危険!騒音レベルの高い選挙カー演説には洗脳効果がある!

イメージを変える・印象操作の心理学
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選挙カーで繰り返し名前を呼ぶことで洗脳できる

政治家は選挙カーは走らせながら、大きな声で演説しますよね。あれは完全に騒音なんですが、法律上はOKです。しかし、心理学上はNGです。

 

実は、候補者の名前を何度も連呼して強制的に有権者に聞かせることで得票率が上がります。これは心理学における単純接触効果によるもので、私たちはよく聞いた名前に親近感を湧くので無意識にそこに意思の選択が流れます。

 

例えばテレビのCMが有名ですね。有名な商品が一番よく売れるのはその商品名を私たちが日常でよく聞くからです。こうした理由からも選挙カーによる騒音まがいの演説はかなり危険な行為です。

 

そして残念ながら、選挙カーによる繰り返し演説による洗脳効果は、科学的にも証明されてしまっています。

 

そこで今回は「選挙カーによる騒音効果で得票率は変わるか?」を調べた日本の心理学研究を紹介します。

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選挙カーを走らせるだけで得票数を2倍にできる

2017年に関西学院大学の社会心理学者である三浦麻子教授が、議員候補者の行う選挙活動が有権者に与える心理的な影響について調査しました。この科学的な調査は、実際に日本の地方選挙時に行われたものです。

 

そしてこの調査の結果、選挙カーによる繰り返し演説を行うことで候補者の得票率が上がるという心理効果が見つかったのです。

 

これをさらに詳しく調べてみると、選挙カーが引き起こす騒音の大きさとの距離の近さによっては影響力の強さが変わることがわかり、最悪の場合には特定の候補者への得票率が2倍にも増えるということがわかったのです。

 

つまり、距離の近いところで、大きな声で政治家の名前を連呼されると、私たちはその政治家に自然と投票するようになるということです。

 

この事実だけでも十分に危ないと思うのですが、さらに恐ろしい事実は続きます。

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好きでもないのに投票しちゃう!

有権者に候補者について聞き取り調査したところ、確かに得票率は上がっていたけれどその候補者への好感度は全く変わっていなかった!ことがわかったのです。

 

つまり、すぐ近くで騒音並みの大きな音で政治家の名前を叫ばれると、相手のことを好きなわけでもないのに、意見に積極的に賛成しているわけでもないのに投票しちゃうようになってしまうのです。

 

それだけ私たちはよく聞く情報に流されちゃう性質を持っているんですね。自分たちの気づいていないところで。恐ろしいですね。。

 

自動的に投票しちゃう心理的な理由

なぜこんなことになるのかと言うと、おそらく「よく聞く名前だ」→「それだけ有名で優秀なのかも」→「まぁいいんじゃない」というような思考の流れがあるからだと思われます。

 

みんなが支持するものは良いものだと思い込んだり、みんながやっているのと同じ行動を取りたくなる社会的証明の原理の影響ですね。社会的な生物である私たちは、この環境が生み出す心理効果から逃れられないのです。

 

その人が好きかどうかも関係ないし、言ってることが正しいかどうかも関係ないけれど、その人の名前が頭の中に刻まれているから投票しちゃう、というまさに小説とか映画のようなフィクションに出てくるマインドコントロール的な効果が拡声された名前の連呼にはあるのです。

 

単純接触効果の延長のような心理効果ですが、これを名付けるなら「単純拡声効果」とでも呼びましょうか。

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名前と顔の形で当選率は変わる

それと似たような心理効果で私たちは単純なもの、シンプルなものに好感を得やすいというものもあります。覚えやすい名前が私たちは好きなんですね。

 

選挙の立候補者たちが自分の名前をひらがなで表記するのはそのためです。

 

また漢字ではなく、ひらがなという表音文字で表すことで先の名前の連呼とくっつけて記憶の定着を強化させることもできます。

 

ちなみに政治家というのは顔だけで選ばれます。小泉進次郎氏が人気だったりタレント議員を自民党が起用しまくるのはそのためですね。トランプ氏が受かったのはヒラリー氏より顔が四角いからという笑っちゃうような単純な理由だったりします。

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女性の政治家は不利?

もちろん、理由はそれだけではありません。

 

別の心理学的な視点で見れば、優秀な女性のリーダーは女性たち自身に嫌われるという性質があることも関係しています。これもけっこう意外ですよね。イメージだと男性からの反対の方が多そうですものね。

 

女性の方は、ひょっとしたらこれに思い当たる節もどこかにあったりするのかもしれません。

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https://twitter.com/kruchoro/status/1113314824195235843

 

人は考えるよりもイメージで投票している

要するに有権者である国民のほとんどは選挙や政治にはそれほど興味ないんですね。あんだけメディアが騒いでいたアメリカ大統領選も投票率50%切っています。

 

つまり、2人に1人は選挙に行かないし、すでに述べた通り選挙に行ってもみんな適当に票を入れるんです。適当というか、感情論で、ですね。まぁこれは昔からそんなに変わらないことだと思います。

 

例えば、政治家を応援するのってかなり楽しいみたいです。選挙のときのスタッフの人たちってあれ全部無給でやってるんですね。つまり、それだけ好きな人を応援するのって面白いことなんです。

 

政治のことを「まつりごと」って呼ぶくらいですからね。政治には人を惹きつける魅力があるのです。

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選挙カーは時代遅れ?

ところで、迷惑になるほどの大きな声で演説してまわらなくちゃ有権者に話を聞いてもらえない時点で、もうやり方として時代遅れってことではないでしょうか。

 

だから有権者の声を聞き入れたい、耳を傾けたいと思うのならもっと時代に則したアピールの方法を取り入れるべきかなと考えます。

 

説明が長くなりましたが、とりあえず選挙カー演説は早々にやめていただきたいところです。

 

みんながみんな昼間だけに仕事をして生活をしているわけではないですから、迷惑きわまりない行為なんですよね。あんな大きな騒音、起きてるときに聞いてもやかましいけど、気持ちよく寝てるときに聞いたらもっとやかましいですからね。

 

そして何よりまずいのは、様々な場所で大声で拡声しまくれるお金持ちの候補者しか選挙で勝てない環境になっているということです。

 

ただ、このバイアスを知っていて、選挙の時に思い出せば、少しは冷静に判断できるようになります。

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拡声した名前を連呼して投票者に聞かせると得票率が上がる
距離が近く、声が大きく、繰り返し聞かせるほど得票率が上がる
しかし、候補者への好感度が上がるわけではない
大きい音で何度も聞くことで私たちはその対象に親近感を抱く
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