【認知能力】頭が良い人ほど寛大で、器が大きく、優しい性格になる理由

勉強・自己成長の心理学
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優しさと賢さはつながっている

知能が高い人はクールで冷酷な性格の持ち主であるというイメージがあるかもしれません。

しかし実際には、優しさや親切さは、その人の認知能力が高い証拠であることが研究で明らかになっています。

高い知能を持つ人は、他者と協力して作業をするのが上手で、他人に対して寛大な態度をとります。

2014年のハイデルベルク大学(ドイツ)経済学部のヨハンズ・ローゼ博士の研究では、認知能力の高い人は、認知能力の低い人に比べて約3倍も寛大であるという結果が出ています。

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頭の良さを表す認知反射とは?

この研究では、数百人の参加者を対象に「認知反射(Cognitive Reflection)」と呼ばれる知能テストを実施しました。

これは、反射的に導かれやすい間違っている答えに飛びつかず、冷静に思考して最初の答えを上書きする能力を測定するためのものです。

簡単に言うと、ひっかけ問題のひっかけにひっかからずに、正しい答えを出せるかどうかを測るテストですね。

 

認知反射テストの問題

認知反射テストは行動経済学などの研究でもよく用いられるテストで、心理学の本をよく読む人はどこかで見たことがあるかもしれません。次のような問題が代表的です。

  • バットとボールの値段は合計で110円です。バットはボールより100円高いです。ボールの値段はいくらでしょうか?
  • 5台の機械が5個の商品を作るのに5分かかるとしたら、100台の機械が100個の商品を作るにはどれくらいの時間がかかるでしょうか?
  • ある空き地にお花畑があります。このお花畑の広さは毎日2倍の大きさになっていきます。お花畑が空き地全体を覆うのに48日かかるとしたら、空き地の半分を覆うにはどれくらいの時間がかかるでしょうか?

答えは記事の最後に載せておきますので、ここでちょっと時間をかけて考えてみてください。

 

賢い人は3倍も優しい!

こうしたひっかけ問題にひっかからずに、本当の答えにたどり着くためには、知性と一緒に忍耐力が必要だと考えられます。

そこで、今回の研究では認知反射テストを行った後で、忍耐力を測るテストを行いました。

すると、認知反射の成績が良い人は、寛大さを試すゲームにおいても、最大で3倍も寛大になる傾向があることがわかったのです。

 

賢い人ほど優しい理由

賢い人ほど優しくなる心理学的な理由は、賢い人には高い忍耐力があるからです。忍耐力が持つ性質は、他者と協力するためには欠かせないものです。

例えば、高い忍耐力があれば、感情が乱されるような嫌なことが起きた場合でも、その場から離れることで自制心を発揮して気持ちを落ち着かせることができます。

これにより、たとえ不快なことが起きても、すぐに口に出して他人と衝突したり、周りに向けて怒りをぶちまけることがなくなるのです。

過去の研究でもこの傾向は見つかっていまして、忍耐力が高い人ほど協力的な姿勢を見せることがわかっています。

 

マインドフルネスで忍耐力を高めるのもあり

勉強するにしても、人間関係を築くにしても、とっさの衝動を抑えるための忍耐力は必要ですよね。

逆に考えると、マインドフルネス瞑想などで忍耐力を鍛えると、間接的な効果として、知性も高まってくれるかもしれません。

実際にマインドフルネスは人間関係の構築や改善に役立つという研究結果が出ていますからね。

おそらくマインドフルネスで忍耐力と知性が高まった結果、人間関係が良くなるのでしょう。

 

認知反射テストの答え

認知反射テストの答えは、次の通りです。

  • 1番目の問題は「5円」(10円だと答えたくなるが、ボールの値段が10円だとバットの値段は110円となり、合計120円になってしまう)
  • 2番目の問題は「5分」(100分と答えたくなるが、機械と商品の比率は変わらないので制作にかかる時間も同じ5分で変わらない)
  • 3番目の問題は「47日」(24日と答えたくなるが、毎日2倍になるので48日の前日の47日で半分となる)

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参考論文

Lohse, J 2016, ‘Smart or selfish – When smart guys finish nice’, Journal of Behavioral and Experimental Economics, vol. 64, pp. 28-40. 

https://doi.org/10.1016/j.socec.2016.04.002

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