【読心術】あなたは他人からどう思われているのか?を正確に調べる方法

イメージを変える・印象操作の心理学
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人は他人にどう思われるのかを考える

 

社会的動物である私たち人間は、他人が自分のことについてどう思っているのかを、多くの時間を費やして考えています。

 

例えば、私は相手にとって、魅力的か、知的に見えるか、能力があると評価されているのか、信頼できる人物か、といったことです。

 

この場合の相手には、家族、恋人、上司、部下、同僚、友達、仲間、店員さん、街中の他人などさまざまな人々が当てはまります。

 

他人の目をまったく気にしないような人を除けば、家を出る前、友達に会う前、大事な仕事の前など、私たちはこのような質問を日ごろからよく考えています。

 

特に誠実性の高い人は迷惑をかけないように人目をより気にするため、身支度や外見のチェックに時間を多く割きます。

 

他人の気持ちになって考えるのが下手くそ

 

しかし、自分に対する他者の評価に対して、自信をもって結論を出すことを考えると、私たちはその答えの精度が驚くほど低く、予測をするのが下手なこともわかっています。

 

よく、「他者視点でものを考えろ」ですとか「人の気持ちになって考えろ」という成功するためのアドバイスがありますが、そんなことを意識したとしても実際にはうまくいかないものなのです。

 

堀江貴文さんが「人の気持ちなんかわかるわけない」と言っていたことがありますが、これはある意味で本当のことなのです。

 

つまり、私たちは周りの人間が自分のことをどう思っているのかを正確に理解していないのです。極端なことを言えば、いつも勘違いして生きているのですね。

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他人の気持ちを考えるのが下手くそな理由

 

このような心理が生まれてしまう理由は、私たちは、他人から見た自分を推論するときに、自分の心を出発点にしてしまう良くない傾向があるからです。

 

つまり、他者視点で考えようとしても、実際にやっていることは自分視点での考えなのです。

 

このために、ステレオタイプやその他の期待に頼りすぎてしまい、予測が大きく外れてしまうのです。

 

他人の心を読むという点において、私たちは自分たちで思っている以上に下手くそであると言っていいでしょう。

 

そこで今回は、行動科学の教授であり、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの意思決定研究センターの学部長でもあるニコラス・エプリー、ネゲヴ・ベン=グリオン大学(イスラエル)のタル・エヤル博士らの研究について紹介していきます。

 

エプリー博士は、他者視点で自分を評価・再確認するための、より良い方法について研究しています。

 

他者視点で考える方法を調べた心理実験

 

2010年にエプリー博士らは106人の学生を対象に、他者視点で自分自身を評価してもらう心理実験を行いました。

 

この実験では、集められた学生のうち半数に写真撮影をしてもらい、もう1つのグループがあなたの魅力を評価すると告げました。

 

写真を撮った学生たちは、そのグループが自分の写真にどのような評価をくだすのかを予測し、どのような人物として受け取られるかを簡単に説明するように言われました。

 

ただし、実際には、審査員全員がその場で点数をつけていました。

 

さらに、このとき、「評価は1日後に行われます」と言われたグループと、「1ヵ月後に後に行われます」と言われたグループとに分けられました。

 

このようなグループ分けをした理由は、人は遠い将来のことを、他人が自分を見るのと同じように、広く大きな視野で考える特徴があるからです。

 

つまり、1ヵ月後の評価について考えてみてくださいと言われると、私たちはより広く大きな視点で物事を考えられるようになるのです。

 

この、現在のこととなると視野が狭くなる心理を「現在バイアス(Present bias)」、または「現在志向バイアス」と言います。

 

未来に評価されると考えると評価精度が高くなる

 

すると結果は研究者の予想通りになりました。写真を撮った後で魅力に対する評価を求められた学生たちは、案の定、1日後よりも1ヶ月後に評価されると考えた方が、他者視点での評価を予測する能力が著しく高くなったのです。

 

また、外見的魅力だけではなく、人物評価に対する簡単な説明でも精度が高くなりました。

 

私たちは、明日、自分がどのように評価されるかと考えたときには、「髪をポニーテールにした」「疲れているように見える」など、具体的な特徴を挙げてしまう傾向があります。

 

しかし、1ヶ月先の評価を考えたときには、「アジア人」「眼鏡をかけている」など、より一般的な内容を挙げるようになるのです。

 

こうして挙げられた特徴は、まさに審査員たちの評価と同じ種類のコメントでした。つまり、他者から見た自分たちのイメージを正確につかむことができたのです。

 

自分がどのように思われているのかが気になったら?

 

というわけで、もしも他者から見たときの自分の評価を正確に知りたくなったら、今回の実験のように「1ヶ月先に評価されたとしたら?」と考えてみましょう。

 

これにより現在の視点や細かな視点から注意が離れて、より大局的に、広く大きく自己評価をすることができるようになります。

 

今回の研究の教訓としましては、私たちは自分自身について細かいところを気にしすぎ!ということですね笑。誰もそんなところは見ていないのです。

 

参考論文

 

Eyal, Tal, and Nicholas Epley. “How to Seem Telepathic: Enabling Mind Reading by Matching Construal.” Psychological Science, vol. 21, no. 5, May 2010, pp. 700–705, doi:10.1177/0956797610367754.

https://doi.org/10.1177/0956797610367754

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