くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

孤独感はうつ病と糖尿病を発症させて死亡リスクも高める

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孤独と病気リスク

 

孤独は意外と不健康になってしまう要因の一つで、その影響力はタバコを同じくらいと言われています。

 

孤独感が与える悪影響は私たちが思っている以上に大きいのですが、さらに孤独は糖尿病を発症させてしまうリスクも高めてしまいます。

 

 

2020年キングスカレッジロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所のルース・A・ハケット、ジョアンナ・L・ハドソン、ジョセフ・シルコット博士らが、50歳以上の糖尿病のない男女4,112人を対象に行った研究によると、孤独な人ほど糖尿病にかかりやすかったことがわかりました。

 

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孤独な人は糖尿病のリスクが46%アップ

 

これは15年間にわたって追跡調査した研究で、調査期間中に2型糖尿病を発症したのは264人(6.42%)だったのですが、糖尿病になった彼らの中には孤独な人の割合が多いという結果が出たのです。

 

孤独な人たちは数字にしてなんと46%も多く糖尿病のリスクが増えていました。

 

これは喫煙、飲酒、経済状況、運動量、血糖値、血圧、うつ病などの因子を調整した後も残りました。

 

 

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一人暮らし=孤独ではない

 

ちなみに、社会的孤立(少数民族やLGBTなどのマイノリティに属する)や一人暮らしとは関連がなかったとのことで、一人暮らしをしていたりマイノリティに属していても、社会的なつながりをきちんと確保できていれば大丈夫なようです。

 

 

孤独が病気を引き起こす理由

 

孤独が病気を招く理由は、慢性化された孤独な気持ちがストレスシステムを刺激してしまうからです。

 

慢性的な孤独感は慢性的なストレスとなって、ゆっくりと時間をかけて肉体の健康を消耗させてしまうのです。孤独はストレスの一種なのですね。

 

孤独は死亡率を22%も高める

 

さらに孤独は、すべての原因による死亡の予測因子であることを示唆しており、孤独な人は非孤独な人と比較して死亡リスクが22%も高くなってしまいます。

 

孤独な人は心疾患に病気を抱えやすい

 

また、孤独感は心血管の健康に悪影響を及ぼし、心臓病の発症にも関連しています。孤独な人は心疾患も起こしやすいのです。

 

ほかにも、老化、肥満、メタボリックシンドロームとも関連していることが研究から示されています。

 

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孤独、糖尿病とうつ病の関係

 

また、孤独はうつ病と関連があることが示されているのですが、うつ病の人はうつ病のない人よりも2型糖尿病を発症する可能性が高いことを示唆する多くの証拠があります。

 

つまり、孤独になるとうつ病にもなりやすくなってさらに糖尿病にかかりやすくなってしまうという踏んだり蹴ったりな状態になってしまうのです。

 

さらには糖尿病を発症した人は、糖尿病を発症しなかった人抑うつ症状を発しやすくなります。糖尿病↔うつ病というふうに、負のスパイラルにもなっているのです。

 

孤独感が強い人はタバコを吸う

 

また孤独感が強い人ほどは喫煙率が高かったとのことでこれは過去の研究とも一致します。一方でアルコールの摂取量は大幅に低かったようです。

 

というわけで、孤独感がストレスを引き起こしてしまう要因で、健康に悪いのは間違いないようです。

 

 

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主観的な孤独感が重要

 

ただし、最初に言った通り、孤独といっても、マイノリティのように単純に社会から孤立していたり、友人が少ないということではなく、重要なのは「自分は孤独だ」という主観的な感覚です。自分で孤独だと思っている人は孤独感が強まり、それがストレスになるのです。

 

つまり、実際に孤独でも孤独だと自分で思っていなければ割と平気みたいです。もちろん孤独にならないに越したことはありませんが。

 

またこのパンデミックの期間中、多くの人は孤独による慢性的なストレスを感じていた可能性があるという注意も出ているので、孤独を感じやすい人はできるだけ友人や家族とのつながりを大切にしてください。

 

 

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参考論文

 

Hackett, R.A., Hudson, J.L. & Chilcot, J. Loneliness and type 2 diabetes incidence: findings from the English Longitudinal Study of Ageing. Diabetologia 63, 2329–2338 (2020).

https://doi.org/10.1007/s00125-020-05258-6