問題解決が好き
今回は認知必要性の解説の続きです。認知必要性が高い人が持つ特徴について話していきます。
認知必要性が高い人は、脳に負担のかかる精神的な挑戦を楽しむことから、認知的努力の必要な課題に定期的に参加する傾向があります。
例えば、認知必要性が高い人は、認知必要性が低い人に比べて、課題に関連する思考を豊富に持つ可能性が高いです。
そのため、社会問題や人の悩みなどについて、ついついあれこれ考えて解決法を導き出そうとしたり、実際に解決するために自分で行動を起こす傾向があるのですね。
さらに、これらの思考は、認知必要性が高い人の態度を決定する可能性がより高くなり、考え方と実際の態度とが一致しやすくなります。
つまり、自分から認知的負荷のかかる行動を起こすうちに頭を使う作業がもっと好きになっていくのです。筋トレしていくうちにどんどん重りを増やしていくような感じですね。
メタ認知が得意
認知必要性が高い人は、説得メッセージやその他の刺激に対してより多くの思考を持ち、自分の思考について考えることが多く、メタ認知を行う傾向があります。
自分がどういうことを考えているのか、また果たしてその考えは正しいのかについても、考えをめぐらす傾向があるのです。
一方で、認知必要性が低い人の場合、こうしたメタ認知の思考プロセスは起こりにくくなります。
つまり、彼らは自分の思考が妥当かどうかを考えることが少なく、自分の思考についての疑問もあまり持たないのです。
バイアスの影響を受けづらい
認知必要性が高い人の思考や態度は、受け取った情報の評価と自分の思考の妥当性の認知に影響されます。
簡単に言うと、彼らはその情報そのものについてきちんと自分でよく考えて行動し、社会的イメージやバイアスの影響を受けづらいということです。
一方で、認知必要性が低い人は、情報そのものよりもコミュニケーションに含まれる単純な手がかりに影響されやすいという特徴があります。
例えば、彼らは、特定の商品の評価が、魅力のない人よりも魅力的な人によって宣伝されたときにより肯定的なものになったり、プレゼン者に対するバイアスや思いなど、その時の状況に左右されやすい傾向があります。
認知必要性が高い人の場合は、相手が魅力的な人物であるかどうかにかかわらず、プレゼンされているものに等しく適切な評価を与えることができます。
記憶力が高い
課題に対する態度以外に、認知必要性が高い人が持つ情報処理に関するもう一つの傾向は、自分が接した情報に対してより鮮明な記憶を持つということです。
単純に、認知必要性が高い人は他の人よりも記憶力が高くなりやすいのですね。
例えば、学生が試験の実施に関する議論を受けたとき、認知必要性が高い人はそれが低い人に比べて、議論の内容をより多く思い出すことができました。
知識が豊富
また、当然ながら、認知必要性が高い人は様々な事柄に対してより多くの知識を持っています。
政治に関して言えば、認知必要性が高い人は大統領候補に関する情報をより多く挙げ、ほかの候補者を当選したときの結果についてより多くの事柄を挙げることができます。
また、他の研究では、認知必要性が高い人は鳥の種類を多く挙げることができ、トリビアに関するテストでも良い結果を出しています。
面白いことに、子供の時に頭が良かった人ほど大人になってからお酒を飲む量が多く、マリファナやコカインなどのドラッグを使用する割合が高いということがわかっています。16歳までの成績を分析することで将来の飲酒量を予測できることもわかっています。また賢い人ほどワインを好んで飲むようです。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2020年4月13日
自制心が強い
さらには、認知必要性が高い人はセルフコントロール(自制心)の面でも他の人よりも勝っていることが示されています。
このように認知必要性が高い人は、社会で生きていくうえで必要な能力を獲得しやすい傾向があるのです。
なんだか良いことばかりですね笑。忠告としては、勉強だけ・口だけの頭でっかちな人にはならないように気を付けておこう!くらいですかね。
参考論文
Grass J, Krieger F, Paulus P, Greiff S, Strobel A, et al. (2019) Thinking in action: Need for Cognition predicts Self-Control together with Action Orientation. PLOS ONE 14(8): e0220282.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0220282
Nair, K. U., & Ramnarayan, S. (2000). Individual differences in need for cognition and complex problem solving. Journal of Research in Personality, 34(3), 305–328.
https://doi.org/10.1006/jrpe.1999.2274
Condra, M. B. (1992). The link between need for cognition and political interest, involvement, and media usage. Psychology: A Journal of Human Behavior, 29(3-4), 13–18.
https://psycnet.apa.org/record/1993-29269-001
Hallahan, Kirk. (2008). Need for Cognition as Motivation to Process Publicity and Advertising. Journal of Promotion Management. 14. 169-194. 10.1080/10496490802353790.