くるちょろ心理学研究所

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【愛着スタイルの心理学】好きでもない人と付き合うことの危険性を心理解説

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愛を感じられないとストレスレベルが上がる

 

マサチューセッツ大学アマースト校心理脳科学部のポーラ・ピエトロモナコ、リンジー・A・ベック、アライン・G・セイヤー、サリー・I・パワーズ、ケイシー・J・デビュース博士らの研究によると、お互いに愛を感じられていないカップルでは、ストレス反応が大きくなるということがわかっています。

 

2013年に225組の新婚カップルを対象に3~4年にわたって追跡調査をしたこの研究では、人々がお互いに愛着を感じているかどうかが、ストレスに対する反応を示すコルチゾールレベルに影響を与えていることがわかっています。

 

この研究では、親密さを強く求め、安心感やサポートを求める「不安型の愛着」を持つ妻と、「回避型の愛着」を持つ夫を含む夫婦の間では、二人の衝突に関する話し合いを頭の中で想定するだけでもコルチゾールレベルが急上昇してしまうことが判明しました。

 

不安型の妻と回避型の夫のカップルは、衝突や葛藤について話し合うことをより困難に感じているようで、そのために二人は重要な話し合いからも逃げがちになってしまっているのです。

 

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愛着回避と愛着不安について

 

愛着回避の高い人は、他人に近づいたり頼ったりすることに不快感を覚え、感情的な距離を保つことを好みます。

 

その結果、彼らは苦痛を軽視し、脅威から注意をそらし、過度に自分自身に依存します。

 

対照的に、愛着不安が高い人は、過度の親密さを望んでおり、パートナーが自分を愛し、助けてくれるかどうかについて常に心配しています。

 

その結果、彼らは自分たちの苦痛に注意を向け、その苦痛を大きく表現し、パートナーからの親密さと安心を絶えず求めるようになります。

 

健全型の愛着スタイル

 

健全な人では、この愛着回避と不安が少ないです。

 

彼らは他の人に近づき、依存することに満足しており、パートナーの可用性と応答性に自信を持っています。

 

その結果、彼らは自分たちの苦痛をうまく調整し、感情的な幸福を取り戻すことに長けており、必要に応じて、ふれあいとサポートをパートナーに頼ることができます。

 

話し合いができない回避型カップルは死にやすい

 

先に紹介した研究結果のように、話し合いを避けたがるカップルは、相手の気持ちを理解できず、困った時でも自分からサポートをお願いすることもできないため、うつ病や不安の症状のリスクが高くなる可能性があります。

 

さらには、皮肉なことに、カップルでネガティブなことに関する話し合いを避けること自体がストレスの元凶にもなってしまっているのです。

 

また、この研究では、二人が不安型のカップルでは同じようなストレス反応が見られなかったという不思議な結果が出ています。

 

どうやら不安を感じたり回避することよりも、二人の愛着スタイルが一致していることの方が人間関係には重要になってくるようです。

 

この愛着スタイルの一致による影響を心理学用語で、「カップル効果(couple effects)」または「インタラクティブ効果(interactive effects)」と呼びます

 

不安型カップルは不幸になりやすい

 

しかし、不安型同士のカップルにも問題がないわけではありません。

 

たとえば、不安型のパートナー同士のカップルでは、一方のパートナーの愛着不安がもう一人の愛着不安を増幅させる可能性があるため、二人が喧嘩をしている状況では特に有害になるリスクがあります。

 

これにより、両方のパートナーが相手に誤解され、無視されていると感じるようになってしまうかもしれません。

 

研究によると、カップルが二人とも愛着不安を抱いている場合には、カップル間の葛藤が最も高くなってしまうことがわかっています。

 

これはある意味で最も不幸な組み合わせのカップルともいえるかもしれません。

 

というわけで、愛着不安も愛着回避も少ないに越したことはありません。

 

愛を過剰に求めすぎたり問題から逃げすぎることのないように、好きな人とは適度に話し合い、相手への理解と共感を示すことが大切です。

 

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参考論文

 

Pietromonaco PR, DeBuse CJ, Powers SI. Does Attachment Get Under the Skin? Adult Romantic Attachment and Cortisol Responses to Stress. Curr Dir Psychol Sci. 2013 Feb 1;22(1):63-68. doi: 10.1177/0963721412463229. PMID: 25309053; PMCID: PMC4192659.

https://doi.org/10.1177/0963721412463229

Beck, L. A., Pietromonaco, P. R., DeBuse, C. J., Powers, S. I., & Sayer, A. G. (2013). Spouses’ attachment pairings predict neuroendocrine, behavioral, and psychological responses to marital conflict. Journal of Personality and Social Psychology, 105(3), 388–424. 

https://doi.org/10.1037/a0033056