会話の速さを変えるだけで好印象にする!会話術の心理学

イメージを変える・印象操作の心理学
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話し方一つで印象は変えられる

話し方を変えるだけで人に好かれる上に会話に説得力をつけることができるということが心理学の研究の結果からわかっています。

 

自信を持って話すですとか、声を大きくですとか、背筋をピンと伸ばしてとかですね。

 

今回はそういった会話に関する心理学研究の中でも、会話のスピードに着目した内容の研究を紹介していきます。「話すときのスピードは速い方がいいの?遅い方がいいの?」という質問に答えてくれる内容です。

 

説得力だけでなく好意の評価も変わるという面白い実験ですので、ビジネスの場面ではもちろん、気になるあの人とのデートの時にも使えます。

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話すスピードは速い方が良い

 

実は話すスピードが速い人の方が説得力が上がるという研究があります。

 

これは心理学者のジェームズ・マクラクラン、マイケル・ローガン博士らが行なった1993年の研究で、テレビとラジオで流れるCMのスピードを遅くしたり速くしたりして聞き手の反応を調べてみたんですね。

 

すると、CMのスピードを25%速くして聞かせた方が説得力がありよく理解できるとと聞き手に評価されました。スピードが速い方が好印象だったわけですね。

 

さらには、スピードの速いCMを聞かせたときは言葉の説得力だけでなく語り手の評価も同時に上がり、誠実で知識のある人物だと聞き手に評価させる効果までありました。なんと人柄の評価まで変わってしまったのです!

 

しかも、スピードの速いCMの方が、同じ内容のCMにも関わらず、より面白いと感じられたそうです。面白い研究結果ですよね。

 

話すスピードが速いと好かれる理由

 

このような効果があるのは、よどみなくスラスラと話しをする人は専門家だと思われやすくなるからです。

 

これと逆の人を思い浮かべてみるとわかりやすいのですが、おどおどしていたり「えー」が多く話がつっかえたり冗長的な話をする人を見ると私たちは「この人信用できるかな?」と考えてしまいます。なんとなく怪しく見えてしまうんですね。

 

あるいは、話は長いけれど3行で済む話をする人がたまにいますよね。こういう人は話しながら理由を探すといった言い訳じみた話の仕方をするので信用されにくいのです。

 

一方で話し手がスピーディに話すようになると、自信があるように聴衆には見えて説得力が増すという構造なんですね。

 

たしかに言われてみれば納得の理論です。「進むべき道はこっちだ!」と大衆を引っ張っていくリーダーのような姿を思い浮かべてみるとわかりやすいと思います。

 

しかし、速くしすぎると逆効果なので注意!

 

しかしこのスピーディさには注意が必要で、話しが速すぎると聞き手は何が何だかわからなくなってしまいかえって信用を失ってしまうことになります。

 

速すぎる会話は説得力が下がってしまう上に、話している内容も退屈でつまらなく感じて評価も悪くなってしまうのですね。

 

といってもこの速すぎるスピードというのは、実験では本来のスピードの30%以上となっており、まぁそんなに早口で話す人はあまりいないですし、実際にやろうとしてもけっこう難しいのでそこまで心配する必要はないでしょう。

 

試しにYouTubeで1.3倍のスピードで何かを聞いてみてください。そのスピードをそのまま真似しようと思っても簡単にはできないと思います。

 

つまり、講演会だったりプレゼンで人前で話す場合には1.2〜1.3倍の間のスピード感を意識すると演説の効果が高いですよ、ということです。感覚で言うと、ちょっと早口くらいの感じです。

 

これは、機械ならボタン一つで容易に早口にできますが、おそらく人間だと練習しないとだんだんとスピードが遅くなってきたりつっかえてしまったりと、うまくはできないと思います。

 

しかし、それなりに練習を積み重ねれば会得できるレベルの難易度ですので、人前で話す機会が多い人は早口での演説を練習しておくと説得力を上げるのに役立ちます。

 

また、「話す機会はそんなにないよ」という人たちにとっても、オーディオブックや動画を視聴するだけなら倍速再生で視聴する方が断然お得です。

 

それだけ早く情報を収集できるようになるからですね。これは私のオススメの視聴方法です。

 

一番効果的な速さは通常の1.3倍

 

この早口による説得力の上昇は別の研究でも示唆されている心理効果で、マーケティングサービスを研究しているモーア博士の調査でも、話し手のスピードを30%上げた場合は説得力が増して話している内容の評価が高くなりました。

 

しかし、この心理効果にも上限があり、スピードを60%まで上げた場合には逆に評価が下がってしまいました。

 

30%アップのスピードの時点で評価の値がマックスになり、それから徐々にスピードを上げていくと話し手と話の内容の評価は逆に下がっていくという感じです。

 

というわけで、相手に説得力をもって何かを訴えたい場合、あるいは自分に自信があるように見せたい場合などは普段よりも早口で話すことを実践してみるといいですね。

 

逆に悪徳商法をする人たちもこの手を使って相手の頭がうまく追いつかないように早口を利用しますので、こちらの質問や理解が追いついていないのに契約だったり約束事を迫ってくる人がいたら注意してくださいね。

 

話すスピードを上げるだけで、人物の評価も会話自体の評価も上がる
話すスピードが速い方が説得力が上がり信用されやすくなる
効果的なスピードは通常の1.3倍まで。それ以上速いと評価は逆に下がる

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参考論文

 

MacLachlan, James, and Michael Logan. “Camera shot length in TV commercials and their memorability and persuasiveness.” Journal of Advertising Research, March-April 1993, 57+. Gale Academic OneFile (accessed August 27, 2022).

Camera shot length in TV commercials and their memorability and persuasiveness - Document - Gale Academic OneFile
Gale Academic OneFile includes Camera shot length in TV commercials and their memorabi by James MacLachlan and Michael Logan. Click to explore.

 

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