認知必要性の測定方法
今回は認知必要性の解説の続きです。
これまで数回にわたって認知必要性の意味と特徴について話してきましたが、今回は認知必要性のレベルを調べる方法について話していきます。
認知必要性の高さを測るためには、認知必要性尺度という心理テストが使われています。
認知必要性尺度は、もともと34項目のスケールという長めのテストとして開発されましたが、5点満点で評価する18項目のスケールで構成されたもの(Need for Cognition Scale, 通称 NCS-18)が新しくつくられ、現在ではこちらの短いほうが最も一般的に使用されています。
新しいほうの尺度も優れた妥当性を示していることが研究の結果からわかっていますので、安心してお使いください。それではどうぞ。
認知必要性を調べる心理テスト
次の18個の質問に「はい」「いいえ」で答えてください。
- 単純な課題より複雑な課題に取り組むほうが好きだ
- 多くのことを考えなければいけない状況に責任をもって対処するのが好きだ
- 考えることが楽しいとは思わない
- 思考力が試されることより、あまり考えずに済むことをしたい
- 深く考えることが求められそうな状況を事前に予測し、避けるようにしている
- 長時間かけて深く考えることに満足感を覚える
- 必要があることだけを一生懸命に考える
- 長期的な計画より、日々の細かい計画について考えるほうが好きだ
- 一度覚えてしまえばあまり考えずにできる仕事が好きだ
- 思考力を武器に自分の道を切り開いて頂点を目指すことに魅力を感じる
- 新たな解決策をひねりださなくてはいけない仕事を心から楽しく思う
- 新しい考え方を学ぶことはそれほど大きな喜びではない
- 解かなければいけないパズルのような問題がたくさんある人生を送りたい
- 物事を抽象化して考えることに魅力を感じる
- あまり考える必要のない重要性がそこそこの仕事より、知的で難しくとても重要な仕事のほうが好きだ
- 多くの思考力が求められる仕事を成し遂げたとき、満足するよりも安心する気持ちのほうが強い
- 仕事は完了すれば十分であり、その具体的な方法や、なぜうまくいったかには興味がない
- 自分には直接影響のない問題でも、ついつい深く考え込んでしまう
テストの採点方法
実際の研究では、各質問を+4点から-4点までのスケールで採点していまして、次のような感じになります。
- よく当てはまる:4点
- かなり当てはまる:3点
- まあまあ当てはまる:2点
- 少し当てはまる:1点
- どちらでもない:0点
- 少し当てはまらない:-1点
- まあまあ当てはまらない:-2点
- かなり当てはまらない:-3点
- まったく当てはまらない:-4点
1、2、6、10、11、13、14、15、18の質問はそのまま点数を足してもらえればいいのですが、それ以外の質問では逆スコアになり、「当てはまる場合にポイントがマイナスされ、当てはまらない場合にプラス」されます。
と、説明を聞くとややこしいですが、もっと簡易的に「はい」「いいえ」で答えてもいいかと思います(計算が面倒くさいので)。
この場合は、1、2、6、10、11、13、14、15、18の質問に「はい」と答えた場合は「1」点で、それ以外は「いいえ」と答えた場合に「1」点です。
そして、シンプルに数字が高ければ、あなたの認知必要性は高いということになります。ちなみに私はテストの途中で挫折しました。
参考論文
Cacioppo, J. T., Petty, R. E., & Kao, C. F. (1984). The efficient assessment of need for cognition. Journal of Personality Assessment, 48(3), 306–307.
https://doi.org/10.1207/s15327752jpa4803_13
Cacioppo, J. T., Petty, R. E., Feinstein, J. A., & Jarvis, W. B. G. (1996). Dispositional differences in cognitive motivation: The life and times of individuals varying in need for cognition. Psychological Bulletin, 119, 197-253.