女性がオシャレをする心理的な理由
女性の中には、自信をつけたりポジティブな気分を高めるためにお化粧やオシャレなどの美化行動をとる人がいます。
女子中高生を見ればわかりますが、オシャレに対するこのような傾向は女性がまだかなり若いときからもすでに確認できます。
オシャレをすることは、ただ単に見た目の魅力を上げて異性にモテやすくなる以外に、女性に対して大きな心理的メリットをもたらします。
実は、女性は、自分の外見を美しくすることで、より高いレベルの心理的な自己表現(アサーティブネス)を示すことがわかっているのです。
お化粧は美しさを感じさせて大胆さをブーストさせる
2020年に行われたメルボルン大学(オーストラリア)心理科学部のカンディス・R・ブレイク 、ロバート・ブルックス、ロンドン大学経済学部心理行動科学科のリンジー・C・アーサー、ニューサウスウェールズ大学心理学部のトーマス・F・デンソン博士らの研究では、ロマンティックな気持ちになる状況において、美しくあろうとする習慣が自己主張(アサーティブネス)を高め、行動に変化が起こるかどうかを検証しました。
この研究では、18〜40歳の女性たち合計185人を対象に、「デートやパーティーに行くグループ」と「家で友人とリラックスして過ごすグループ」に分けて、服装やアクセサリー、メイクアップをしてもらい、暗黙的・明示的・行動的な自己主張、ポジティブな感情、性的動機などのレベルを測定しました。
その結果、女性は外見を美しくすることで、より高いレベルの心理的アサーティブネスを示し、自己主張のレベルが高まることがわかりました。
モテたいと思っている女性ほどオシャレ効果が大きい
また、性的な動機を高く持っている人ほど、外見を美しくすることによるアサーティブネスの改善効果が大きくなりました。
つまり、「モテたい!」という気持ちが強い女性ほどお化粧による心理効果が大きく出るのです。
オシャレはもともとは恋愛の心理から派生した心理現象ですから、恋愛感情が大きく影響しているのかもしれませんね。
オシャレ効果は仕事にも影響するのか?
多くの場合、女性がオシャレをする行動は、付き合っている恋人や新しい恋人の候補となる人に対して、自分の性的魅力をアピールする目的で行われます。
しかし、今回の研究結果は、そういった目的だけではなく、女性が自己主張やポジティブな気分を高めるためにもオシャレをすることを示唆しています。
たとえば、オシャレの心理効果は仕事のときにも発揮されます。
オシャレな女性のほうが就職試験がうまくいく
今回の実験の中で模擬就職面接を行った際には、オシャレをしたグループでは、より積極的に能力に関して自己アピールをし、この場合でもアサーティブな行動を増加させました。
つまり、単に外見を美しく着飾るという目的以外に、自分の本来の力を発揮したいと思ったときにも、女性は美化行動を起こし、さらに実際にそれは役に立つことがわかったのです。
また、この心理効果により、勉強をしている女子学生は、お化粧をすることで学業成績が向上する効果も期待できる!という研究結果も出ています。
こちらの研究はまた次の機会に解説しますのでお楽しみに。
参考論文
Blake, Khandis R., Robert Brooks, Lindsie C. Arthur, and Thomas F. Denson. 2020. “In the Context of Romantic Attraction, Beautification Can Increase Assertiveness in Women.” PLoS ONE 15 (3). doi:10.1371/journal.pone.0229162.