対照的な顔は本当にモテるのか?
2001年にレーゲンスブルク大学(ドイツ)のクリストフ・ブラウン、クロース・マーバーガー、マーティン・グレンドル、クリストフ・シェルバー博士らがおこなった研究では、「顔の対称性はそこまで重要視されない要素である!」という結果が出ています。
これまでの魅力度に関する研究では対照的な顔がよりモテるとなっていたので意外な結果ですね。
今回の結果では、顔が対称的であっても、もともと魅力的ではなかった顔の魅力は変わりませんでした。
対照的な顔をしていても、それ以上に以前に解説したモテる顔の特徴を持っていなかったら「良い顔」とは判断されないのです。
対照的でも魅力は上がらない
一方で、顔が対称的でなくても、モテる顔の特徴を持った人の顔は美しいと判断されました。
たしかに非常に非対称な顔は魅力的ではない傾向にありますが、しかしだからと言って、非常に魅力的でない顔が自動的に非対称になるわけではありません。
同じように、非常に対称的な顔は必ずしも魅力的ではなく、非常に魅力的な顔にも対称性からの逸脱が見られる傾向があるのです。
つまり、顔が対称的だからと言って美男美女になるわけではなく、顔が非対称だからと言ってブサイク男女になるわけでもないということです。
平均的な顔は本当にモテるのか?
また、平均性に関しても、対称性と同じく、そこまで重要ではないという結果が出ました。
平均的な顔でなくても美しい顔は美しいと評価されたのです。なんやそれ!という感じですね笑。
むしろ、もともと美しい顔を持つ人たちが平均的な顔に編集された場合には、逆に魅力のレベルは下がってしまいました。
どうやら見た目の魅力に関しては、全体的な顔のバランスや比率よりも個々のパーツの状態が重要な要素になるようですね。
個々の顔のパーツのほうが大事
今回の研究では、平均性の法則も対称性の法則も、あまりに魅力的すぎる人の場合には当てはまらなくなる心理法則であることが示唆されました。
その人の顔が平均的かどうか対照的かどうかよりも、それ以外の顔のパーツの魅力が勝つのです。
そう考えると、部分的な部位を整える美容整形は魅力を高めるうえで効果的な方法なのかもしれません。
ただし対称性のときとは違い、顔を平均化することは一般的な顔を持つ人の魅力を高めることができました。
しかし、それでもやはりもともとが魅力的な顔の人たちにはかないませんでした。
魅力のない人が平均化されるとよく見えて、魅力的な人が平均化されても効果がない、あるいは悪く見えるというのは、チアリーダー効果のときと同じ理屈でしょう。
悲しいお知らせですが、顔だけで言うと、もとから美男美女の人には一般人はかなわないようです泣。
まぁ背の低い人が高身長の集団に交じってダンクシュートに挑戦しようとするようなものですから、これは仕方ないとあきらめるしかありません。
平凡な見た目の人ほど信頼度が高まることがわかっています。そう考えると、日本人が平均的な見た目や装いをしようとするのは実は理にかなっているんですね。平凡に活動することは相手の信頼を勝ち取ることにつながるのです。平凡な顔して生きていきましょう笑。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生@進化学と恋愛心理 (@kruchoro) 2020年8月11日
顔が良い人ほど優秀で良い性格に見える
最後に身もふたもない話をしますが、顔が良い人ほど「この人は社会的にも素晴らしい人である!」と他者から認識される傾向がありました。
要するに、顔が良いと性格まで良いように見える!という心理効果があるのです。
今回の研究では、魅力レベルの判断と、帰属特性である「成功している」「満足している」「好感が持てる」「知的である」「社交的である」「刺激的である」「創造的である」「勤勉である」との間には、男女ともに高い相関関係(0.8〜0.9)が見られました。
このように、見た目の魅力は社会的なイメージにも大きな影響を与えることがこの研究でもあらためて示されました。
参考論文
Braun, Christoph & Gruendl, Martin & Marberger, Claus & Scherber, Christoph. (2003). Beautycheck – Ursachen und Folgen von Attraktivität. www.beautycheck.de.