速読は疑似科学だと証明済み
最近はビジネス系のYoutube動画が増えてきた影響もあって、速読に関する動画も増えていますね。
とはいえ以前にも解説した通り、速読というのはただの読み飛ばし作業でして、練習してもできるようにはならないんですよね。眼球運動を鍛えるだとか視野を広くするトレーニングだとかを取り入れているセミナーやスクールがありますが、疑似科学ですのでお気を付けください。
しかし、そんな厳しい状況の速読の科学なのですが、誰にでもできるある簡単な工夫をすることで読書スピードを上げることができます。
その工夫というのが、一画面に表示される文字数を増やすことです。
文字数を増やすと読書スピードが上がる
2004年レディング大学のメアリー・ダイソン博士の論文から、画面に表示されている文字数が増えればそれだけ読書スピードが上がることがわかっています。
ダイソン博士は速読について研究する際に、画面に表示される文字のレイアウトの違いによって、読書のスピードが変わるかどうかを調べました。
すると実験の結果、次のような速読効果があることが分かったのです。
- より小さい文字を使ったほうが読書スピードが上がる
- 1行あたりの文字数が増えるほど読書スピードが上がる
- 画面に表示される文章数(行数)を増やしたほうが読書スピードが上がる
といったように、一画面に表示される文字数を増やすことで、誰でも読書スピードを上げることに成功したのです。
大画面で見たほうが速く読める
この実験では、画面の3分の2で文章を表示させた場合と、画面の3分の1で文章を表示させた場合とで被験者の読書スピードを測りました。
すると、画面の3分の2で文章を表示させたほうがスピードが速くなることがわかったのです。
kindleやスマホなどの端末で読書をする場合、表示画面は大きくなるように設定しておいたほういいようですね。
読書スピードが上がる心理的理由
このような結果になった心理的理由は、
ダイソン博士によると、1行あたりの文字数を増やすことで脳の負担が少なくなり、負担が軽くなったことで文章を処理するスピードが上がり、自然と読書のスピードも上がるとアドバイスしています。
文字が詰まっている方が脳みそは余計なエネルギーを使わなくて済むのですね。これはほかのことにも使えそうなアイディアです。
小さすぎる文字はダメ
ただし、注意点として、画面ごとの文字数を増やすために文字を小さくしすぎてもダメのようです。研究によると、だいたい1行あたり文字数が100文字ほどが理想とのことです。
逆に文字サイズが12ポイントよりも小さくなってしまうと読書のスピードは下がってしまうようです。
まぁ確かに文字が小さすぎると読みづらいですからね。そうなると、目の良し悪しや年齢も関係していそうですね。
「漫画で読む〜」みたいなビジネス本を漫画にした本がありますが、これの意外とおすすめなのが文量が少ないという点です💡
漫画にすることで絵を載せるスペースを取るために元の文章が削られるので、出版向けに水増しされた無駄な情報が少なくなり、本質的な部分だけを読み取ることができます💪✨
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2019年3月30日
紙の書籍は文庫本で代用すると良いかも
もちろん、今回の方法は紙の書籍ではできないのですが、kindleなどの電子書籍を普段から使っている人はぜひ試してみてください。何の苦労もなく読書のスピードが上がったら、こんなに楽なことはないですからね。
ただレイアウトを変えるだけですから、どんなに小さなスピードアップでも嬉しいですね。
今回の研究結果から考えると、紙の書籍を読む場合は行間が離れている大きなハードブックよりも文字が詰まっている小さな文庫のほうが読書スピードが速いということになりますね。なので、紙の本が好きな人はなるべく文庫版を読む方がいいかもしれません。
参考論文
Mary C. Dyson (2004) How physical text layout affects reading from screen, Behaviour & Information Technology, 23:6, 377-393, DOI: 10.1080/01449290410001715714