くるくるちょろちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

幸せになるための意外な方法!嫌なことをわざと思い出してみる

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最悪の体験を思い出す

これは一見すると幸福度下がってしまいそうな方法ですが、過去に起きた最悪の体験を今一度思い出してみることで、今現在の幸せな状態をより一層際立たせることができます。

 

不幸だった時の状況と今の状況を対比することで、「あの時に比べれば、今の自分はこんなにも幸せな状態なのだ!」と感じるようになり、幸せな気持ちと一緒に感謝の心も感じることができるようになります。

 

そのときに重要なのは、感謝の気持ちを込めて出来事を再評価することです。

 

 

感謝の気持ちを込めると嫌な記憶がなくなる

 

今回紹介するのは2008年のイースタンワシントン大学心理学部のフィリップC.ワトキンス 、リリア・クルス、ヘザー・ホルベン、ラッセル・L・コルツ博士らの研究です。

 

この実験では参加者は3つのグループに分かれて、それぞれ、中立的なトピック、不幸な出来事、不幸な出来事から得られた今では感謝できると感じるポジティブな結果についてのエッセイを20分間書いてもらいました。

 

3番目のグループには、困難な経験の良い側面に焦点を当ててもらい、その経験のどのような点が今自分たちに感謝の気持ちを持たせるのかについて考えてもらいました。

 

不幸な出来事を書くグループには、大切な人との別れ、裏切り、被害を受けたこと、個人的に動揺した経験などのテーマで書いてもらいました。

 

閉塞感と不快な感情を自然と減少させる感謝エッセイ

 

するとその結果、不幸な経験を感謝の気持ちを持ちながら書いた人たちは、ただ不幸な経験について書いただけの人たちよりも、閉塞感と不快な感情が少なくなったのです。

 

このとき感謝の気持ちを持って不幸な出来事を思い出してもらった参加者には、ネガティブなことについて考えないようにだとか痛みを否定したり無視してくださいと指示したわけではないのにも関わらず、ネガティブな感情が減少したのです。

 

自己否定的な考えを反芻しなくなった

 

さらに、不幸な出来事に感謝できる理由を見つけられた人たちは、なぜそのようなことが起こったのか、それを防ぐことができたのか、自分のせいで不幸な出来事が起きたのだといったようなことを考えなくなっていました

 

起きた出来事についてクヨクヨと考えなくなったのですね。

 

この研究では、感謝の気持ちを持って考えることで、不幸な記憶が癒され、正常な記憶を取り戻すことができることが示されています。

 

似たような研究は過去に何度か紹介していますが、心理学の世界ではわりと定番のテクニックになりつつあるのかもしれないですね。

 

失恋した時にも使えるテクニック

 

これは失恋したときにも有効なテクニックで、よく「昔の恋人との思い出に浸るな!前を見ろ!次の恋へ行け!」みたいなアドバイスがありますが、これは間違っています。

 

もしも失恋の傷が癒えてないまま無理やりに次の恋へ行ってしまうと、ろくでもない相手に捕まってしまうリスクが高くなります。

 

なので、失恋した相手との思い出や過去の問題と十分向き合ったほうがいいのです。別れた恋人の写真や動画等の記録もすぐ捨てるのではなく、見たいときに見てゆっくりと現実を受け止めていくことが大切です。

 

不幸な出来事とは向き合うことが大切

 

というわけで、最後は失恋のアドバイスもしましたが、幸せになるためにはきちんと不幸な出来事と向き合うことが大切なのです。

 

特に不幸な出来事が思い浮かばない場合は、不幸な体験を他人から聞いて、「自分はまだマシだなぁ」と思うテクニックもありますので試してみてください。

 

参考論文

 

Taking care of business? Grateful processing of unpleasant memories

https://doi.org/10.1080/17439760701760567