くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

【お手軽心理テク】階段を上り下りするだけでも幸福度と健康度がめっちゃ上がる

 

 

日常生活の運動効果がすごすぎる

 

ドイツのハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学、アメリカのペンシルベニア大学などが2020年におこなった研究によると、ウォーキングや階段の上り下りのような日常におこなわれる単純な動作が、精神衛生上の問題を回避するのに役立つことがわかりました。

 

さらに、すでにメンタルヘルスに不調をきたしていたり、もともと精神医学的な問題を抱えやすい性格の人たちは、このようなちょっとした運動からさらに多くの恩恵を受けるようです。

 

短時間の運動で注意深く、エネルギーに満ち溢れていると感じることは、精神的な健康を大きく改善してくれるのです。

 

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簡単な運動のほうが健康にとって大事だ!

 

この研究の最初ん実験では、67人の被験者を対象に日常生活と感情状態を追跡調査しました。

 

すると、その結果、階段を上ったり、歩いたりするような簡単な日常生活の後では、人々はより注意深く、エネルギーに満ちあふれているように感じられることがわかったのです。

 

この研究の共著者であるハイデルベルク大学医学部のハイケ・トスト教授は、屋内やパンデミック時にでも実践できる簡単な運動こそが特に健康にとって重要であると述べています。

 

運動習慣と聞くと、どうしてもランニングや筋トレを思い浮かべてしまいますが、そんなところまで行かず些細な動きを増やすだけでもしっかり効果があるのです。

 

これまでにも軽い運動の効果は軽くない!という話をしてきましたが、メンタルヘルスにも大きく貢献してくれるのはありがたいですね。

 

階段を使うだけで幸福度がアップする!

 

研究者は、毎日意識してエスカレーターやエレベーターではなく階段を上ることで、しっかりと目が覚め、エネルギーが満ちているように感じられるようになるといいます。

 

そして、この感覚は私たちの主観的な幸福感を高めてもくれます。つまり、人は階段を上り下りするだけで幸せになれるのです!なんてお手軽なライフハックなんでしょう!

 

多くの人は疲れたくなくて階段を避けようとしてしまいますが、それでは逆に幸せから遠ざかってしまうのです。皮肉な話ですね。

 

無駄な動きを増やしてニートを増やそう

 

より健康的で良い気分で過ごすためには、階段を上り下りする回数をより頻繁にしてみることが効果的です。

 

よく言われているように、エスカレーターではなく階段を使ったり、電車を一駅分早く降りて多く歩いたり、あえて坂道などのきつい道を通ったりすることは、たしかに面倒ですがそれ相応の効果が得られるのです。

 

最近ではNEAT(Non-Exercise-Activity Thermogenesis、日本語では非運動性熱産生)の重要さが指摘されることも増えましたが、日常生活を営む上で欠かせない動きが健康に役立つ運動になっているという事実はかなりラッキーな気分になって嬉しいですね。

 

 

メンタルが弱い人ほど運動効果が大きくなる

 

また、もうひとつの実験で83人の被験者に対して脳スキャンを実施したところ、脳の前帯状皮質と呼ばれる私たちの情動に関係している領域が、人々の運動量によって大きさが異なることがわかりました。

 

この領域の灰白質容積が小さく精神疾患のリスクが高い人は、身体を動かしていないときには、あまり元気がないと感じていました。

 

しかし、日常的な活動の後では、こうした人々では、より大きな脳容積を持つ人々よりもさらにエネルギーに満ち溢れていると感じました。

 

つまり、メンタルが弱っている人にほど、日常的な運動は効果的なのです。もちろん、精神疾患等の予防のためにも良いでしょう。

 

というわけで、幸せになりたい人は階段をたくさん使ったり車にあまり乗らずにたくさん歩く習慣を身につけてみましょう。

 

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参考論文

 

Reichert M, Braun U, Gan G, Reinhard I, Giurgiu M, Ma R, Zang Z, Hennig O, Koch ED, Wieland L, Schweiger J, Inta D, Hoell A, Akdeniz C, Zipf A, Ebner-Priemer UW, Tost H, Meyer-Lindenberg A. A neural mechanism for affective well-being: Subgenual cingulate cortex mediates real-life effects of nonexercise activity on energy. Sci Adv. 2020 Nov 6;6(45):eaaz8934. doi: 10.1126/sciadv.aaz8934. PMID: 33158875; PMCID: PMC7673710.

https://doi.org/10.1126/sciadv.aaz8934