人付き合いがうまい人は何が違う?
数々の心理学の研究から、社会的知能の高い人ほど人間関係の問題や軋轢を起こさずに平和的な生活を営むことができるということがわかってきています。
この社会的知能というのは他者と関わり合いを持つ能力、コミュニケーションスキルを測る指標のようなものです。人付き合いがうまく、人間関係の問題を抱えにくい人はこの社会的知性が高いとされます。
本音を言うのもコミュニケーションスキルの一つ
例えば、自分の気持ちを押し殺さずきちんと相手に伝えられたり、相手の気持ちを理解して共感を示したり、人を気遣うことができるといったことが高度なコミュニケーションスキルと呼ばれます。
意外に思う人もいるかもしれませんが、自分の気持ちを押し殺さないことも人付き合いで大切なことなのです。
これらのスキルのようにどんな相手とでも仲良くすることができるスキルを持っている人は、どんな性格を持つ社会的集団の中であっても幸せに日々を過ごすことができるのです。人の扱いが上手いと人間関係のストレスを感じにくくなるのですね。
人間関係を良好に保つために必須の4つのスキル
アメリカの心理学者であるガードナーとハッチ博士は、人間関係について調べ、人間関係を良好に保つための重要な知能について、次の4つの要素を見つけました。それが以下の能力です。
- 組織力:人間関係を構築する能力
- 交渉力:人間関係の衝突を避ける能力
- 連帯力:他人と心を通わせる能力
- 分析力:他人の気持ちを理解する能力
こうしてざっと見ただけでもこれらの4つのスキルが人付き合いをする上で大切なスキルというのがなんとなくわかるかと思います。共感力や理解力はよく言われますが、組織力や交渉力はあまり指摘されないので初めて聞くという人も多いかもしれません。
というわけで、上から順番にスキルの解説と身につけ方を説明していきますね。
好きな人と繋がり、好きな集団を拡大させる組織力
組織力とは人間関係のネットワークを作り上げる能力です。自分の好みの人と出会ったら彼らと繋がったり、自分からそのような人たちが多くいる場所に出向いて人間関係を構築していく積極的な力です。組織力が高いと人脈が広がりやすくなります。
また、そうやって新しい人と知り合い、人間関係を構築したら、すでに繋がっている人たちのそれぞれがうまくコミュニケーションを計れるように人間関係を調整する能力も兼ねています。友達を紹介したり、初めて会うときは仲を取り持って打ち解けられるように動いてあげるのですね。
なのでこのスキルを持っていると、自分が興味のある人たちと繋がれるだけではなく、知っている人と人とを繋いだり、グループに活気を持たせて友達同士を仲良く楽しませることができます。好きな人が多くいる集団を拡大させることができて、周りが良い人だらけになるのです。
チームをうまく運営するための能力
この組織力はリーダーがチームを運営するのにも欠かせない能力の1つであり、人間関係を構築し、それぞれの関係の質を上げるためにも必要です。
何か問題を抱えていて困っている人がいたら、その問題を適切に素早く処理ができるスキルを持った人を紹介したり、「手伝ってあげて」と二人の仲を取り持ってあげることで組織はうまく機能するようになります。組織力は、チームの潤滑油のような存在になるために必要なスキルなのです。
組織に所属するメンバーの特徴に合わせて、それぞれに必要な環境を用意してあげられたり、苦手なものを補えるように手配したり、人間関係の調整ができる人は組織力が高いと言えます。
人間関係の問題や衝突を回避し、うまくまとめ上げる交渉力
交渉力は、対人関係における争いや衝突を未然に防いだり、それが既に起きている場合には平和的に解決したりと、問題をうまく解決できる能力のことです。人間関係の問題に対する対処能力が高い人は交渉力がある人ですね。
人が二人以上集まれば、意見の食い違いや価値観の相違は必ず起こります。常に意見が一致するということはありませんし、そういう組織には多様性が欠けているので一緒に沈む危険性すらあります。
なので、メンバー内で意見の食い違いや衝突が起きた時には、当事者で交渉や取引を行う必要があります。そのときに無理に結論づけてはお互いに不満が残ってしまうので、バランスを取らなければいけませんが、そのバランス調整に役立つのがこの交渉力です。
普段はメンバーの不満が出ないように配慮し、不満が出た場合には当事者の意見をうまくまとめることが人間関係を構築していく上で大切なことです。交渉力は不満をうまく処理するためのスキルです。
長期的な人間関係を築くなら交渉力を上げよう
これは組織運営の話に限らず、プライベートな人付き合いでも同じです。
好意を抱いている人が会ってくれるのは、あなたが相手と適切な交渉ができているからです。そうでなければ人は会ってくれなくなります。
交渉力は人間関係を維持しながら、自分と相手の利益を最大化するためにも必要なスキルの一つなのです。
相手の利益について考えよう
相手を満足させることができなければ次の交渉の機会(次に会う機会)はなくなってしまいますから、幸せになりたいという自己利益を最大化するためには相手の利益についても考える能力が必要なのです。
また、この能力が高いと人間関係を破滅させるリスクが少なくなります。なので結婚などの長期的な人間関係を築く上でも必須のスキルなのです。
好きな人との気持ちを通じ合わせることができる連帯力
連帯力は、他人の気持ちに強く共感でき、相手と心を通じ合わせることができる能力のことです。
しかしただ共感するだけではなく、相手の気持ちを理解したあとで一緒になって問題を解決していくためのスキルです。問題の解決という目的に向かって二人の心の波長を合わせていくのが連帯力です。
新しい人間関係を作りやすくなる
さらには、この能力が高いと新しい人間関係を作り上げることが難しくなくなり、あらゆるタイプの人とのコミュニケーションにも適切に対応することができるようになります。
私たちがコミュニケーションを取る相手に求めているのは相手からの共感であり、心理的に共通点がある相手とは打ち解けやすくなります。
なのでこの連帯力が高い人は、相手の心に寄り添って考えることができるために誰とでもすぐに打ち解けることができ、仲良しになれるタイプの人です。友達や知り合いが多い人や愛想が良い人は連帯力が高いのです。
相手の気持ちを頭で理解し、先回りして気遣うことができる分析力
分析力とは、他人の感情、ある行動の動機、好きなことや興味のあることなどを的確に見抜くことができる能力のことです。
共感に近いのですが、共感と違って相手が自分の気持ちを述べていない状態でも表情やしぐさなどのボディランゲージを観察して考えていることを推察するのが分析力です。
心から相手の思いに共感しなくても頭で理屈として理解することはできるので、こちらはよりテクニカルなスキルですね。
人に優しくするには分析する力が必要
私たちは常に自分の気持ちや考えをストレートに伝えているわけではないので、相手のことを思いやったり優しくするにはどうしてもこの分析したり推察する能力が必要になります。
仲良くなっても意外と本音を伝え合わないのですれ違ってしまうのですが、そのときにサポートしてくれるのが相手の心を分析する力です。
こちらの能力は、ある意味メンタリストに一番近い能力かもしれませんね。メンタリストが持つスキルの中でも代表的なものが分析力です。科学者タイプの人も人に興味を持てばこの能力を発揮できそうですね。
相手を思いやるための基礎となる能力
この能力が高いと、相手の意図や本音を読み、先回りして行動したり相手に合わせることで相手を疲れさせないコミニケーションをとることができるようになります。気遣いをするための元になる能力です。
なので、気遣いができる人や優しい性格のタイプの人たちはこの能力が高いです。空気を読むのが得意な人もこの能力が高いと言えます。
気が利く人、気が利かない人
分析力はいかに相手のことを観察しているかが問われるスキルなので、相手がこの能力を自分にどれほど発揮しているかどうかでこちらへの関心度を無意識に測っていたりもします。
気が利かないと評価が落ちてしまうのはこのためです。自分に興味がないのだなと思って心の距離が離れていくのです。
気が利かない人というのは、もしかするとただ単に相手を観察して理解する力が足りないだけなのかもしれません。自分の感情を優先してしまい、周りのことを冷静な目で見れていないのですね。
人間関係を思い通りにコントロールする
というわけで、会社や学校での人間関係に困っている人や悩みを抱えている人は、今回紹介した4つの能力、組織力、交渉力、連帯力、分析力について自分がどれだけのスキルを現時点で持っているかを自己分析してみてください。
そして自分が苦手だと思うところを補強したり、得意を伸ばしたりして人間関係を修復・改善していきましょう。どんな場合でもこれらの4つの能力が人付き合いでは基本となります。
これら4つの能力を向上させて、人間関係を良好に保つことは幸せに生きていく上で大切なことです。
なので、日常生活で人と付き合うときには、これらの要素について意識してコミュニケーションを取っていきましょう。