【努力脳】頭を使うのが好きな性格!認知必要性について心理解説

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認知必要性(認知欲求)とは?

 

認知必要性(Need for Cognition)とは、例えばパズルゲームのような思考を必要とする活動に従事し、それを楽しむ個人の傾向のことです。

 

認知欲求とも言いますが、まだ定訳が決まっていないため、今回は認知必要性で統一して解説します(こっちのほうが言葉の響きがカッコいい気がするので)。

 

認知必要性は、別の言い方をすれば、「どれくらい頭を使うことが好きか?」という性格特性のことですね。

 

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難しいことをするのが好きか嫌いか

 

逆に、個人の中には、認知的に複雑なタスクに対する動機付けが比較的少ない人がいます。このような人は、認知必要性が低いと表現されます。

 

一般的に人は、一貫して認知的に困難な活動に取り組みながら、そのことを楽しんでもおり、認知の必要性が高いと言われています。

 

しかし、認知必要性もまたスペクトラムなので、絶対的なものではありません。

 

なので、人によっては認知必要性が高かったり低かったり中程度だったりと、分布のどの地点にも該当する可能性があります。

 

認知必要性の生まれた背景と歴史

 

認知必要性は、1950年代にアーサー・コーエン博士らによって提唱され、1980年代にジョン・カシオッポやリチャード・ペティ博士らによって再び注目されるようになりました。

 

コーエン博士によると、認知必要性は世界を理解するための欲求と定義されていました。

 

つまり、認知必要性が高ければ高いほど、自分の周囲の構造を明確に理解したり結論付けることを好む性格であるということです。理屈や理由を何でも知りたがる子供みたいな感じですね。

 

逆に言うと、認知必要性が低い人は、よくわからないものや理解できないものに対して強い不快感を覚えて、それらに対して不寛容になります。

 

この定義は、曖昧さに対する不寛容さを強調するもので、現在使われている認知必要性の定義よりも構造必要性(need for structure)や完結必要性(need for closure)といった別の尺度に近くなります(こちらの用語もいずれ解説したいと思います)。

 

そのため、現在使われている認知必要性の定義や意味は、もっと別のものになります。それが次のような定義です。

 

現代における認知必要性の意味と使われ方

 

ジョン・カシオッポ、リチャード・ペティ博士らによる定義はもっとわかりやすいものです。

 

彼らは、認知必要性の定義を、様々な領域(例えば、数学、言語、空間など)にわたって認知的に努力する課題に取り組み、楽しむ傾向における安定した個人差(人格特性)として再度概念化しました。

 

認知必要性は、時間をかけて発達させることができる安定した内発的動機を反映していると考えられています。認知必要性も訓練すれば鍛えることができるのですね。

 

現代的な認知必要性の考え方では、認知の結果(例えば、世界の構造化された知識)よりも認知処理(すなわち、精神的に困難な課題に従事する活動)に重点が置かれています。

 

つまり、どれだけ知識があるか?頭が良いのか?ではなく、どれだけ頭を使うことが好きか?がポイントになっているということですね。

 

認知必要性=頭の良さではない

 

ここで重要なことは、認知必要性は個人の能力よりも、むしろ動機の違いを指していることです。

 

このことは、言語性知能、ACTスコア、高校・大学の成績などの能力指標と認知必要性は中程度しか関係せず、認知能力を制御した後も関連する結果を予測し続けるという研究によって裏付けられています。

 

認知必要性が高いからと言って学校の成績が良いわけではなく(中程度の相関はありますが)、また逆に、認知必要性が低いからと言って能力が低いわけでもないのですね。まぁ中程度の関連があることはたしかですが。

 

 

頭を使うことに対するモチベーションの高さ

 

認知必要性は、ある個人が考えることが好きかどうかを示す指標であって、考えることが得意かどうかを示す指標ではないのです。

 

そういう意味では、認知必要性ではなく「認知欲求」と訳したほうがわかりやすいかもしれません(自爆)。

 

ただし、現在では認知欲求と言うと、cognitive needs と呼ばれる別の用語を指すようです。うーん、ややこしや。

 

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参考論文

 

Cacioppo, J. T., Petty, R. E., Feinstein, J. A., & Jarvis, W. B. G. (1996). Dispositional differences in cognitive motivation: The life and times of individuals varying in need for cognition. Psychological Bulletin, 119, 197-253.

https://doi.org/10.1037/0033-2909.119.2.197

Cacioppo, J. T., & Petty, R. E. (1982). The need for cognition. Journal of Personality and Social Psychology, 42(1), 116–131. 

https://doi.org/10.1037/0022-3514.42.1.116

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