神経症レベルは年齢とともに変化する
今回は神経症的傾向の解説の続きです。
神経症的傾向のレベルが高い人は、どのように対処すればいいのでしょうか。
まずは、自分の性格と言えども時間の経過とともに変化していくことを認識し、理解しましょう。
年齢を重ね、さまざまなライフイベントを経験すると、生物学的な影響があるとはいえ、個人の性格が変化することがあります。
特に神経症的傾向のレベルは年を取るにつれて下がり、メンタルが安定していく傾向があります。これを知っておくだけでも、心配する気持ちが少しは楽になるでしょう。
認知行動療法やマインドフルネスを利用する
しかし、現在すでに神経症的な感情と神経症的な行動に悩んでいるのであれば、心配事を管理するための認知行動療法(CBT)や、感情を管理し今この瞬間にとどまるためのマインドフルネスなどのセラピーが有効となります。
認知行動療法やマインドフルネスはセラピストと一緒に行うものもありますが、自分ひとりで行ってもいいです。
自分でできることとしては、小さなイライラを大局的に見るために日々感謝の気持ちを持つことや、毎日瞑想をするといった方法があります。
悪い人間になるわけではない
神経症的傾向の度合いが高いからといっても、あなたが悪人になるわけではありません。これは非常に大切な考え方です。
神経症的傾向と向き合っていくうえで、自分が悪い人間ではないことを念頭に置きましょう。これもまた、不要な罪悪感を手放す方法の一つです。
神経症的傾向の良い面を見る
もしもあなたが神経症的な行動をとる傾向があるのなら、その状況を受け入れて、その中で最善を尽くすことが一番です。
神経症的傾向のプラス面は、他の人が気づかないところや問題点にも、あなたであるならば敏感に察知し、気づけるということです。
また、あなたは常に他の人に気を配り、相手の気持ちを察しようとする優しい人である可能性も高いです。
イライラしたり不安になっているときには、脳みその前頭連合野という部位が活発に働いています。また一方で、感覚刺激に対する情報も操作しています。なので、集中力が必要な作業をすると今度はそちらに活動コストが持っていかれ、ネガティブな思考ができなくなります。不安になったらプラモをつくろう
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2022年1月10日
神経症的傾向をよく理解して利用する
神経症的傾向が持つポジティブな面と、ネガティブな思考や感情を上手にコントロールするための内面的な作業を組み合わせることができれば、神経症的な行動を最善の方向に導くことができます。
そうすれば、神経症的傾向で自分を損ねてしまうのではなく、自分のために役立てることができるようになります。
別の言葉で言い換えれば、自分の強みを学び、それを生かすと同時に、弱点の影響を軽減するために努力するのです。
参考論文
Widiger TA, Oltmanns JR. Neuroticism is a fundamental domain of personality with enormous public health implications. World Psychiatry. 2017 Jun;16(2):144-145. doi: 10.1002/wps.20411. PMID: 28498583; PMCID: PMC5428182.
https://doi.org/10.1002/wps.20411
Hamilton, J. L., Burke, T. A., Stange, J. P., Kleiman, E. M., Rubenstein, L. M., Scopelliti, K. A., Abramson, L. Y., & Alloy, L. B. (2017). Trait Affect, Emotion Regulation, and the Generation of Negative and Positive Interpersonal Events. Behavior therapy, 48(4), 435–447.