くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

勘の鋭い人だけが持っている能力とは?

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勘の科学的な正体とは?

 

世の中には勘の鋭い人というのがたまにいます。

 

ほんのちょっと人の顔を見たり話したりするだけで、「あれ?いつもと違うけど、なんかあった?」という感じで相手の変化に気づいてしまう人です。

 

一方で、髪を切ったりダイエットに成功したのに、変化に一切気づかない鈍感な人もいます。こういう人たちと勘の鋭い人たちとは何が違うのか?ということを解説します。

 

勘の正体に関する研究

 

2014年にメルボルン大学のピアース・D・L・ハウ博士、マーガレット・E・ウェッブ博士らの研究によると、「よくわからないけど何となく」で感じる”勘”は、脳みその処理速度が視覚的な情報に追いついていないために感じられる直感的な違和感であることがわかっています。

 

この研究では学生を対象に、「写真を1.5秒見せる→1秒ポーズ→先ほどの写真に少し変化を加えた写真を1.5秒見せる」というデザインで4つの実験を行いました。

 

写真の変化は、例えば、写真に移る人物が眼鏡を外してみたり向きが反転したり、写真の色が変えられたり、あるいはまったく変化させないものも入れて調査されました。

 

そして、2つの写真を見せたあとで実験参加者たちに「何か変化はありました?」と質問し、どこが変わったのかを特定してもらいました。

 

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勘とは、変化の存在に気づく能力

 

研究者が変化について尋ねると、参加者たちは「何かが変わったことに気づいたのですが、具体的にどこが変わったのかはわからなかった」のです。

 

面白いですね。私たちは、瞬間的な変化の場合、具体的な変化の内容については知覚できないけれど、変化が起きたことには気づくのです。

 

人間の脳みそは、小さな変化を感覚的に感じ取る能力があり、これが勘の正体だったのです。直感ってすごいですね。

 

脳内処理が追い付かないとマインドサイトが起こる

 

過去に先行研究を行ったブリティッシュコロンビア大学のロナルド・A・レンシンク博士は、この能力を「マインドサイト」と呼んでいます。

 

どうしてこのような現象が起こるのかというと、私たちの脳みそには処理をすることが多すぎるので、認識力をすべての変化に投じることができず、「変化があった」というより大きな事象に割り当てられるからです。

 

つまり、視覚的な注意力の限界があるので、具体的な変化の特定までには至らないのですが、変化を発見することはできる!ということです。

 

勘の鋭い人たちは、このマインドサイトの能力が高いのですね。

 

研究では触れていませんが、もしかするとHSPの人ほどこのマインドサイト能力が高いかもしれません。

 

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ほとんどの人は鋭い勘を持っている

 

実験では7割の人たちが変化の存在に気づいていましたので、ほとんどの人はこのマインドサイトを持っているということになりますね。

 

これは仮説ですが、おそらく変化に気づけない人は別のことに脳みその注意力を持っていかれているのでしょう。人間はちょっとした出来事でも盲目になりますからね。

 

ちなみに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のダニエル・J・シーゲル博士も「マインドサイト」という本を書いていますが、こちらは内観という意味で使われているセラピー方法で、今回解説したマインドサイトとは異なるものです。

 

・脳をみる心、心をみる脳:マインドサイトによる新しいサイコセラピー 自分を変える脳と心のサイエンス | ダニエル・J・シーゲル, 山藤 奈穂子, 小島 美夏 |本 | 通販 | Amazon

 

 

参考論文

 

Howe PDL, Webb ME (2014) Detecting Unidentified Changes. PLOS ONE 9(1): e84490. 

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0084490

Rensink RA. Visual sensing without seeing. Psychol Sci. 2004 Jan;15(1):27-32. doi: 10.1111/j.0963-7214.2004.01501005.x. PMID: 14717828.

https://doi.org/10.1111/j.0963-7214.2004.01501005.x