くるちょろ心理学研究所

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【マインドフルネス】マインドフルネスはなぜ効果があるのか?変化が起こるまでの過程を解説

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マインドフルネスが役立つ理由

 

前回はマインドフルネスの効果について解説しましたが、今回はその効果がどのようにして引き起こされるのかプロセスについて解説していきます。

 

1970年代後半に、マサチューセッツ大学医学部の教授だったカバット・ジン博士は、患者が痛みを避けようとすることでより深い苦痛をもたらすことを研究から発見しました。

 

そこでマインドフルネスを実践することで、この回避思考を解決し、慢性的な痛み、不安、ストレスなどを治療するためのより効果的な治療アプローチとして「マインドフルネスベースストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction, MBSR)」というプログラムを開発されていったのです。

 

少し前に「気づき」と「受容」について説明しましたが、マインドフルネスによってこの「気づき」と「受容」の能力が高まると、不快な感情を理解して対処できるようになり、これによって私たちはコントロール感と安心感を得ることができます。

 

この「気づき」と「受容」の2つのスキルを養うために、呼吸に集中して息を長くしたり深くしたりします。

 

このように呼吸に集中するトレーニングは主にマインドフルネス瞑想と呼ばれます。

 

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瞑想と呼吸法とマインドフルネスについて

 

厳密には呼吸に集中するトレーニングはマインドフル(ネス)ブリージングと言い、瞑想と呼吸法は異なりますが、多くの場合一緒にされています。

 

イメージとしては、瞑想の中に呼吸法があり、呼吸法の中にマインドフルネスがあるという感じです。

 

これらを一緒にすると誤解が生じることもあるので、一応、別々の概念なのだと理解しておきましょう。

 

瞑想以外のマインドフルネスを養う方法

 

また、呼吸以外にも、五感への意識を高めたり、自分の考えや感情に気付き、好奇心や自己への思いやりを持つことも役立ちます。

 

例えば、味覚に集中するトレーニングのマインドフル(ネス)イーティング、聴覚に集中するトレーニングのマインドフル(ネス)リスニングなどがあります。

 

自分の考えや感情に気付くトレーニングがいわゆる瞑想で、自己への思いやりはセルフコンパッションと言います。

 

マインドフルネスと瞑想の違いとは?瞑想とマインドフルネスは別である

 

つまり、瞑想とはマインドフルネスを鍛えるためのトレーニングの一種なのですね。

 

一緒にされることも多く、また瞑想の過程の中に「マインドフルネスになる」というものがあるので混乱しやすいのですが、これらを分けて考える方がマインドフルネスを理解しやすいと思います。

 

少し強引な例えかもしれませんが、サッカー(瞑想)をするときには、ボールを蹴る(マインドフルネスになる)みたいなものです。

 

なので、「ボールを蹴っているメジャーなスポーツはサッカーだよね!」ということで、瞑想がマインドフルネスとして勧められることが多いのですね。

 

マインドフルネスが悪い習慣を直すのに役立つ理由

 

マインドフルネスは健康習慣を強化することも役立つと以前に解説しましたが、逆に、喫煙や過食などの健康に悪い習慣を直すのにも役立ちます。

 

このような効果があるのは、マインドフルネスになることで報酬に対する認識や評価が変わるからです。

 

私たちに習慣が身につくと、きっかけが行動を促し、それが報酬につながるようになります。

 

例えば、過食(ご飯やお菓子などを食べすぎる)という「習慣」が身についてしまうのは、空腹感という「きっかけ」が、食事という「行動」を促し、それが報酬という「食事による満足感」につながるからです。

 

しかし、マインドフルネスによって、特定の行動とそこから得られるものを意識することで報酬が変わります。

 

例えば、「食べ過ぎること」と「食事による満足感」をマインドフルネスで再認識できるようになると、「食事による満足感」よりも「健康的な肉体とメンタル」を報酬として求めるようになります。

 

このようなプロセスにより、悪い習慣を健康的な行動に置き換えることができるようになるのです。

 

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マインドフルネスが人間関係に役立つ理由

 

マインドフルネスのレベルが高ければ、より幸せで満足度の高い人間関係を築くことができる!という研究結果があります。

 

これは、マインドフルネスが、現在に集中し、気を配り、感情を制御し、自己認識し、共感と思いやりを育むといった、人間関係の主要なスキルに役立つことが理由です。

 

当たり前ですが、相手の気持ちを思いやったり共感することができないと仲良くなれません。しかし、マインドフルネスになると、集中力がアップすることで他者のことをよく観察し理解できるようになります。

 

つまり、マインドフルネスな状態になることで、人間関係を築くスキルがアップし、コミュニケーションが得意な人間に生まれ変わることができるようになるのです。

 

次回は「マインドフルネスの実践方法」について解説していきます。

 

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参考論文、資料

 

サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 Kindle版 チャディー・メン・タン (著)

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マインドフルネス・ストレス低減法ワークブック ボブ・スタール (著), エリシャ・ゴールドステイン (著), 家接 哲次 (翻訳)

https://amzn.to/3jy1dgA

マインドフルネスストレス低減法 ジョン・カバットジン (著), 春木 豊 (翻訳)

https://amzn.to/3p4eCOe

Hofmann SG, Sawyer AT, Witt AA, Oh D. The effect of mindfulness-based therapy on anxiety and depression: A meta-analytic review. J Consult Clin Psychol. 2010 Apr;78(2):169-83. doi: 10.1037/a0018555. PMID: 20350028; PMCID: PMC2848393.

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Van Dam NT, van Vugt MK, Vago DR, Schmalzl L, Saron CD, Olendzki A, Meissner T, Lazar SW, Kerr CE, Gorchov J, Fox KCR, Field BA, Britton WB, Brefczynski-Lewis JA, Meyer DE. Mind the Hype: A Critical Evaluation and Prescriptive Agenda for Research on Mindfulness and Meditation. Perspect Psychol Sci. 2018 Jan;13(1):36-61. doi: 10.1177/1745691617709589. Epub 2017 Oct 10. Erratum in: Perspect Psychol Sci. 2020 Sep;15(5):1289-1290. PMID: 29016274; PMCID: PMC5758421.

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