ADHDが悩みがちな先延ばしを克服する方法
今回は、先延ばし癖克服方法の続きです。
前回同様に、ハーバード大学医学部精神科の臨床心理学者で、ADHD(注意欠陥障害)の専門家でもあるロベルト・オリバルディア博士がおすすめする「先延ばし癖の撃退方法」について解説していきます。
先延ばし癖をなおす11の方法
紹介するのは2018年にオリバルディア博士がまとめてくれた、注意力が逸れがちな人向けの先延ばし癖撃退方法です。ポイントは次の11つです。
- 作業目標は小さく分割する
- やるべき作業の優先順位を整理する
- 心から楽しいと感じる作業だけに集中する
- 先延ばししてしまったたときの気持ちを想像する
- とりあえず15分だけ作業する
- やる気がある時間帯に作業する
- 勢いを利用する
- 時間制限を設ける
- 誰かに協力してもらう
- ルーティンに落とし込む
- 楽しいことを組み合わせる
すべて解説すると長くなるので、記事を分けて順番に話しています。
前回はのメンタルコントロールの方法について解説しました。簡単におさらいすると、後悔している未来の自分を想像して、タイマーのスイッチを入れれ自然と集中する!という話でした。
今回は、今すぐに作業に取り掛かれるようになるための習慣の作り方について解説していきます。
・シリーズ最初の解説は↓
・前回の解説は↓
ルーティンに落とし込む
順番を決める
一度習慣にしてしまえば、先延ばしは起きにくくなります。毎日無意識に行われる歯磨き、シャワー、着替えといったものと同じように作業をルーティン化するのです。
そのためには行動する順番をあらかじめ決めてしまいましょう。
例えば、会社に着く→機能やり残した仕事を1つ終わらせる→優先順位リストをチェックする→一番上の作業をする、というふうに決めてしまうのです。
また、この際はとにかく細かいところまで徹底的に刻むと効果が高くなります。
例えば、作業デスクに座る→深呼吸をする→背筋を伸ばす→パソコンを開く→用意しておいた作業をこなす、という感じで細かな動作や当たり前の行動を意識すると良いです。
行動と行動を紐づけする
さらに、順番を決めるだけではなく前後の行動を紐づけるという方法も使えます。
例えば、「仕事に飽きたら必ず散歩に行く→散歩から帰ったら必ずチェックリストを見る」ですとか、「昼ご飯を食べたら必ずメールのチェックをする」という感じです。前後の行動をセット化することで忘れにくくなります。
楽しいことを組み合わせる
音楽を聴く
先延ばしをしてしまうのは作業への興味が薄れていたり、やる気が起きなくて面倒臭くなっているときです。
そこで、自分の好きなことをしてテンションを上げるという方法が使えます。
例えば、単調すぎる事務作業でひどく退屈になってしまう場合には、お気に入りの音楽を流して気を紛らわせるといった感じです。
ご褒美を用意する
他にもやるべき作業を完了した後で、ご褒美となるものを用意しておくのも手です。一つの作業が終わったら漫画を10ページ読んでいいだとか、好きな人に一通だけ連絡を送っていいだとかです。
おすすめは仕事に関連したことを設定することです。
仕事の中でも特に好きなものや特にやりたくないものというふうにランク分けされているのがほとんどなので、この中から一番好きな仕事、もしくは一番楽な仕事をやってもいいというふうに設定すると作業効率が二倍になります。
好きな食べ物で釣る
もうひとつ、ご褒美として好きな食べ物で釣るのもありですが、その際にはカロリーや栄養の偏りが心配です。
場合によっては食べ過ぎになって心理面でも身体面でもマイナスの影響を及ぼしてしまうこともあるので、食べ物をご褒美にする作戦には注意が必要です。
目の前には常に4つの選択肢がある
どんな仕事をするときも、4つの選択肢があります。楽しんで仕事をする、楽しまないで仕事をする、仕事をしないで楽しむ、仕事をしないし楽しみもしない。
この4つの選択肢の中から自分がこれだと思う行動を選ぶのあなた自身なのです。
先延ばししている自分を責めてはいけない
もう一つ大切なアドバイスがあります。先延ばしが起きているからと言って、決して自分を責めないように注意をしてください。
先延ばし癖は、性格が怠惰であったり、意思の弱さとは何の関係もない、とオリバルディア博士は述べています。
ADHDは怠惰なわけではない
ADHDは、実行機能に影響を与える障害のひとつです。自分を責める代わりに、「行動力が問題であること」を受け入れ、その問題について戦略的に対処するように考え方を変えてください。
最後に、先延ばしを防止する方法をまとめて載せておきます。紹介した方法の中にはあなたに合う戦略もあればまったく合わない戦略もあります。
なので、時間をかけて色々と試してみて、これらの中から特に自分に合った戦略を見つけてください。
- 作業目標は小さく分割する
- やるべき作業の優先順位を整理する
- 心から楽しいと感じる作業だけに集中する
- 先延ばししてしまったたときの気持ちを想像する
- とりあえず15分だけ作業する
- やる気がある時間帯に作業する
- 勢いを利用する
- 時間制限を設ける
- 誰かに協力してもらう
- ルーティンに落とし込む
- 楽しいことを組み合わせる
参考論文
ADHD Experts Reveal Their Favorite Ways to Manage Procrastination