くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

【認知行動療法】体をリラックスさせるための漸進的筋弛緩法を解説

f:id:kruchoro:20210701182214j:plain

 

 

リラックス法(漸進的筋弛緩法)とは?

 

前回は呼吸法について解説しましたが、今回はそれとセットになるリラックス法(リラクゼーション)について解説していきます。

 

漸進的筋弛緩法(Progressive muscle relaxation、略称:PMR)とは、体の様々な部位に「わざと力を入れて、抜く」ことを繰り返し、力が抜ける感覚をつかむリラックス方法です。

 

リラックスとストレッチとの違いは、ストレッチが筋肉や腱をのばすことを目的で行われるのに対し、リラックス法では筋肉をゆるませることを目的に行っていきます。

 

リラックス法を練習すると、体の力みがなくなり、不安感、不眠、肩こり、痛みといった症状が改善することが研究の結果からわかっています。

 

特に眠りづらいときの簡単な対処法として有名なリラックス法ですね。

 

kruchoro.com

 

 

漸進的筋弛緩法のやり方

 

ここからは漸進的筋弛緩法のやり方を説明していきます。

 

まず、アクセサリー類やベルトはすべて外しておき、背もたれの高さが十分な椅子に座ります。

 

そして、体の感覚に注意を向け、体に生じる変化を味わっていきます。

 

基本的な姿勢

 

漸進的筋弛緩法では、次の4つのポイントが基本的な姿勢となります。

 

  1. 背もたれに寄りかからず、浅く腰かける
  2. 両脚を肩幅まで広げ、足を床につける
  3. 上半身の体重をお尻の上に乗せる
  4. 軽く猫背になり両手をひざに置く

 

準備ができたら、まずは手のひらから始めていきます。

 

手のリラックス法

 

最初は基本姿勢で、手のひらの力を抜いた状態になります。

 

それから手のひらを強くにぎって力を思い切り入れていきます。

 

5秒間ほど力を入れたら、今度を力を抜いてダラーっとリラックスします。

 

次に、手のひらを広げて力を入れていきます。グーパーをする感じですね。

 

そして再び、力を抜いてダラーっとリラックスします。この力を抜いた時に手に生じた感覚をよく味わってください。

 

手順としては次のようになります。

 

  1. 手のひらを力を抜く。
  2. 手のひらを強くにぎる。
  3. 手のひらを力を抜く。
  4. 手のひらを強く広げる。
  5. 手のひらを力を抜く。

 

これらを繰り返していきます、力を入れる時間はそれぞれ約5秒、力を抜く時間は約20秒ほどの目安で設定しておきましょう。

 

コツとして、力を入れている間は息を吸って止め、力を抜くと同時に息をゆっくり吐き出していきます。

 

この時間とコツは、他の部位をリラックスさせるときも基本となるので覚えておきましょう。

 

腕のリラックス法

 

手のひらが終わったら、腕のリラックスに移行します。

 

手のひらと同じく最初は力を抜いた状態にします。

 

次に、手を軽く握り、肘を曲げ、脇をしめて力を入れていきます。

 

5秒ほど力を入れたら、今度は力を抜き、腕をストンと落とします。そして、そのまま20秒間力の抜けた状態の腕に意識を集中させます。

 

手順としては次のようになります。

 

  1. 腕を力を抜いてダラーっと垂らす。
  2. 手を軽く握り、肘を曲げ、脇をしめて強く力を入れる。
  3. 腕を力を抜いてダラーっと垂らす。
  4. 手を軽く握り、肘を曲げ、脇をしめて強く力を入れる。
  5. 腕を力を抜いてダラーっと垂らす。

 

腕を体にくっつけて丸めるような感じです。腕に力を入れるというよりは、肘や脇を意識するとうまくできるかと思います。

 

首のリラックス法

 

腕の次は、首をリラックスさせていきます。

 

首の場合は、力を入れるというよりもストレッチに近い動きをしていきます。次のような感じです。

 

  1. 首を正面にしてリラックスする。
  2. 首を後ろに曲げる。
  3. 首をゆっくり正面に戻す。
  4. 首を前に曲げる。
  5. 首をゆっくり正面に戻す。
  6. 首を右に曲げる。
  7. 首をゆっくり正面に戻す。
  8. 首を左に曲げる。

 

首の漸進的筋弛緩法で息苦しくなってしまう人は、力を入れる時間を10秒間に縮めてください。10秒間でもわりとしっかり緊張させることができ、リラックス効果があります。

 

他の部位でもそうですが、20秒が長くて疲れてしまう人は10秒から始めていって、だんだんと緊張させる時間を伸ばしていってください。

 

肩のリラックス法

 

首が終わったら、肩をやっていきます。

 

  1. 肩と上半身の力を抜いて、ダラーっとさせる。
  2. 肩を持ちあげ、首をすくめるように力を入れる。
  3. 糸が切れたようにストンと肩をおろし、力を抜く。

 

上半身のリラックス法

 

上半身のリラックスでは、肩と腕と手を同時に行っていきます。

 

  1. 肩と腕と手を同時にリラックスさせる。
  2. 手を握り、腕を曲げ、脇をしめ、肩を上げ、上半身に力を入れる。
  3. 糸が切れたようにストンと肩をおろし、上半身の力をすべて抜く。

 

力を抜いた時に上半身に生じた感覚をよく味わってみましょう。リラックスさせる部位が広くなったぶん、気持ち良さも格段に上がっているかと思います。

 

背中とおなかのリラックス法

 

次は、背中とおなかをリラックスさせていきます。最初は背中から行います。

 

  1. 力を抜いた状態で準備する。
  2. 腕を後ろに引き、胸とおなかを前に突き出し、背中にぎゅっと力を入れる。
  3. ストンと力を抜き、ふーっと息を吐く。

 

背中が終わったら、おなかに力を入れていきます。

 

  1. 力を抜いた状態で準備する。
  2. 両手をへその下に当て、鼻から息を吸う。
  3. 息を止め、手でおなかを押さえ、手を押し出すように腹筋に力を入れる。
  4. ストンと力を抜き、ふーっと息を吐く。

 

背中とおなかを交互に行ったり、片方だけ集中的に行うのを試してみましょう。

 

脚のリラックス法

 

上半身が終わったら、脚に移っていきます。

 

脚のリラックス法のやり方は次の通りです。

 

  1. 椅子に深く腰かけ、ひざをつけて脚をピンと伸ばし、上にあげる。
  2. つま先は手前(体の方向を向くよう)にクイっと曲げる。
  3. 脚をすとんとおろし、力を抜く。

 

イメージとしては、脚だけ体に向けて折り曲げる感じです。

 

全身のリラックス法

 

最後に、全身をリラックスさせていきます。

 

  1. 脚と肩と腕と手のリラックスを同時に行う。
  2. 手を握り、腕を曲げ、脇をしめ、肩を上げ、脚を伸ばし、全身に力を入れる。
  3. 体に張っていたすべての糸が切れたように、全身の力をストンと抜く。

 

すべてのリラックスが終わったら、最後の締めとして、1分間かけて前回解説した呼吸をしながらリラックスしていましょう。

 

以上が、漸進的筋弛緩法のやり方です。

 

今回解説したのは基本的な方法で、力を入れる部位、意識を集中させる部位は細かければ細かいほど、時間はかかりますがリラックス効果があります。

 

なので、時間のある時は部位を細かく設定したり、脚から頭にかけて順番にやっていくなど、自分なりの方法にカスタマイズしても良いでしょう。

 

横になって行ってもいい

 

ちなみに、漸進的筋弛緩法を一日に行う回数の目安として、1~2回が挙げられています。

 

少なくとも夜寝る前にやってみると、睡眠の質も上がり一石二鳥になるのでおすすめです。

 

今回の解説では椅子に座って行うバージョンでしたが仰向けに寝そべって漸進的筋弛緩法を行ってもいいので、就寝前に行う場合にはこちらを試してみてください。

 

次回は、「認知の再構成」と「バランス思考」について解説していきます。

 

kruchoro.com

 

 

参考論文、資料

 

第3回 呼吸法とリラックス法(呼吸法と漸進的筋弛緩法)

http://npsy.umin.jp/~npsy/cgi-bin/wordpress/wp-content/themes/tokyo_univ/pdf/nyumon3.pdf

Wang F, Eun-Kyoung Lee O, Feng F, Vitiello MV, Wang W, Benson H, Fricchione GL, Denninger JW. The effect of meditative movement on sleep quality: A systematic review. Sleep Med Rev. 2016 Dec;30:43-52. doi: 10.1016/j.smrv.2015.12.001. Epub 2015 Dec 12. PMID: 26802824.

https://doi.org/10.1016/j.smrv.2015.12.001

de Paula AA, de Carvalho EC, dos Santos CB. The use of the "progressive muscle relaxation" technique for pain relief in gynecology and obstetrics. Rev Lat Am Enfermagem. 2002 Sep-Oct;10(5):654-9. doi: 10.1590/s0104-11692002000500005. PMID: 12641051.

https://doi.org/10.1590/s0104-11692002000500005

Zargarzadeh M, Shirazi M. The effect of progressive muscle relaxation method on test anxiety in nursing students. Iran J Nurs Midwifery Res. 2014 Nov;19(6):607-12. PMID: 25558258; PMCID: PMC4280725.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmc4280725/