マインドバステクニックを解説
前回紹介したダイエットに使えるマインドフルネステクニックですが、今回はそのテクニックの解説編です。実験内容を知りたい人は前回の記事を読んでみてください。
実はこの実験の時に使っていたのはマインドバスと呼ばれるテクニックで、認知療法の現場でもよく使われてる、実績のあるマインドフルネステクニックの一つです。
やり方は簡単で、自分をバスの運転手に見立てて、頭に浮かんでくる否定的な思考や感情、誘惑といったものをバスの乗客だと捉えてやり過ごすというものです。
衝動や欲求をただ運ぶだけ
前回紹介した実験で言うと、「チョコレートが食べたい!」という欲求が浮かんだときは、その欲求を客としてあなたのバスに乗せて、次のバス停(もしくはさらに次のバス停)で降ろしてしまうというイメージをするのです。
アホっぽいテクニックのように見えますが、このテクニックを使うことで「チョコレートが食べたい!」という衝動的な欲求が客観化できるようになるので、衝動のまま行動することがなくなり、自分に害が及ぶような欲求を抑えられるようになるのです。
もちろん、チョコレート以外にも有効で、ダイエット中にポテチだとかアイスクリームといったものを食べたくなったときに使ったり、禁煙中にタバコを吸いたくなったときでも禁煙の効果があります。
いくら乗客が騒いでもあなたの行動には関係ない
マインドバステクニックを勧めるタッパー博士は、私たちの衝動は「チョコレートが本当に必要だ」「チョコレートを食べるまで仕事に集中できない」などと言ってくるかもしれませんが、そういう乗客は好きなだけ騒がせておけばいいとアドバイスしています。
乗客(衝動)がどの程度うるさいかに関係なく、自分自身がバスの運転手なのだと自覚しておくことが大切なのです。
「食べ過ぎる」
友達と一緒に食事を摂ると、いつもより多く食べすぎてしまう心理が働きます。
不思議なことに少食同士であっても食事の量は増えます。
親しい人と摂る食事はただの食事ではなく、楽しみの一種になるのですね。#ダイエット 中の人は友達とご飯に行くときは気をつけましょう。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) September 26, 2019
マインドバステクニックは誰でもすぐに身に着けられる
さらにこのテクニックは、ほかのマインドフルネステクニックと違って身に着けるのに時間がかからないことも特徴的で、実験参加者たちはたった5分間のレクチャーと練習を行っただけでした。
というわけで、あなたも逆らうべき危険な欲求や衝動が頭の中に浮かんだ時には、自分を運転手、衝動を乗客と考えて、次のバス停までやり過ごしてみてください。
彼らの言葉に従う必要はありません。あなたはただ乗客を運んでいくだけでいいのです。お試しあれ。
参考論文
This is the accepted version of the following article: Jenkins, K. T. and Tapper, K. (2014), Resisting chocolate temptation using a brief mindfulness strategy. British Journal of Health Psychology, 19: 509–522