くるちょろ心理学研究所

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【恋愛心理】相手は本当にこの人でいいのだろうか?と悩む心理を解説

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迷いが生じる恋愛

 

「本当にこの人でいいのだろうか?」と疑問を持ったり、関係を考え直したり、付き合うかどうかを迷ったりして、優柔不断になることなく恋の相手を選べたら、どんなに恋愛はスムーズに進展するでしょうか。

 

実際に過去の研究によると、こうした「疑いの感情」を持っている人ほど実際に恋愛関係に発展しにくいということがわかっています。

 

では、迷わなければそれでいいのか?というと、これも違います。恋に落ちやすくなれば、危険な人にばったりと出会ったときに身の安全を守れません。

 

つまり、恋愛を豊かにするためには、適切な「決断力」と「疑問や迷い」という相反する概念を組み合わせることが大切なのです。

 

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大きな決断にはネガティブな感情がつきもの

 

考えてみれば、恋愛に限らず、私たちが大きな意味のある決断をするときには、常に不安や苦痛といった感情が伴っています。

 

職業の決めるときや住む場所の選ぶとき、そして新しいことを始めるときなどです。

 

つまり、ネガティブな思考に対処することは、私たちが成功するうえで、また生きていくうえで必要不可欠なことなのです。

 

すぐに決断できなくなる心理

 

このアンビバレントな(相反する)考え方は複雑ですが、私たちがより豊かで満足度の高い人生を送るために大きく貢献しています。

 

恋愛においても、好きな人のことを嫌いになってしまうときがあります。

 

たとえば、相手の良いところを思い浮かべては好きになるでしょうし、同時に相手の嫌なところを思い浮かべては嫌いになるでしょう。

 

人が優柔不断になる心理的な背景には、感情的なアンビバレンスがあります。このように、相反する価値観があると、即断即決の行動がとれないことがわかります。

 

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アンビバレンス知覚を高めるメリット

 

しかし、これは必ずしも悪いことばかりではありません。

 

なぜなら相反する価値観を含めて、複数の視点を持っていれば、より深い現実を見て、豊かな人生を送ることができるようになるからです。

 

実際に、このアンビバレンスを知覚する傾向が高い人は、認知柔軟性が高く、偏見を持ちにくく、世界の複雑さや多様性をよりよく見ているという研究結果があります。

 

相反する感情で偏った意見を持たなくなる

 

2020年に行われたケルン大学(ドイツ)のアイリス・K・シュナイダー、オリバー・ゲンショー、ユトレヒト大学(オランダ)のシーダ・ノーヴィン、アムステルダム大学(オランダ)のフレンク・ヴァン・ハーレヴェルド博士らの研究によると、アンビバレントな情報を与えられた人は間違った思い込みをする傾向がなくなることがわかっています。

 

これは1000人以上の男女を対象に4つの実験を行った研究で、たとえばそのなかのひとつでは、2回の学歴テストを行い、最初のテストの後では「あなたの成績は平均より良かったですよ!」という報告をし、後のテストでは「あなたの成績は平均よりも悪かったです!」という報告をして実験参加者にアンビバレントな感情を持たせました。

 

すると、そのようなアンビバレントな情報を与えられた人たちは、自己奉仕バイアスと対応バイアスという2種類の思い込みが減ったのです。

 

自己奉仕バイアスと対応バイアスについて

 

自己奉仕バイアスは、「すべての成功は自分の才能のおかげで、失敗は状況が悪かったせいだ」と思い込む心理のことです。

 

対応バイアスは、そのときの状況を無視して人の性格や能力を行動だけで結果を判断してしまう心理のことです。

 

どちらも私たちの判断力を鈍らせて、間違った決断をしてしまう原因となるものです。この心理現象が、アンビバレントな感情を持つことで改善されたのです。

 

つまり、「何かを疑う」という人間の習性は、私たちが正しい判断をするうえで必要不可欠なものだったのです。

 

アンビバレンス特性が高い人は、より良い選択をし、よりバランスの取れた考え方を持つことができます。

 

 

相反する状況を考えるとバイアスがなくなる

 

ちなみにミシガン大学が過去におこなった研究では、頭の中でアンビバレントな状況を思い浮かべるだけでも、人はこのバイアスを減らすことができることがわかっています。

 

もしも何か大切な決断をするときにはアンビバレントな状況を思い出してみるといいかもしれませんね。

 

もちろん、好きな人を疑いすぎると恋愛感情から遠ざかってしまいますが、ある程度の疑いを持つことは健全です。

 

好きな人だからと言って、何も全面的に信頼する必要はないのですね。これは恋人や配偶者が間違った決断をしないためにも必要な心理です。

 

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参考論文

 

Schneider IK, Novin S, van Harreveld F, Genschow O. Benefits of being ambivalent: The relationship between trait ambivalence and attribution biases. Br J Soc Psychol. 2021 Apr;60(2):570-586. doi: 10.1111/bjso.12417. Epub 2020 Sep 7. PMID: 32893893.

https://doi.org/10.1111/bjso.12417

Naomi B. Rothman, Michael G. Pratt, Laura Rees, and Timothy J. Vogus, 2017: Understanding the Dual Nature of Ambivalence: Why and When Ambivalence Leads to Good and Bad Outcomes. ANNALS, 11, 33–72, 

https://doi.org/10.5465/annals.2014.0066

Rees, Laura & Rothman, Naomi & Lehavy, Reuven & Sanchez-Burks, Jeffrey. (2013). The Ambivalent Mind can be a Wise Mind: Emotional Ambivalence Increases Judgment Accuracy. Journal of Experimental Social Psychology. 49. 360–367. 10.1016/j.jesp.2012.12.017. 

https://doi.org/10.1016/j.jesp.2012.12.017