- 美女と野獣カップルが生まれる理由
- 友達でいた時間が長いほどカップルになりやすくなる
- 友達から恋人へ発展しやすくなる心理学的な理由
- 恋をする脳みその構造
- 出会ったばかりは相手のことをちゃんと見ない
- 時間が経つにつれて相手のことを見るようになる
- 好きな人と触れ合う時間を大切に!
- 参考論文
似た者同士はカップルになりやすい
一般的に人は自分と同じ魅力度の人と付き合おうとします。
自分と似たような恋愛パートナーを探し求める性質は心理学では同類交配と呼ばれており、世間にイケメンと美女のカップルが多いのはこのためです。イケメンは美女を、美女はイケメンを求める本能をお互いに持っているのです。
もちろん、この同類交配は、あらゆる魅力度の人たちにある性質でして、平凡な顔つきの人は平凡な顔つきの相手を求め、ユニークな人はユニークな人と付き合う傾向があります。
これと似たような心理現象で「類が友を呼ぶ」というものがありますね。似た者同士で仲良くなり、友達になるというものです。
私たちは自分と似たような人たち、つまり同じ共通点を持つ人たちを好意的に評価し近づきたがる性質を持っているので、このようなことが起こります。恋愛の場合は、自信の高さも関係しています。
美女と野獣カップルが生まれる理由
しかし、自分と同じレベルの魅力を持つ相手を好む性質がある一方で、誰もが知っての通り、ルックスが全然似通っていない異性同士で付き合うこともあります。
いわゆる「美女と野獣カップル」ですね。これはいったいどういう理屈で誕生するのかということを今回は説明します。
実は、人間の98%は環境によってパートナーの好みを変えるということもわかっていまして、そうした理由からルックスが不釣り合いなカップルが生まれるケースもよく生まれるということがわかっています。
恋愛は遺伝の影響よりも環境や努力の影響力が大きいのです!つまり、環境を制するものは「高嶺の花」を制することが可能なのです。
友達でいた時間が長いほどカップルになりやすくなる
今回紹介するのは、2015年のアメリカのテキサス大学オースティン校人間開発と家族科学部のポール・イーストウィック、ルーシー・L・ハント、ノースウェスタン大学心理学部のイーライ・J・フィンケル博士らの研究で、まず167組のカップルを集めて実験参加者全員の会話を録画しました。その後、第三者に動画を見せて、すべての参加者たちのルックスを採点してもらいました。
すると、
- 付き合い始めるまでの期間が短いカップルほどルックスのレベルは同じ
- 付き合い始めるまでの期間が長いカップルほどルックスのレベルに差がある
- 美男美女のカップルと不釣り合いなカップルには幸福度の差はない
ということがわかったのです。
この研究結果からわかることは、つまり、付き合う前に友達でいた時間が長くなるほど、ルックスのレベルが不釣り合いなカップルが生まれる確率も上がるのだということです。
自分よりもモテている相手との恋では、長期戦に持ち込むと勝機があるのですね。
このあたりの心理的な法則は、以前に紹介した恋愛心理学の実験結果からも、似たような結論が出ていました。
友達から恋人へ発展しやすくなる心理学的な理由
どうして付き合う時間が長くなるとカップルになりやすいのかと言うと、私たちは他者とコミュニケーションを多く取っているうちに良い印象を相手に与える機会に恵まれるからです。
相手と付き合う時間が長くなるにつれて、出会った頃の最初の印象を超えた独自の印象を育むチャンスが自然とできやすくなります。この独自の印象が、二人の頭の中でラブロマンス的なイメージへと変わるのです。
そしてそのイメージの重みが時間が経つほど増していくのですね。このへんの感覚は、自分が恋に落ちていたときの記憶を探ってみればなんとなく共感できるかと思います。
恋をする脳みその構造
そもそもどうして人と人とが本当に仲良くなるのに時間をかける必要があるのかと言うと、これは私たちの脳みその構造が関係しているのです。
人間の脳みそには実は2種類の判断機能が備わっていまして、日常的にこれらが別々に物事の判断を下しています。
1つ目は「素早く自動的に反応する機能」でしてシステム1ですとか、早い思考ですとか、本能とか、直感などと呼ばれたりしています。
その呼び名の通り、イメージ的には直感そのものです。このシステムによる判断は一瞬で無意識的に行われるために意識的には防ぎようがないのが特徴です。まさに直感的というやつです。
次に2つ目の機能が「注意深く慎重に判断する機能」でして、こちらはシステム2、遅い思考、意識ですとか意思と呼ばれたりしています。
イメージ的には、自覚している自分という感じです。物事を論理的に考えたり理性的に行動するときにはこちらの機能が必要です。
出会ったばかりは相手のことをちゃんと見ない
このように私たちには2種類の思考モードが備わっているのですが、無意識がシステム1で意識がシステム2なのは、実際には私たちがほとんどの判断を無意識で行なっているからです。
順番的には無意識に判断してから意識的に判断するという流れです。意識は無意識を通してからでしか使えないので、システム1は防ぎようのない思考となります。
そして誰かと知り合ってばかりの頃だと、私たちはシステム1の機能だけで相手のことを判断しがちになるということが起きてしまっています。
そこまで重要でない人のことを、私たちは脳みそを使ってまでわざわざ考えたりはしないのです。切ない話なのですが笑。
時間が経つにつれて相手のことを見るようになる
私たちは相手のことを考えるようになるのは、自分に影響を及ぼすくらいに相手がより重要な存在になってからです。これが基本の動作です。
しかし、初対面の相手であっても、友達として付き合う時間を増やすことで相手の存在感が高まります。
すると、システム2である意識的な思考が作動するようになるので、相手の魅力について慎重に判断できるようになるのです。
付き合ってみなければ相手のことはわからないと言われる由縁は、この2つのシステムの違いが関係しているのです。
好きな人と触れ合う時間を大切に!
というわけで、自分にとって魅力度の高い高嶺の花のような存在と付き合いたいと思ったら、いかに友達の期間を長くできるか、コミュニケーションを長く多く取れるか、といったことが重要となります。
そして、よく言われるようにポイントは優しさです。
今までの恋愛に関する心理学をまとめた結論としては、相手が高嶺の花だろうと同じレベルの容姿だろうと、理想の相手とカップルになるためにはその人と付き合う時間が一番重要ということです。
友達の期間が長いカップルほど二人の見た目に差がある
友達の期間が長いほど相手の細かな性格まで見るようになる
逆に最初の頃はきちんと相手のことを見ない
カップルになるためには二人で一緒に過ごす時間が大切
参考論文
Hunt LL, Eastwick PW, Finkel EJ. Leveling the Playing Field: Longer Acquaintance Predicts Reduced Assortative Mating on Attractiveness. Psychol Sci. 2015 Jul;26(7):1046-53. doi: 10.1177/0956797615579273. Epub 2015 Jun 11. PMID: 26068893.