【認知行動療法】自律神経と感情をコントロールする呼吸法を解説

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認知行動療法では、なぜリラックスが大切なのか?

 

認知行動療法の続きです。前回は行動活性化について解説しましたが、今回は「呼吸法とリラックス法」について解説していきます。

 

なぜ呼吸法とリラックス法が役立つのかというと、この2つを行うことで感情を安定させることができるからです。

 

これまでの解説で、感情と体は連動していることを説明してきました。つまり、肉体をリラックスさせることができれば、感情を落ち着かせることができるようになるのです。

 

感情は自律神経反応を引き起こす

 

自律神経とは、自動的に私たちの体の働きを調整している神経のことです。

 

例えば、心臓の鼓動や胃の消化活動は、私たちが意識を集中させて行うのではなく勝手に行われています。これらの働きの関わるのが自律神経です。

 

感情の変化によって、この自律神経が衰弱してしまうと、肉体に不調が起き始めます。

 

自律神経の衰弱で起こる自律神経症状には、口のかわき、消化不良、げり、トイレが近くなる、頭が真っ白になる、発汗、腹痛、どうき、呼吸が速くなる、緊張、頭痛、めまい、ふるえ、吐き気、不眠などがあります。

 

先ほどは、「肉体をリラックスさせることで感情を落ち着かせる」と言いましたが、これは逆もしかりで、感情が参ってしまうと自律神経に影響を与え、肉体も参ってしまうようになります。

 

これを防ぐのが、呼吸とリラックスです。

 

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呼吸が役立つ理由

 

呼吸法(Breathwork, Breathing)は、座禅やヨガに取り入れられてきました。

 

呼吸は自律神経によってコントロールされていますが、発汗や脈拍は自分で調整できないのに対し、呼吸は自分でもある程度コントロールすることができます。

 

呼吸は自律神経の窓とも言える存在であり、私たちは呼吸を介して自律神経に直接働きかけることができるのです。

 

そうやって自律神経に影響を与えることで感情を安定させていきます。

 

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呼吸法のやり方

 

ここからは呼吸法のやり方を説明していきます。

 

呼吸法には様々な方法がありますが、ここでは簡単なものを紹介します。

 

不安・怒り・緊張といった感情を感じると、呼吸は早くなります。いわゆる闘争逃走反応(fight-or-flight response)と呼ばれる心理現象です。

 

逆に、落ち着いたりリラックスすると、呼吸は遅くなります。人が落ち着いている時の呼吸の回数を数えてみますと、通常では1分間に10~24回ほど行われています。

 

なので、この数字を目安に呼吸法を使って呼吸を整えていきます。

 

リラックスする呼吸法のためのポイント

 

呼吸には、胸が動く「胸式呼吸」とお腹が動く「腹式呼吸」とがありますが、ここでは腹式呼吸をしていきます。

 

やり方は簡単で、3秒間息を吸い、2秒間息を止め、5秒間で息を吐いていきます。

 

あとは落ち着くまでこれを繰り返すだけです。

 

息を吸う時にはおなかに力が入り、おなかが膨らんできますので、そこに意識を向けてみるとリラックスしやすいです。

 

そして息を吐く時にはおなかの力が抜け、おなかがひっこんでいきます。

 

息を吸った時の横隔膜の緊張感が、息を吐く時に取れるのを感じてみましょう。

 

緊張と緩和を感じる

 

この呼吸による緊張と緩和を感じながら、呼吸を回数を先ほどのものに落としていきます。

 

呼吸の秒数をカウントすると集中できない場合は、深呼吸をするイメージでゆっくり呼吸を行うと良いです。

 

呼吸のたびに、自分のお腹が膨らんでひっこんでいくのを感じとりましょう。

 

次回は呼吸法とは異なる「リラックス法」について解説をしていきます。

 

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参考論文、資料

 

第3回 呼吸法とリラックス法(呼吸法と漸進的筋弛緩法)

http://npsy.umin.jp/~npsy/cgi-bin/wordpress/wp-content/themes/tokyo_univ/pdf/nyumon3.pdf

Zaccaro A, Piarulli A, Laurino M, Garbella E, Menicucci D, Neri B, Gemignani A. How Breath-Control Can Change Your Life: A Systematic Review on Psycho-Physiological Correlates of Slow Breathing. Front Hum Neurosci. 2018 Sep 7;12:353. doi: 10.3389/fnhum.2018.00353. PMID: 30245619; PMCID: PMC6137615.

https://doi.org/10.3389/fnhum.2018.00353

Malhotra V, Bharshankar R, Ravi N, Bhagat OL. Acute Effects on Heart Rate Variability during Slow Deep Breathing. Mymensingh Med J. 2021 Jan;30(1):208-213. PMID: 33397876.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33397876/

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