くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

人が感じることができる2種類の幸せについて心理解説

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人間が感じる2種類の幸せ

 

ファスト&スロー」という心理学書を書いたことでも有名なプリンストン大学のノーベル賞心理学者ダニエル・カーネマン博士と、アンガス・ディートン博士らが2010年に行ったお金と幸せに関する研究を解説していきます。

 

この研究では、ギャロップ社の調査をもとにアメリカに住む45万人以上の幸福度に関するデータを分析した大規模な研究を行ったところ、人間が感じる幸福には「人生に対する満足感」と「感情的な幸福度」の2種類があることがわかったのです。 

 

幸せその1:人生に対する満足感とは?

 

ここで言う「人生に対する満足感」というのは、「記憶をもとに生まれる満足感や愛情のことで、過去の体験や未来への展望をもとに感じる幸せのこと」を指します。

  

簡単に言うと、「自分の人生は良い人生だ」と感じる気持ちのことです。

 

この人生の満足度は記憶をもとに作られていて、例えば、昨日のデートは素敵だった!去年の旅行は楽しかった!という感じで増加していきます。

 

人生で有意義なことをすればするほど増えていくのですね。

 

 

幸せその2:感情的な幸福度とは?

 

次に、感情的な幸福度は、経験をもとにした幸福感のことで、人生の一瞬ごとに感じる幸せを指します。マインドフルネスに近い感覚ですね。

 

簡単に言うと、「幸せだ!」と感じる気持ちのことです。みなさんが想像する幸福度という感じですね。

 

この感情的な幸福度は現在の経験をもとに作られていまして、例えば、マッサージが気持ち良くて幸せ!美味しいものを食べて幸せ!という感じで増えていきます。

 

こちらはとにかく瞬間的に幸せを感じることをすれば増えていくものです。

 

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お金があっても幸せになれないと言われる理由

 

研究によると、高い収入と教育(大学の卒業)は人生の満足度により強く関連しており、病気やケガ、介護、孤独な状態、喫煙といった指標は日常的な感情を大きく減少させていることがわかっています。

 

つまり、収入が上がる(または高い教育を受ける)につれて、人生の満足度も上昇していくのです。

 

対して、感情的な幸福度も所得とともにある程度は上昇するのですが、年間の所得が75,000ドル、日本円で800万円くらいを超えるとそれ以上増えなくなってしまいます。

 

これが有名な「お金の幸せは800万円で頭打ち」理論のもととなった研究結果です。

 

人生の満足度は収入とともに上がり続ける

 

しかし、感情的な幸福度とは異なり、人生の満足度は少なくとも120,000ドル、日本円で1300万円くらいをはるかに超える金額になるまでは上昇し続けます。

 

また、低所得になると、離婚、病気、孤独などの不幸に関連する感情的な苦痛を悪化させることもわかりました。

 

この論文の結論として、高収入は人生の満足度を高めるが、幸福度を高めることはできず、低収入は人生の評価と感情的な幸福度の両方を下げてしまうとのことです。

 

お金持ちになっても幸せになれないとは言っても、年収800万円くらいまでなら効果があるのです。また、低収入では様々な問題を抱えることになります。

 

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人生においてお金と同じくらい大事なものとは?

 

さらに言うと、低収入、孤独、喫煙、不健康などは感情的な幸福度も人生の満足度も下げてしまうので、できるかぎりはこれらの問題は避けたいところです。

 

とはいえ、逆に言うと、そこまで簡単にお金を増やせない!という人にも救いの手は大いにあるということになります。

 

今この瞬間の出来事に集中したり、楽しいイベントや趣味に没頭することで感情的な幸福度を増やすことができます。

 

勉強とマインドフルネスが人生を豊かにする

 

また、人生の満足度を高めたいのなら、収入以外にも教育が関係していますので、より質の高い勉強をしていけばいいのです。

 

というわけで、お金以外で幸せになるために大事なのは、「マインドフルネス」と「勉強」というお話でした。参考にしてみてください。

 

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参考論文

 

Kahneman D, Deaton A. High income improves evaluation of life but not emotional well-being. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Sep 21;107(38):16489-93. doi: 10.1073/pnas.1011492107. Epub 2010 Sep 7. PMID: 20823223; PMCID: PMC2944762.

https://doi.org/10.1073/pnas.1011492107