく分けると、とにかく仕事ができるけれど性格が冷たい人と、仕事はあまりできないけれど人当たりが良くて一緒に働いていて心地の良い人の2パターンのビジネスマンがいますよね。
というような感じです。もちろん、両方できれば良いに越したことはありませんが、どちらかを優先しなくてはいけない場合には、私たちはどちらを優先して行動していけばいいのでしょうか?
今回はそんな問いに答える研究を紹介していきます。
理想的な職場はどっち!?
理想的な職場環境に関する質問でも、この二極化はよく話題に挙がっては盛り上げるテーマです。
例えば、「人間関係が良くて働いて楽しいけれど給料は少ない仕事、人間関係はあまり良くなくて働くのも楽しくないけれど給料は高い仕事、どっちを選ぶ!?」みたいな質問です。お金を取るか、人を取るか、という二者択一の質問ですね。
人によって考え方の違いはあるかと思いますが、結局のところ、心理学的には私たちはどちらの選択をする方が人生をより豊かにできるのでしょうか?
実は単純にその人が仕事ができるかどうかよりも、コミュニケーション能力が高く、うまく人付き合いもできるかどうかという特徴の方が、私たちの社会では重視されより高い評価を得られる傾向があります。
・愛される人に共通する9つの性格的特徴と、愛される技術の身につけ方!(前編)
成功に必要な3つのコミュニケーションスキル
アメリカ、コーネル大学のジョン ブルデュー博士は、アメリカで管理職についているビジネスマンを対象にビジネスにおける成功と性格の関係を調査しました。
博士は、約400名のビジネスマンを対象にアンケートに答えてもらい、年収、地位、ビジネスにおける契約の達成度、仕事の楽しさなどのデータを取りました。
そして同時に以下の性格傾向にも答えてもらえました。
神経質傾向、外向性、新しいものに対する好奇心、気立ての良さ、目標に対する意識度(明確な目標を自覚しているかどうか)といったものです。
これらの結果を分析してみたところ、成功しているビジネスマンには共通の性格傾向があることが見つかったのです。
研究によると、仕事で成功するための性格的ポイントは3つ見つかりました。それぞれ仕事のパフォーマンスに影響する力の強い順に、外向性の高さ、神経質傾向の低さ、気立ての良さです。この3つの性格的な傾向がある人ほど、仕事で好成績を収めて成功していたのです。
・成功に必要な3つのスキル
- 外向性の高さ
- 神経質傾向の低さ
- 気立ての良さ
心を開いている人ほど仕事ができる!
外向性の高さとは、他人に対して広く心を開いている指標です。
一人で好きなことをして時間を過ごすよりも友達や家族と過ごすことが好きな人たちは外向性が高いとなります。つまり、外向性が高い人というのはコミュ力の高い人たちです。
わかりやすい例で言うと、パリピのような人たちイメージしてくれると良いかと思います。人と接するのが好きで人見知りもあまりしないし、人付き合いに対しても不安を感じていない人はこの外向性が高いのです。
・愛される人に共通する9つの性格的特徴と、愛される技術の身につけ方!(前編)
外向性が高い人が成功できる心理的な理由
どうして外向性が高いと仕事でも成功しやすいのかというと、私たち人間が社会的な動物であり、仕事の内容も色んな人の協力や援助がなければ成り立たないものだからです。
人付き合いが好きだったりコミュニケーションが上手い人ほど様々な人と繋がれるだけではなく、繋がった人たちと良好な人間関係を築きやすくなります。そして、そのおかげで日々の仕事もスムーズに運ぶようになり仕事の成果が上がるようになるのです。
さらには職場の人間関係が良好だと、私たちは仕事のストレスをそこまで酷く抱えることがなくなります。そのおかげで仕事の満足度も上がり、仕事に対しても積極的に取り組めるようになるのです。
・仕事のストレスは何で決まるか?一番心理的にキツいことは常に〇〇!
好かれる一番の秘訣は気立ての良さ
外向性が高いだけでもコミュニケーションは取れますが、そこにさらに気立ての良さが加えることで、ただ明るいだけではない、相手を思いやったコミュニケーションが取れるようになります。
パリピが苦手だという声もよく聞きますから、ただ外向性が高いだけではなく、この「気立ての良さ」を持っているかどうかが人に好かれる大きなポイントとなっているのでしょう。
博士もまた、気立ての良い人はどんな人ともうまく付き合えることができるので、そのおかげで仕事に対する満足度も高くなるのではないか、と研究の中で指摘しています。
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仕事のストレスを感じないためにも必要なスキル
さらには、実は仕事のストレスに関連する他の心理学研究でも、職場の人間同士の衝突や人間関係の悪さが最もストレスを高める要因になっていると指摘されています。
私たちは自分たちが思っている以上に人間関係の問題で悩みやすい性格を持っているのです。
なので、それくらいあなたを取り巻いている人間関係の心理的影響力は大きいのだなと思っておいてください。
やるべき仕事をこなすために必要なスキル
そして神経的傾向の低さですが、この神経的傾向が低いと細かいことを気にしすぎないようになるので、柔軟な思考を持って仕事に取り組むことができるようになります。また、新しいアイディアを生むためにも必要なスキルでもあります。
神経的傾向の低い人は細かいことをあまり気にしません。そのおかげで対人関係に対しても落ち込んだり悩みを抱えることがないので、色んな人とコミュニケーションを取ることができ、人間関係のネットワークに多様性が生まれていきます。
こうして人間関係に多様性が生まれることで、多様な情報が手に入りやすくなったり様々なスキルを持った人からの協力を得やすくなるほかに、普段あまり話すことがない業界外の人たちと意見交換することで革新的なアイディアが生まれ、仕事で成功を収められるようになるのです。
神経的すぎるとうまくいかなくなる理由
逆にこの神経的傾向が高いと、些細なことを長い間気にしてしまうことになるので、ストレスを抱えやすくなり、その悪影響が仕事にも反映されて仕事の成果が出ないようになってしまいます。
1つのストレスが原因となって、連鎖的にまた別のストレスを生んでしまうのですね。
また先ほども話した通り、神経的傾向は新しいことへ挑戦する気持ちとも繋がっています。なので悩みやすい性格だと、現状を変えることに不安を感じてなかなかできなくなってしまい、成功するチャンスが目の前にあっても自分から飛びつけなくなります。
この「チャンスがあっても一歩踏み出せない臆病な性格」のために人とうまく繋がれず、必要なコミュニケーションも取れないので、人と協力して仕事で成果を出すことが難しくなってしまうのです。
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成功に必要な性格は後から身につけることができる!
しかし、今回の話で一番重要なのは、紹介した3つの成功要素は練習して鍛えることができるということです。
たとえ今はこの3つの特徴を持っていなくても、意識を変えることで身につけることができるのです。内気な人でも、コミュ障の人でも、人付き合いが下手な人でも解決できるのがコミュニケーションスキルの問題なのです。
例えば、外向性は明るいキャラクターを演じることで高めることができますし、気立ての良さは知識と経験で補えます。「こういう時はこうやって手助けしてあげると嬉しいんだよね」という感じで、相手が喜んでくれる条件を頭で理解するのです。
そして神経的傾向はストレス対策を身につけることで低く抑えることができます。性格を変える方法やコミュニケーションスキルを身に着ける方法についてより詳しく知りたい人は他の記事も参考にしてみてください。
というわけで、仕事で今より成果を出し、最終的に成功をしたいと思っている人は、外向性を高めて、相手を思いやり、ストレスに強くなる心理テクニックを身につけて心を鍛えていきましょう。
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