【性格を見抜く】ただ握手をしただけで、その人の性格がわかってしまう

イメージを変える・印象操作の心理学
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握手しただけで性格を予測

 

嘘みたいな話なのですが、ただ握手をするだけでその人の性格の一部があらわになるという話があります。

 

今回紹介するオレゴン州立大学心理学部のフランク・J・ベルニエリ、クリステン・N・ペティ博士らの2011年の研究では、握手の仕方から相手の性格の情報が伝わるものなのかを検証しました。

 

別の言い方をすれば、ただ握手をしただけでその人の性格がわかるものなのかを実験によって調べたのです。

 

たった5秒の自己紹介で性格を見抜く

 

この実験では、18歳から46歳 (平均年齢20.2 歳) までの合計141人の学生を対象におこなわれました。

 

5秒間の自己紹介の後、参加者は彼らを比較し、外向性、神経症的傾向、開放性、誠実性、協調性のビッグファイブ性格特性のそれぞれについて順位をつけてリストアップするという課題を課されました。

 

握手をする相手は、全員同性で、実験参加者に自分の名前を言い、半数の参加者とは握手をし、もう半数の参加者とは握手をしませんでした。

 

サクラ役の人たちは、自己紹介の際にアイコンタクトをとるよう指示されていました。その後、実験参加者は、5人全員のサクラに会った後、彼らの評価をしました。当然ながら、彼らは全員初対面でした。

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男性だけが誠実性の高さを見抜けた

 

まず全体の結果として、握手をした相手の性格に関する参加者の予測は全般的に正確ではありませんでした。

 

このことは、自己紹介が簡易的なものであったことを考えれば、当然といえば当然の結果です。なにしろ、たった5秒しか自己紹介の時間がなかったのですから。

 

しかし、それにもかかわらず、男性の参加者は、対象者と握手をした場合には、相手の誠実性をより正確に評価することができました。

 

不思議なことに、女性の参加者にはこのような傾向はありませんでした。

 

つまり、男性だけが、相手が男性のときのみ、握手をすることでその人が誠実な性格かどうかが見抜けるのです。

 

握手しただけで性格がわかった理由

 

なぜ、握手からこのような特別な結果が得られるのでしょうか?

 

この理由は誠実性が持つ特徴にあります。

 

誠実性は、楽器であれ握手であれ、人が複雑な行動をどれだけうまく習得できるかを反映する特性のことを指しています。

 

このため、握手という単純な行為であっても、それを繰り返しおこなっている人たちは握手がうまくなるのです。

 

つまり、「握手が上手い=多くの人と握手をしている=人付き合いがうまい=性格が良い=誠実な人に違いない」というふうに印象がつくられていくのです。

 

なんだかシャーロック・ホームズの推理みたいで面白いですね。

 

握手には社会規範とコミュ力が詰まっている

 

どこでも交わされる握手は、日本の茶道ほど儀式化されておらず、厳格なルールや様式はないかもしれません。

 

しかし、それでもそこには一般的な社会規範の知識と、ある程度の対人協調性やコミュニケーション能力が必要であることは確かです。

 

言い換えれば、誠実な男性はより熟練したハンドシェイカーとなり、それが相手に伝わることで誠実性の高さが伝わるということです。

 

うーん、握手一つとっても、ビジネスマンのスキルはバカにできないものなのですね。

 

女性は握手で性格を見抜けない理由

 

また、この誠実性の予測が男性のみに正確になるのは、社会的な経験の差が関係しています。

 

文化的な理由から、現代の生活では、女性にとって握手はそれほど大きな役割を果たしていません。握手をする頻度も、男性よりずっと少ないです。

 

そのため女性には握手の経験値が溜まらず、男性と同じ結果は出なかったのです。

 

つまり、ビジネスマンの男性は普段から多くの握手をする機会に恵まれていることで、握手のうまさから相手の性格を予測する能力を開花させることができているのです。

 

なので、もしかすると、職業柄から定期的に握手をするビジネスウーマンは、男性と同じように握手をすることで相手の誠実性を見抜けるかもしれません。

 

握手以外の礼儀も大事かもしれない

 

今回の調査は握手が対象でしたが、もしかすると握手以外にもコミュニケーションで使われる他の礼儀がその人の性格を表している可能性もありますね。

 

謝り慣れている人は人付き合いが上手いとか笑。似たような心理実験を見つけたらまた解説していこうと思います。

 

あと、交渉や説得など顧客相手に直接セールスをするビジネスマンの人たちは、日ごろから鍛錬して握手のレベルを上げておいたほうがいいかもしれません。

 

いやぁ、単純な礼儀作法であってもバカにできないものです。そういう意味では、日本は文化的に礼儀の教育に恵まれていますね。

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参考論文

 

Bernieri, F., and Petty, K. (2011). The influence of handshakes on first impression accuracy. Social Influence, 6 (2), 78-87 DOI: 10.1080/15534510.2011.566706

https://doi.org/10.1080/15534510.2011.566706

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