優しさは過小評価されやすい
世の中の多くの人が親切で優しい心を持っていますが、普段の私たちはこの優しさを過小評価してしまっています。
お願いごとをされたり助けを求められたら、実際には断らない人が多いのにもかかわらず、私たちはこうした援助が簡単には受けられないものだと考えてしまいがちです。
しかしこのような考え方に囚われてしまうと人間関係がストレスなものになり、助け合うことも少なくなって健康を害してしまいます。そこで人の優しさに対する評価を自分で修正する必要があるのです。
お願いされても他人は簡単に断らない
コロンビア大学の研究で、大学生42人に、道を行く知らない人たちを対象に10分程度かかるインタビューを行ってもらうという心理実験をしました。
10分間のインタビューは結構長いインタビューですね。しかも事前にアポを取るのではなくいきなり指名されるわけですから、断る人も多いように思えます。
さらにはこの実験では、集める必要のあるデータのために、インタビューを受けてもらう人のノルマは5人だと指示されていました。
そして同時にこのとき、インタビューのノルマを達成させるために何人の通行人に声をかける必要があるかを学生たちに聞いておきました。
学生たちの平均回答は、20.5人でした。ノルマに対して約4倍の回答数です。4人ぐらいに声をかけてやっと1人の通行人がインタビューに答えてくれるだろうと学生たちは予想したのです。
それでは実際に声をかけた数はどうだったのでしょう ?
なんと 実際に学生たちが声をかけた通行人の平均人数は 10.5人で、 声をかけた 通行人の中で半数もの人たちが長いインタビューをその場で快く受けてくれたのです。意外な結果ですね!
あなたが思っているよりも他人は2倍優しい
この結果は、事前に行った学生たちの予想のだいたい半分くらいの数字ですね。つまり、私たちは人の優しさに対する期待を半分にまで減らして見積もってしまっているのです。
どうやら私たちは 人が自分の頼みごとを聞いてくれないのではないかというネガティブな思い込みを普段は持っているようです。実際よりも人の親切心を低く見積もってしまって、悲しいことに無駄に疑っているのですね。
しかし実際には私たちは誰もが善意の心を持っているので、利他的な行動や親切な行動を当たり前のようにとっています。誰かに優しくしたり親切にすることで幸せを感じられるのが人の心です。
情けは人の為だけならず、自分のためにもなる
このような心理があるので、たとえ自分にとって何の得もないように思える他人からの頼みごとであっても、自然と受け入れることができるのです。情けは人の為ならずですね。
私たちは意外と助けを求めている人のことを信用しているし、心の中では誰かのために働きたいと思っているのです。
というわけで、困ったことがあったり助けが必要なときには一人で抱え込まずに声をかけていきましょう。助けと求めることを躊躇しそうになったり人間関係に不安を感じたら、今回の研究を思い出して他人は2倍優しいということを思い出してください。
私たちが直感的に思っているほど他人も世界も悪くはないのです。