しぐさの心理学4 不安を感じている人の動作を解説

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心と体温の関係

 

前回のしぐさの心理学の解説では、「目の前の相手が息苦しいように、あるいは暑苦しく感じているようにシャツの襟を引っ張ったら、緊張している可能性がある!」という話をしました。

 

その前は、「相手が寒がっているように、あるいは手汗を拭くように膝をこすっていると不安や不快感を感じている可能性がある!」という話をしました。

 

これらの話の共通点は、感情と体温です。実は私たちは緊張したり不安になると、体温に変化が訪れるのです。

 

今回はそこのところを掘り下げて、しぐさについて話していきます。

 

 

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血管の収縮と心理は連動している

 

どうして緊張や不安で体温に変化が起こるのかというと、感情と血管が連動しているからです。

 

私たちは不安や緊張を感じてドキドキすると血管が収縮していき、血の巡りが悪くなるようにできています。

 

これは誰か(何か)に攻撃されて出血してしまったときに備えて、私たちの体の防衛システムが反射的に作動するためです。

 

闘争逃走反応

 

血管が小さく収縮することで面積が少なくなるので、怪我をしたときの出血量が減るようにできています。これは「闘争逃走反応」と呼ばれています。

 

出血量が減るのは良いのですが、しかしその弊害として、緊張し過ぎることで筋肉が強張ったり、体温が下がって冷え性のようになってしまいます(闘争逃走反応の弊害は他にもありますが割愛)。

 

こうなると体が思うように動かせなくなり、ひどい場合にはフリーズしてしまいます。私たちが緊張したときに動けなくなったり、動きが悪くなるのはこのためです。

 

 

リラックスすると体温が上がる

 

逆に心がリラックスをすると、血管が拡張して血の巡りが良くなります。

 

マッサージを受けたことがある人ならわかると思いますが、マッサージを受けると体がぽかぽかしてきますよね。

 

あれはマッサージによって肉体がほぐされて、体の中の血液がたくさん流れるようになったからです。

 

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血の流れが良い=安全な状態

 

血流が快適に流れるようになると、脳内では「今は安全な状態」だと認識するので、同時に気持ちもリラックスします。

 

また、気持ちがリラックスすると血管も勝手に拡張されるという相互作用もあるので、「マッサージの こうかは ばつぐんだ」となり、気持ちよくなって眠ってしまうのです。

 

湯船に浸かるとリラックスできるのも同じ理屈ですね。体温が上がると同時に血管が拡張されて心地良くなるのです。

 

不安を感じると体をさする理由 

 

逆に血管が収縮すると、体温が下がります。だから私たちは不安を感じると、体温を上げて落ち着きを取り戻そうと、無意識に自分の体をこするように触るのです。

 

つまり、以下のような流れで、不安を解消するしぐさが発動するのです。

 

  1. 不安を感じる
  2. 闘争逃走反応が起こる
  3. 血管が収縮する
  4. 体温が下がる
  5. 寒くなって体をさする

 

というわけですね。そして、膝以外の場所で日常生活の中でよく見かける、体をこする動作があります。さて、どこでしょう? 女性の方がやっていることが多いかもしれません。

 

マッサージ効果のあるしぐさ

 

答えは「腕をさする」しぐさです。片方の手でもう片方の腕をさするだけではなく、自分のことを抱きしめるみたいに両腕をさすったりもします。

 

他には、冷え性の人がやるように手のひらや手の甲をさすったりもします。

 

なので、もしかすると冷え性の人は、他の人と比べて、不安を感じやすくなっているかもしれません。 

 

実際に冷え性の人は生活の質が低下しがちですし、気温の低い地域では、精神障害を負うリスクが上がることもわかっています。

 

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身体はさりげなく触られる

 

腕をこする動作は、注意深く見てみるとわかるのですが、けっこう多くの人がやっています。

 

例えば、内気なタイプの人は、ほんの少し会話が沈黙したときにさりげなくやったりする可能性が高いです。

 

会話が途切れることで不安を感じてしまっているのですね。「面白いこと言わないと!」ですとか「気まずい空気かな?」と思ってしまうのです。

 

沈黙を気にしすぎなくていい

 

しかし、常に場が盛り上がり続けるということはあり得ないので、「今は小休止に入っているのだろう」くらいに思えると、会話が途切れて急に静かになっても変に緊張することがなくなるのでおすすめです。

 

実際のところ、良い会話をするためには沈黙も大切です。沈黙が苦手な人はよく覚えておいてください。

 

そして、自分がどうして沈黙を恐れているのかといったことも理解して、沈黙の恐怖を克服しておきましょう。

 

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緊張をほぐす腕のしぐさ

 

また、腕をこする動作に似た動作でよくあるのは、手首の内側をこする動作です。血管が浮き出ていて、脈が測りやすいところですね。

 

この場所は血管が外の皮膚から近く神経が密集しているので、触ってみるとけっこう気持ちよく感じられる場所でもあります。

 

手のひらも同じく神経が多いので、触っていると落ち着いてきます。手のひらのツボを押すマッサージもありますよね。

 

だから、他の部位に比べると、手のひらや足裏にはツボが多いのかもしれません。

 

もしかすると、上司や偉い人にゴマをするときに、よく両方の手のひらを合わせてこすりますが、あれも心で思っていることと逆のことを自分がしているせいでイライラしてしまい、無意識にそのギャップを自分自身で埋めるためにやっているのかもしれないですね。本当のところはわかりませんが。

  

心の健康は自己分析から始める

 

こうして並べてみるとわかりますが、不安、恐怖、緊張、イライラ、といった感情はどれも似ているところがあります。

 

それらを全部ひっくるめてストレスと呼んでしまうことが多いのですが、不安の強いストレスとイライラの強いストレスでは、意味が大きく異なります。

 

なので、今感じているストレスが不安なのかイライラなのか、また別の何かなのかといったことを見極めるのは大切です。

 

感情の細かな区別ができるようになると、自分がイライラして攻撃的になってしまいやすいタイプか、不安や恐怖を感じて落ち込んでしまいやすいタイプかもわかるようになります。

 

それぞれに有効的な対処方法も変わってくるので、こうした自己分析は心の健康には欠かせません。覚えておいてください。

 

 ・次回の解説は↓

 

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