【セルフコンパッション】セルフコンパッションと甘え・わがままの違いを解説

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セルフコンパッションは自分勝手になることではない

 

前回は「間違ったセルフコンパッション」について解説してきましたが、今回は「セルフコンパッションと甘え・わがままの違い」について解説していきます。

 

セルフコンパッションとは、自分にとって都合の良いところだけを切り取って自分勝手にふるまうこととは違います。

 

「失敗をしても自分に思いやりを示して優しくする」というセルフコンパッションの説明を聞くと、多くの人が「だらしないことや悪いことも含めて、何でも許してしまうようになるのではないか」と思い、セルフコンパッションを行うことに消極的になってしまいます。 

 

たとえば、「今日はストレスが溜まっているから、自分に優しくするために、一日中テレビを見てアイスクリームを好きなだけ食べよう」というふうに行動してしまうのではないか?と心配してしまうのです。

 

しかし、このような行動は自分を思いやっているのではなく、自分を甘やかしているに過ぎません。 

 

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一時的な快楽ではなく長期的な幸福を目指す

 

自分に思いやりを持つということは、長期的に見て幸せで健康な状態につながることです。

 

もちろん、ときにはアイスを食べたりポテトチップスを食べて楽しい余暇を過ごすのも悪くはありません。

 

しかし。それをストレス解消や、悪いことを一時的に忘れたり課題を放置するための手段として用いるのは間違っています。

 

そのようにしてただ自分に快楽を与えるだけでは、多くの場合、不健全な習慣が身につき、最終的には健康を害することになります。

 

一方で、自分に健康と永続的な幸福を与える行いには、ある程度の不快感を伴うことが多いです。

 

禁煙したり、減量したり、運動をすることはつらいですし面倒だと感じることも多いのですが、長期的に見ればこれらが健康と幸福につながることは誰もが知っています。

 

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自虐的アプローチとは?

 

人は、良い方向に自分を変えたいと願うと、自分に厳しくしまうことが多いです。

 

このように自分に厳しくすることで目標を達成しようとする方法は自虐的アプローチと言います。

 

これは、今の自分を恥じることで新たな行動に移すことができるだろうと考えてしまう心理的な理由で起こります。 

 

確かに、今の自分を恥じたり失敗したことを恥じることで努力し、成長するという経験を積むこともできます。しかし、自虐的アプローチには問題もあります。

 

自虐的アプローチの問題点

 

この自虐的アプローチは、「自分を恥じて嫌いになるのが怖い」と感じて、自分に対する受け入れがたい真実を直視できない場合には、効果が裏目に出てしまうのです。

 

そのため、無意識のうちに自己批判を避けようとして、自分の弱点を理解しようとせず、そのまま放置してしまうことがあります。

 

たとえば、「ダイエットして痩せたい!」と思っている人なら、まずは自分が我慢できずにカロリーの多いものを食べすぎてしまっている現実と向き合わなければいけません。

 

そして、この現実と向き合うためには、「食べ物を我慢できない自分」を理解しなければいけません。

 

「なぜ我慢できないのか?」を理解しなければ、食べすぎを防止する対策が立てられないからです。

 

しかし、自虐的なアプローチでは、「食べ物を我慢できない自分」を恥じてしまうので、皮肉なことに、「そんな自分の姿は見たくないし理解したくない!」という心理が働いて、事実を避けてしまうようになるのです。

 

セルフコンパッションは現実を受け入れるのに役立つ

 

一方で、思いやりの心は、成長と変化を促す強力なモチベーションとなると同時に、自分に対する非難を恐れずに現実を受け入れ、自分をはっきりと見て理解するために必要な心理的な安全性を提供してくれます。

 

だから、セルフコンパッションを実践することで自己理解が深まり、ダイエットや禁煙などの難しい変化にも対応し、良い方向に変わることができるのです。

 

次回は「セルフコンパッションを実践するときのコツと注意点」について解説していきます。

 

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参考論文、資料

 

Neff K.D., Dahm K.A. (2015) Self-Compassion: What It Is, What It Does, and How It Relates to Mindfulness. In: Ostafin B., Robinson M., Meier B. (eds) Handbook of Mindfulness and Self-Regulation. Springer, New York, NY. 

https://doi.org/10.1007/978-1-4939-2263-5_10

Kristin D. Neff, Tiffany A. Whittaker & Anke Karl (2017) Examining the Factor Structure of the Self-Compassion Scale in Four Distinct Populations: Is the Use of a Total Scale Score Justified?, Journal of Personality Assessment, 99:6, 596-607, DOI: 10.1080/00223891.2016.1269334

https://doi.org/10.1080/00223891.2016.1269334

Neff KD, Germer CK. A pilot study and randomized controlled trial of the mindful self-compassion program. J Clin Psychol. 2013 Jan;69(1):28-44. doi: 10.1002/jclp.21923. Epub 2012 Oct 15. PMID: 23070875.

https://doi.org/10.1002/jclp.21923

KRISTIN D. NEFF (2003) The Development and Validation of a Scale to Measure Self-Compassion, Self and Identity, 2:3, 223-250, DOI: 10.1080/15298860309027

https://doi.org/10.1080/15298860309027

セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる 単行本 – 2014/11/26

クリスティーン・ネフ (著), 石村 郁夫 (翻訳), 樫村 正美 (翻訳)

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