幸せカップルになるための秘訣
今回は「幸せになる比較の心理解説」の続きです。
前回は、「カップルの共有視点があると恋人相手に比べることで幸せになる」という心理を解説をしました。
今回はさらに、「比較をするうえでより重要なポイント」と、「幸せなカップルになるための秘訣」についても話していきます。
トロント大学心理学部のレベッカ・T・ピンクス博士の研究では、カップル同士での比較をおこなったあとにある具体的な行動反応を示していました。
そして、それがカップルの状態を示すバロメーターの役目もしていました。
比較後に幸せカップルがする行動とは?
その行動とは、自分自身をより優れたパートナーのレベルにまで高めようと努力したり、能力で劣っているパートナーを助けたりして、自分とパートナーのパフォーマンスのレベルを一致させたことです。
つまり、カップルの中で比較によって優劣に差ができた場合には、片方のパートナーがもう片方の補助やサポートにまわり、二人の資質を高めようとするのですね。
このようにして、恋愛関係の中ではパートナーが共同で自分たちを成長させているのです。良い話ですね。
ちなみに、この実験では、ロマンチックなパートナーと平均して1日1回以上の比較を行ったと報告していました。
こうしてみると、恋人はライバルでもないのに、意外と高頻度で比較していますね。カップルは会うたびに比べあうのが一般的なのですね。
恋人たちは一緒に成長し合うもの
ただし、双方のパートナーにとって、比較を含めたこれらの行動が有益なものであるためには、この成長プロセスが共同的かつ相互的なものであることが重要なポイントです。
一方のパートナーが何の恩恵も受けずに、常に相手に援助を提供し続けることは、カップルの関係にマイナスの影響を与える可能性があります。
当然ながら、自分が相手のサポートをしてばかりだと一方的に不満がたまるために相互依存関係(前回の解説を参照)になれず、カップルの満足度も下がって別れる確率が増えてしまうのですね。
カップルの間柄でもギブアンドテイクが大切ということです。当たり前ですが、まずはこれができていないと比較をしても幸せにはなれません。
カップル歴が長い人たちは関係がマンネリ化しやすく、お互いを誤解しやすくなる頻度も多くなります。私たちは付き合いが長くなると、相手のことを知った気になるので積極的に相手の新しい情報を集めようとしなくなり、変化にも気づけなくなるのです。たまにはお互いを知る時間を作りましょう。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2020年12月2日
恋人があなたより優秀な人でも
自分とパートナーを比較して、相手が自分よりも優れていると感じたとき、自分に対する評価や自尊心に危機感を覚えることもあるかもしれません。
しかし、パートナーが持つポジティブな資質やスキルは、あなたが相手と一緒に共有できる財産の一部です。
たとえ恋人よりもあなたが何かの才能で劣っていたとしても、それを悪くとらえる必要はないでしょう。
むしろ、そうした不平等なスキルや資質は、あなたとパートナーがお互いに成長し、二人の関係をより発展させるための助けとなります。
不平等な資質やスキルは、個人としてもカップルとしても、お互いから学び、成長するための良いチャンスであると考えていきましょう。
特に相手よりも優位な立場にいたいと思っている人たちはこうした比較で傷付きやすくなっているかもしれませんので、このパートナー心理の効果をよく覚えておいてください。
参考論文
Pinkus, R. T., Lockwood, P., Schimmack, U., & Fournier, M. A. (2008). For better and for worse: Everyday social comparisons between romantic partners. Journal of Personality and Social Psychology, 95(5), 1180–1201.