くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

嫌味を言ったり愚痴をこぼす人の本心は?

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社会の中で生きるために重要なソーシャルサポートとは?

 

ソーシャルサポートという言葉があります。身近な人たちから受けられる支援のことです。この支援は物質的なものでも心理的なものでもよく、とにかく誰かに助けてもらえればいいのです。

 

ソーシャルサポートを満足に受けられる人は、困った時には誰かに助けてもらえるだろう!という安心感を持つことができます。

 

また、助けてくれる相手は身近な友人、家族、職場の同僚など、どんな属性や間柄でも問題はなく、「きっと誰かが助けてくれる」という期待や安心感があることが重要です。

 

ソーシャルサポートを受けられない人は心も体も不健康になる

 

逆に、このソーシャルサポートが期待できないと、メンタルヘルスにも肉体の健康にも悪影響が出てしまいます。

 

例えば、病気になりやすくなったり、自信を失いやすくなったりしてしまうのです。助けてもらえるという安心感の影響力は思っている以上に大きいものなのです。

 

研究によると、ソーシャルサポートの価値をお金に換算すると、年間で760万円ほどにもなるとも言われています。それくらいソーシャルサポートは私たちにとって大切なことなのですね。

 

つまり、ソーシャルサポートは健康的で豊かな気持ちで生きるために欠かせない心理ポイントになる!ということです。

 

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ソーシャルサポートが受けられない人たちの特徴

 

というわけで、幸せになるためにも重要なソーシャルサポートなのですが、ある特徴を持っている人たちはこのサポートをうまく受け取れないことがわかっています。

 

その特徴とは、自尊心の低さです。

 

2019年にクラッカマス・コミュニティ大学社会科学部のブライアン・P・ドン、サイモンフレイザー大学のユティカ・U・ギルメ、ヴィクトリア大学ウェリントン校のマシュー・D・ハモンド博士らが行った研究によると、自尊心が低い人ほど助けを求めるのが下手だったという結果が出ています。

 

頼みごとが下手な人は間接的な支援をしてしまう

 

これは合計176組の男女のカップルを対象にした2つの観察研究で、まず実験に参加したパートナー同士で、個人的な目標(年収を上げたい、資格を取得したいなど)を7分ほど語り合ってもらいました。

 

それから、パートナーに目標を達成するためのサポートを頼んでもらいました。その様子を研究者が観察して、人々がどのように頼みごとをするのか、また相手のその求めに対してパートナーがどのような反応するのかを記録したのです。

 

世の中には他人に頼みごとをするのが苦手だったり頼み方が下手な人がいるのですが、そういう人たちはどういう特徴を持っているのか?を調べたのですね。

 

「何もそんな言い方しなくても…」という感じで、相手の要求で嫌な気分になったり呆れた経験がある人もいるかと思います。そういう人はやっぱりソーシャルサポートも満足に受けられないのですね。

 

そしてデータを分析した結果、自尊心が低い人ほど「間接的な支援」を相手に求める傾向があり、「間接的な支援」を求めるほどパートナーに否定的な反応をされてしまう!ということがわかったのです。

 

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間接的な支援とは?

 

ここで言われている「間接的な支援」というのは、パートナーの前でため息をついてみたり、ちょっと悲しげな表情を浮かべてみたり、愚痴をこぼしてみたりと、何となく助けて欲しそうな雰囲気や何かして欲しいような空気を醸し出して、遠回しなお願いで相手にサポートしてもらおうとする方法のことです。たまにいますよね、そういう人笑。

 

しかし、このように遠回しな言い方や表現で他者にサポートを要求すると、求めに対して相手から批判や非難を受けたり、要求を承認してもらえない可能性が高くなるのです。まぁ気持ちはわかりますよね。

 

つまり、ソーシャルサポートが受けられない人たちは頼み方が下手で、それは自尊心が低いからということです。

 

自尊心が低いと嫌味っぽくなる理由

 

どうして自尊心が低いと頼み方がまわりくどくなってしまうのかと言いますと、相手にお願いを拒否されたり嫌われることを過剰に怖がってしまうからです。

 

そもそも他者に助けを求める行為には、拒絶される(相手に頼みごとを断られる)というリスクが必ず含まれます。絶対にお願いを聞いてもらえるという保証はないのですね。

 

そして、自尊心が低い人は、社会や個人から拒絶されることをひどく恐れているために、頼みごとへの恐怖心が他の人よりも強くなってしまっています。

 

その強い恐怖心のせいで、自尊心が低い人は、相手に拒絶されるというリスクから自分を守ろうとして間接的な支援を使ってしまうのです。こうして流れを説明すると、切ない心理現象ですね。

 

つまり、人に嫌われることを過剰に怖がっていると、頼み方が遠まわしになったり嫌味っぽい言い方になって、余計に相手に嫌われやすくなってしまうのです。どんどん孤立していきそうですね。

 

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頼みごとをする/される時の注意点

 

というわけで、人に何かを頼むときは、遠回しな言い方だったり愚痴っぽい話といった間接的な支援を行わないように気をつけることが大切です。

 

そしてなるべく素直に「〜して欲しい」と頼みましょう。

 

また、逆に下手な方法でお願い事をされたときは、なるべく相手に優しく接して、「どうして欲しいですか?」と聞いてあげて、直接的な支援をするように相手を誘導してあげましょう。

 

これは結構ためになる話だと思うので覚えておいてください。

 

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参考論文

 

Don BP, Girme YU, Hammond MD. Low Self-Esteem Predicts Indirect Support Seeking and Its Relationship Consequences in Intimate Relationships. Personality and Social Psychology Bulletin. 2019;45(7):1028-1041. doi:10.1177/0146167218802837

https://doi.org/10.1177%2F0146167218802837