深呼吸と脳内イメージで不安を解消
今回は、スタンフォード大学の心理学部のドン・ジョセフ・ゴーイー博士が提唱する、「不安な気持ちを鎮めるメンタルクリアボタン」という心理テクニックについて簡単に解説します。
これはマインドフルネス的な呼吸法と脳内イメージを利用したテクニックで、頭の中で赤いボタンを想像しながらそれがだんだんと落ち着いた緑色に変わっていくのを眺めるというものです。
パソコンやスマホは調子が悪くなったらとりあえず再起動して解決しますが、心にも同じようなことをするのです。
メンタルクリアボタンのやり方
メンタルクリアボタンの具体的な方法は次の通りです。
- 不安が押し寄せたら、片方の手のひらを出す。
- その手のひらに押ボタンがあるのをイメージする。
- そのボタンが自分の脳に直結していることをイメージする。
- ボタンを押すことでネガティブな感情を止めるシグナルを送ることができるとイメージする。
- 自分の呼吸に意識を向けつつボタンを押す。
- ボタンから手を放さずに押したまま、次のように数を数えながらイメージしていく。
- 呼吸をしながら「1」と数えると、ボタンは「赤色」になる。
- 呼吸をしながら「2」と数えると、ボタンは「青色」になる。
- 呼吸をしながら「3」と数えると、ボタンは「緑色」になる。
- 最後に深呼吸して心を真っ白にする。
といった感じです。実にマインドフルネス瞑想っぽいテクニックですね。
マインドフルネス瞑想に飽きた人や合わなかった人は、このテクニックのように脳内イメージと呼吸法を組み合わせるといいかもしれません。
簡易版メンタルクリアボタン
とはいえ、個人的にはこれはそこまで簡単なテクニックに感じないので(人にもよりますが)、私はさらに横着して次のように使うことをおすすめします。
「頭の中に赤いボタン(怒りや不安などのネガティブな感情の象徴)をイメージして、それを3秒間押したら青色(落着きや冷静さや幸せなどのポジティブな感情の象徴)に変わる」
こちらのほうがシンプルでわかりやすく、やりやすいかと思います。まぁただ私が面倒くさがり屋なだけなんですが笑。
最初は時間がかかる
ただ、ネガティブなものからポジティブなものに感情を変化させるには1~5分ほど時間をかける必要があるので、初心者が実践する場合や感情が強すぎる場合にはこれだけでは不十分かもしれません。
マインドフルネスの上級者ほどメンタルを安定させるのに時間がかからなくなるので、上級者の人や感情のコントロールが上手い人は私の提案するシンプルな方法のほうが使い勝手が良いでしょう。
心の健康は積み木のお城のようなもの。一度盛大に壊れると、ふたたび元の状態に戻すためにかなりの労力と時間がかかる。積み木を組み立てるように、注意深くメンタルケアしていきましょう。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年5月27日
ネガティブ感情が強いときの応用
あるいは、ネガティブな感情が強いときには、ボタンを押す時間を3秒から30秒や1分に延長してみるのも良いでしょう。
いずれにせよ、脳内イメージで感情をコントロールする方法はいくつもあるので、上手くいかない場合にはメンタルクリアボタンに固執せずに、自分に合う他のものを試してみましょう。
あと、日本人的にはメンタルクリアよりもメンタルリセットという言葉のほうがネガティブな感情を解消するイメージがしやすいですよね。というわけで勝手に改名しましょう。
博士はストレス解消法についていろいろと本の中で語っているので、今回の方法が気に入った人は著作を読んでみるといいです。ストレスの本は英語版しかないんですけどね。
参考論文、参考資料
The Clear Button – Don Joseph Goewey
https://donjosephgoewey.com/the-clear-button-process/
脳が「やる気」を起こす魔法(ミスティック・クール) 単行本(ソフトカバー) – 2009/10/1
ドン・ジョセフ ゴーイー (著), Don Joseph Goewey (原著), 石浦 章一 (翻訳)
The End of Stress: Four Steps to Rewire Your Brain ペーパーバック – 2014/9/23
英語版 Don Joseph Goewey (著)