【カップル心理】恋人と比べると幸せになる共有視点の心理学を解説

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友人と比べても幸せにはなれない

 

今回は「幸せになる比較の心理解説」の続きです。

 

前回の解説では、「相手が上で自分が下という結果になる上方比較を恋人相手に行うと、ポジティブな感情が増す!」という話をしました。

 

では、相手が恋人ではなく親しい友人であったなら、どうでしょう?

 

この場合でも恋人のときと同じように気分は良くなるのでしょうか?

 

トロント大学心理学部のレベッカ・T・ピンクス博士の実験によると、友人や知人を比較の相手にした場合では、残念ながら人は上方比較に対してネガティブな反応を示す傾向があることがわかっています。

 

どうやらどれだけ仲が良くなっても、こと比較に関しては、親しい友人と恋人とでは私たちの中で明確に心の線引きがされていて、両者は別物として扱われるようです。不思議ですね。

 

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恋人と親友の心理的な違いとは何か?

 

では、優れた恋人と優れた友人の違いとは何なのでしょうか?

 

ひとつの大きな違いは、私たちは友人ではなく恋人が相手のときに、「より高いレベルの共感を示し、気持ちの共有を頻繁にしている」ということです。

 

共感のレベルが友人と恋人では異なるのですね。

 

このような違いがあらわれる理由は、親密な関係にあるカップルたちは、自分の資質を厳密に相手と区別するのではなく、二人に共有の視点から見ているからです。

 

つまり、カップルは、自分と恋人の能力や資質をそれぞれ個人が所有するものと考えているのではなく、それらは「二人の能力や資質」であり、どちらか一方ではなく二人に共有の財産であると考えているのです。

 

カップルの共有視点とは?

 

これをカップルの共有視点と言います。「私の特技」や「あなたの才能」ではなく、まるで二人が一人の人物になっているかのように「二人の資質」ととらえて大切に扱っているのですね。

 

この共有視点のレベルは、「カップル同士の関係のなかにどれだけ親密さがあるか(二人がどれだけ親密な仲か)?」ということに影響されます。

 

たとえば、パートナーがお互いに親近感を感じているほど、お互いのスキルを共有スキルとして認識する可能性が高くなります。

 

つまり、仲の良いカップルほど「」自分にとってどうか?」という個人の視点ではなく、「二人にとってどうか?」という共有視点をつかって物事を考えているのです。面白い話ですね。

 

 

共有視点を持つようになる心理的理由

 

カップルたちが共有視点をつかうようになる心理的な理由は、私たちはパートナーとなる恋人と単に親密さを共有しているというだけではなく、二人が相互依存の関係にあるからです。

 

相互依存の関係とは、片方のパートナーの思考、行動、感情が、もう片方のパートナーの思考、行動、感情に影響を与えている状態を指しています。

 

つまり、「相手が喜べば自分も嬉しく、相手が悲しめば自分も悲しくなる」というような関係ですね。「相手が得をすれば自分も得をする関係(逆もしかり)」と言い換えてもいいです。

 

こうなると感覚的にも二人を別人と見るよりも同じように見るほうが話が手っ取り早くなるので、カップルはお互いのスキルを共有のものとみなし、上方比較で相手よりも自分が劣っていても気にすることなく喜べるのです。

 

たとえるなら、二人で共有する銀行口座に貯金をするような感覚ですね。自分が貯金しようがパートナーが貯金しようが、口座の残高は増えていくのでどちらが貯金したかどうかは気にならないのです。

 

というわけで、恋人と一緒に何かをするときには、この共有視点を意識してみてください。それだけで幸せな気持ちが倍増するかもしれません。

 

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参考論文

 

Pinkus, R. T., Lockwood, P., Schimmack, U., & Fournier, M. A. (2008). For better and for worse: Everyday social comparisons between romantic partners. Journal of Personality and Social Psychology, 95(5), 1180–1201. 

https://doi.org/10.1037/0022-3514.95.5.1180

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