あなたは保守かリベラルか?
いきなりですが、あなたは上記の図形が円だと思いますか?
実はその答えによって、私たちの性格は「保守的」か「革新的」かの2つに大きく分かれます。
これは2015年にクイーンズランド大学ビジネススクールのタイラー・G・オキモト、ペンシルベニア大学ウォートンスクールのデナ・M・グロメット博士らが行った実験で、円のほかにも三角形、正方形などを模した曖昧なかたちで描写されている図形をいくつか実験参加者に見せて、それがどういう形に見えるのかを尋ねました。
円ですと答えた人の心理
そして、質問の回答結果を参加者の性格診断テストの結果と照らし合わせたところ、 「図形は円です」と答えた人たちは、政治的にリベラルなものを支持する傾向があり、ホームレス支援や格差の解消などの政策を支持しました。
さらには、こうした人たちは、同性婚やマリファナの解禁といった内容にも寛容な反応を見せました。
つまり、曖昧な図形を大きな枠でとらえられる人は、社会の多様性にも寛容になるのです。
円ではないと答えた人の心理
逆に、「この図形は円ではない」と答えた人たちは、政治的に保守的なものを支持する傾向があり、経営者の権利を守ったり、国防や安全性を強調する政策を好むといった傾向がありました。
また、移民政策には否定的で、売春やドラッグなどの犯罪にも厳罰を求め、少数派や貧困層への公的支援や財政的支援にもあまり乗り気にはなりませんでした。
つまり、曖昧な図形の細かな部分が気になり、安定性を求めるあまり社会の多様性にも不寛容になってしまうのです。
保守的な人は差異が気になって仕方ない
この研究の結果は、保守的な人は、リベラルな人に比べて、完全な形と不完全な形との差異が大きいと報告し、逸脱に対する感受性が高いことを示しています。
つまり、保守的な人ほど完璧な図形と不完全な図形の違いを大きく見積もる心理的な傾向があり、その心理的な傾向がそのまま社会的な政策の内容にも反映されているということです。
保守的な人が不寛容になりがちな理由
こうなる理由は、保守的な人の「差異」に対する感受性が強いからです。
犯罪行為を許せなかったり移民の受け入れが怖い人は、曖昧な図形のかたちも気になってしまうのです。
保守派とリベラル派の心理の違いについては以前にも解説しましたが、社会的な意味を持たない対象であっても、保守的な人は逸脱や差異に敏感に反応してしまうのです。
参考論文
Okimoto TG, Gromet DM. Differences in sensitivity to deviance partly explain ideological divides in social policy support. J Pers Soc Psychol. 2016 Jul;111(1):98-117. doi: 10.1037/pspp0000080. Epub 2015 Nov 16. PMID: 26571208.