保守的な人の性格的特徴
異なる政治的思想や見解を持つ人たちが繰り広げる論争は、どこにでもあり、根強く存在しています。
社会の伝統と安定を支持する人(保守派)は、社会の革新と改革を支持する人(リベラル派)と戦います。
過去の研究によると、リベラル派と保守派の違いは、芸術の好みから閉鎖性を求める気持ちまで、また、嫌悪感への感度から新しい情報を追求する傾向に至るまで、政治と直接的な関連のテーマにまで広がっています。
面白いことに、政治の話題意外にも、保守派とリベラル派では意見が大きく分かれるのです。揉めやすいはずですよね。
特にこれらの違いの中でも、リベラル派と保守派を最も分け隔てるものは、ネガティブなものに対する生理的・心理的反応の違いです。
ネガティブバイアスが強い人は保守的になる
研究によると、リベラル派と比較して、保守派はネガティブな刺激への生理的反応が大きく、また、ネガティブなことにより多くの心理的リソースを割く傾向があることがわかっているのです。
これは2014年に行われたネブラスカ大学政治学部のジョン・ヒビング、ケビン・スミス、ライス大学政治学科のジョン・アルフォード博士らの実験で、保守的な人はポジティブな情報よりネガティブな画像(出血や怪我などのグロテスクなもの)やネガティブな情報に注目する傾向があったのです。。
つまり、保守的な人は性格的にネガティブなものへの反応が強く(ネガティブバイアス、ネガティビティバイアス)、それゆえに危機に対して不安や不快感を感じやすいのです。
良い面より悪い面に反応しやすい
保守派の人は移民や社会的な変化をあまり受け入れず、安定したものを求めたがります。変化によって得るものよりも失うものに注目する傾向があるのです。
このようにリベラル派と保守派は、ネガティブな環境や出来事に対する生理的・心理的反応の性質が違うので、性格にも違いが出てきます。
保守寄りの人にはとにかく物事の変化だったり、不確定要素の多い多様的なものがストレスになりやすいのですね。
怖がりな保守派がダメというわけではない
これはどちらの性質がより優れているのかという話ではありません。
例えば、外交上の政策の脅威が現実のものであることが判明した場合には利益を守ることにつながり、保守的な対応は非常に価値があります。
一方で、脅威が現実的でなかった場合には、リベラル的な対応は、保守的な対応が見逃してしまう利益を得ることができるのでこちらも価値があります。
政治的な思想に関しては、個人の性格や好みの違いと割り切って相手をさげすむことなく付き合っていくことが大切ということですね。
ちなみに、保守的な性格だからと言ってうつ病になりやすいという傾向は特に見つかりませんでしたので安心してください。
参考論文
Hibbing, J., Smith, K., & Alford, J. (2014). Differences in negativity bias underlie variations in political ideology. Behavioral and Brain Sciences, 37(3), 297-307. doi:10.1017/S0140525X13001192