人間は現状維持が好き
私たちの体は現状維持を優先する性質を持っています。
その性質があるために頭では頑張って変わろうと決意しても、体がその変化を快く受け入れてくれず、私たちは結果として今まで通りの慣れ親しんだ行動を優先してしまうのです。
ホメオスタシス効果
ちなみに、この現状維持を優先する性質のことをホメオスタシスと呼びます。
この現状維持機能は基本的には私たちの体を守ってくれています。
例えば、運動をして体が熱もを持ち始めたときに私たちは発汗して体温が上がりすぎないように調整します。これも現状維持の一つです。熱が上がるままに放っておけば私たちは死んでしまいますからね。
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現状維持をすることで体を守っている
また、似たような性質でアロスタシスというものも発見されていますが、これは変化が起こる前に先に現状維持機能を働かせてしまうというものです。
例えば、私たちは糖分をとると血糖値が上がりますがこのままだとやはり体に悪いので、インスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌して現状維持しようとします。これを糖分をとる前に先に分泌してしまおうという先回りの機能がアロスタシスです。
こうした現状維持をしようとする機能が私たちの体には備わっているので、根付いた習慣を変えるのに苦労してしまうということが起こってしまうのですね。
変化は危険だと遺伝子に刻まれている
私たちの遺伝子の最優先事項は生き残ることなので、命を保つことができている現状を変化させることはむしろ危険だとみなされて自然と変化が拒まれてしまいます。
昔は食べ物や安全が簡単には確保できなかったことで、こうした現状維持の能力が有利に働いていました。その機能が今もまだ私たちの体の中に残っているのです。
この機能のせいであれこれと新たな決意をしても体が直感的に変化を拒んでしまうので、私たちは生活習慣などをなかなか変化させることができないのですね。
ですから、私たちが意識的に変化を望もうとするのならさらに頭を使う必要があります。押してダメなら引いてみろ。気合いでダメなら科学的に立証されたデータや知識を使ってこの課題を克服していきましょう。
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変わらない習慣を利用すれば、人は変われる
人の習慣がなかなか変わらないものであるのならば、その習慣の強さを逆に利用するというやり方があります。毎日する習慣に新しい行動をくっつけるというやり方です。
例えば、「お風呂に入るときに必ずスクワットをする」だとか「帰宅の時、家に入る前に必ず本を5ページだけ読んでから入る」といったような感じです。
これは自然と毎日、あるいは毎回している習慣に紐づけることがポイントです。
その習慣をやろうとするたびに新しく身に付けたい習慣や行動のことを思い出すので続けられるのです。
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新しい習慣を身につけるのは難しいと理解しよう
そもそも新しいことを始めたり、性格を変えようとするときに失敗してしまうのは、その新しい行動や理想とする性格になろうとしているということをつい忘れてしまうことが大きな原因です。
せっかく始めた運動習慣も、気づいたら何日も忘れてサボっていたということはよくありますよね。習慣化されていない行動というのは一回やめてしまうと再度始めるのも大変なのです。
そこで、いつもしている行動習慣に理想の行動や自分をくっつけて紐づけることでいつでも思い出せるような状態しておくのです。これだけで目標の達成度がかなり上がりますので、よかったらぜひ試してみてください。
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