人が感謝の心を忘れてしまう理由
もしもあなたが幸せな出来事や感謝すべきことを当たり前だと思ってしまい、感謝の心を忘れていても、それ自体は特別悪いことではありません。
これは快楽適応と言って、私たちが良い出来事や悪い出来事に慣れるように進化してきたためです。辛いことと同様に、楽しいことにも慣れてしまうのが私たちの心なのです。
そこで今回は、この快楽適応の心理をうまく外して、感謝と喜びを感じられる方法を紹介していきます。
他の人の視点で見るために会話する
よくあるテクニックの一つですが、もしも他人の視点で物事を見るのが難しい場合には友達と会って話してみてください。
友達はときどきあなたに対する感想や思いを口にしてくれます。そのような言葉があなたに別の視点や考え方をもたらしてくれるのです。
たとえば、あなたが髪型や服装のスタイルを変えていたらそれについて何か言ってくれるかもしれません。
あなたにとってはすでに当たり前になっていた新しいヘアスタイルも、そうやって気づかされることで再び新しい気持ちで見つめることができます。
あるいは家族や恋人の話になったとき、どれだけ長い関係が続いているかを認識させてくれる話になれば、あなたは今ある人間関係の価値について再び思い出すことができます。
終わりを考える
自分にとって良いことが終わろうとしているとき、私たちはその出来事をより高く評価する傾向があります。
2008年に行われたポモナ・カレッジ(アメリカ)のハイメ・L・カーツ博士の研究によると、「卒業が間近に迫っている!」と考えた大学生は、「卒業はまだまだ先だ」と考えた大学生よりも、幸福度が高く、より多くの活動を大学内で行っていることがわかりました。
物事の終わりについて考えることは心理的にプラスに働きます。終わってしまうのが良い出来事なら私たちを活動的に変えてくれますし、悪い出来事の終わりが近づいていると感じることができたら私たちは励まされます。
ときどき終わりについて考えてみましょう。
死について考える
死について考えると言うと、少し病的に聞こえるかもしれませんが、自分の死期を思い出すことは、実際に不幸を減少させ、感謝の気持ちを高めることにつながります。
臨死体験の話を聞いたことがあると思いますが、臨死体験を経験した人たちは人生に大きな変化を感じて新しい気持ちで生きるようになります。
先ほども言った通り、終わりについて考えることはプラスに働きます。
つまるところ、死というのは人生という最大にして最重要なイベントの終わりについて考えることなのです。
人間の心には恐怖を乗り越えようというセーフシステムが備わっているので、自分の死について考えると、無意識に心が明るくなる。有名な7つの習慣にもありましたが、たまには自分の葬儀の光景とか思い浮かべると良いですね。
— ちょっぺ〜先生@心理学博士 (@kruchoro) 2020年8月20日
「大切なものがなかったら?」と考える
いま大切だと思うもの、人に出会っていなかったらと考えてみましょう。そう考えることで大切なものげの思いがより際立つようになります。
例えば、大切なパートナーに会っていなかった場合、あなたの人生はどのようなものになっていたのかを想像してみてください。
もしくは、友人と出会っていなかったら?今の仕事に就けていなかったら?好きなものや趣味、特技がなかったとしたら?
こうした大切なものの欠如を想像して、あなたのいまの生活は、性格は、人生はどのように異なっていたのかを考えてみましょう。
憂鬱な映画を見る
この方法も少し奇妙に思えるかもしれませんが、気分が滅入るような映画を見ることもおすすめです。
研究によると、悲しい映画は笑えるコメディ映画よりも喜びと感謝の気持ちに味わせてくれることがわかっています。
またホラー映画には心理的にタフにする効果もあります。暗い映画が苦手でないのであれば、ちょっと試してみてください。
つらかった時のことを思い出す
つらかった時期や調子が悪かった時期を思い出すことによって、そうした状況を乗り越えて現在の幸福な日々を生きていることに感謝が示せるようになります。
ある研究では、「自分が~ではないことに喜びを感じます」という文章を完成させた参加者は、人生にもっと満足するようになったことがありました。
しかし、過去に起きたネガティブな出来事の記憶は、時間とともに風化して忘れ去られて行く傾向があります。なので、たまにはつらかった時期のことを思い出して現在の状況を見直すことが大切です。
参考資料、論文
Kurtz JL. Looking to the Future to Appreciate the Present: The Benefits of Perceived Temporal Scarcity. Psychological Science. 2008;19(12):1238-1241.
https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02231.x
When gratitude is hard, try this
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