神経症的傾向とは?
神経症的傾向(Neuroticism)とは、外向性、開放性、誠実性、協調性とともに「ビッグファイブ」と呼ばれる性格特性の一つで、個人の性格的特徴を表しています。
神経症的傾向は、情緒の安定性や刺激に対してすぐに興奮してしまうかどうかといったことのほか、一度動揺したり心配したりすると簡単に落ち着くことができない傾向を反映した心理的な特性です。
つまり、神経症的傾向が高いと感情的になりやすく、逆に低いと自制が効きやすく衝動的にもなりにくくなります。
ストレス、ネガティブな感情の感じやすさ
神経症的傾向は、適応障害にかかわる不適応性(Maladjustment)や、否定的な感情、自己規制や衝動の管理能力の低さ、ストレスへの対処の難しさ、脅威に対する強い反応、不平不満の傾向などを含むネガティブな性格特性として扱われることが多いです。
全体として、神経症的傾向は、ネガティブな感情を経験する強さの度合いやその傾向であると考えられています。
イメージとしては、「神経症的傾向は、ストレスに対する反応の強さやネガティブな感情の感じやすさを表している」というふうに考えるとわかりやすいです。
神経症的傾向は病名ではなく、誰もが持っている性格の幅なのです。
人は幸せを求めるよりも不幸を回避することを優先します。だから、面倒くさいや不安という感情が勝ってしまって、なかなか行動を起こせません。挑戦ができない、人とはそういうものです。でも新しいコンビニスイーツは試してみようと思いますよね。つまり、小さな幸せのためになら動けるのです。重要。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2021年11月8日
神経症的傾向が高い人の特徴
一般的に、神経症的傾向のスペクトラムが高い人は、次のような特徴を示す傾向があります。
- ネガティブな感情に傾きやすい
- 不安感や焦燥感を感じやすい
- 感情の安定が悪い
- 自責の念を感じやすい、自分を責めやすい
- 自意識過剰で、内気になりやすい
- 悲しい、不機嫌、憂鬱な気持ちを感じやすい
- ストレスを感じやすい
- 動揺しやすい
- ストレスにうまく対処できない
- 気分が大きく上下しやすい、躁うつになりやすい
- レジリエンスの欠如がみられ、逆境から立ち直るのに苦労しやすい
- 様々なことを慢性的に心配する傾向がある
- 中立的な状況であっても、脅威的と解釈する傾向がある
- 些細な問題を大きな問題ととらえる傾向がある
- 衝動や感情を瞬時にコントロールすることが難しい
- 他の人が持っているものに嫉妬したり、羨望を感じたりしやすい
- 日常的な出来事に対する不満や怒りの感情の扱いに問題を抱えている
- 些細なことで恐怖感や罪悪感を感じる
これらの特徴によく当てはまる人は神経症的傾向が高い可能性がありますので、神経症的傾向に関する心理学の知識がより役立つでしょう。
参考論文
Thompson, E.R. (October 2008). “Development and Validation of an International English Big-Five Mini-Markers”. Personality and Individual Differences. 45 (6): 542–548. doi:10.1016/j.paid.2008.06.013.
https://doi.org/10.1016/j.paid.2008.06.013
Jeronimus BF, Kotov R, Riese H, Ormel J. Neuroticism’s prospective association with mental disorders halves after adjustment for baseline symptoms and psychiatric history, but the adjusted association hardly decays with time: a meta-analysis on 59 longitudinal/prospective studies with 443 313 participants. Psychol Med. 2016 Oct;46(14):2883-2906. doi: 10.1017/S0033291716001653. Epub 2016 Aug 15. PMID: 27523506.