【危ない性格】他人を平気で傷つける冷淡無感情特性について解説

サイコパス・天才
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冷淡無感情特性とは?

 

冷淡無感情特性(Callous-unemotional traits, CU)は、他者を尊重せず軽視や無視をするほか、共感性の欠如や一般的に欠落した感情を反映する持続的な行動パターンによって特徴付けられています。

 

これらの特性が行為障害(Conduct disorder, CD)として表現され、暴力や犯罪などの反社会的行動を起こすこともあります。

 

日本語ではまだ定訳がないので、ここでは「冷淡無感情特性(CU特性)」と呼ぶことにします。

 

冷淡無感情特性には、遺伝的リスク要因と環境的リスク要因の相互作用が関与していると考えられていますが、大きな要因は遺伝的なものです。

 

また、精神障害の一種として、国際医学的に分類されているほか、サイコパスの特徴の一つとしても扱われます。

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冷淡無感情特性の症状

 

冷淡無感情特性のレベルは、「冷淡無感情特性診断(Inventory of Callous-Unemotional Traits)」によって測定されます。

 

診断では、冷淡さ、無配慮、無感情の3つのカテゴリーが調べられます。 

 

  1. 冷淡さ:冷酷な行動、他者への残酷な扱い、または他者の軽視・無視がみられる
  2. 無配慮:他者を消極的に軽視・無視し、向社会的感情の欠如がみられる
  3. 無感情:感情の経験や表現が限定的で比較的少ない

 

つまり、冷淡無感情特性が高い人は、他人の気持ちを考えず、興味がないために仲良くしたいとも思わず、そのために他者をぞんざいに扱います。

 

また、彼らは感情を表したり実際に体験することが少ないのです。こうして見ると、かなりサイコパスっぽい特徴ですね。

 

冷淡無感情特性の4つの特徴

 

冷淡無感情特性には、具体的に以下のような特徴があります。

 

  • 自責の念や罪悪感の欠如
  • 浅薄または欠落した感情(無感情)
  • 冷淡、無慈悲、共感性の欠如
  • 仕事や学校の成績に関心がない

 

彼らは、特に報酬を得るために熱心である場合には、しばしば罰の存在を軽視・無視する傾向があります。

 

つまり、自分の欲しいものを手に入れるためならば、人に嫌われたり法的な処罰をあまり恐れない傾向があるのです。

 

そのため彼らを恐怖で抑制するよりも、より大きな報酬を用意して行動を変えさせるほうが効果的だとされる研究もあります。

 

また、冷淡無感情特性は、良好な知的言語能力と正の関係があることもわかっています。

 

冷淡無感情特性が高い人は言葉を操るのが得意なのですね。これもまたサイコパスっぽい特徴です。

 

冷淡無感情特性が高まる原因

 

神経学的な原因

 

冷淡無感情特性に関する無恐怖症仮説によれば、ストレスホルモンであるコルチゾールの量が少ないと覚醒不足になり、恐れの感情に対する処理に障害が生じることが示唆されています。 

 

さらに、視床下部-下垂体-副腎系の不活性化がこれに加わると、お金が必要だったなどの外的要因がなくても反社会的行動を引き起こすと考えられています。

 

遺伝学的な原因

 

双子を対象とした研究によれば、冷淡無感情特性は遺伝性が高く、社会経済的地位、学校環境、家庭環境などの環境因子とは有意な関係がないことが明らかになっています。 

 

行動に問題を持っていてなおかつ冷淡無感情特性を高いレベルで示す子どもは、0.81という特に高い遺伝率を反映していることもわかっています。

 

これは身長や知性の遺伝率とほぼ同等という高い数値です。

 

さらに、大規模な子どもの集団を対象とした研究では、冷淡無感情特性の遺伝率が60%以上という結果が出ています。

 

もちろん、環境要因も関連があるという指摘もあるのですが、遺伝による影響がかなり大きな精神障害の一つであると言えます。

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参考論文

 

Allen, Jennifer & Bird, Elisabeth & Chhoa, Celine. (2018). Bad Boys and Mean Girls: Callous-Unemotional Traits, Management of Disruptive Behavior in School, the Teacher-Student Relationship and Academic Motivation. Frontiers of Education in China. 3. 108. 10.3389/feduc.2018.00108. 

https://doi.org/10.3389/feduc.2018.00108

Raschle, NM, Menks, WM, Fehlbaum, LV, Steppan, M, Smaragdi, A, Gonzalez-Madruga, K, Rogers, J, Clanton, R, Kohls, G, Martinelli, A, Bernhard, A, Konrad, K, Herpertz-Dahlmann, B, Freitag, CM, Fairchild, G, De Brito, SA & Stadler, C 2018, ‘Callous-unemotional traits and brain structure: Sex-specific effects in anterior insula of typically-developing youths’, NeuroImage: Clinical, vol. 17, pp. 856-864. 

https://doi.org/10.1016/j.nicl.2017.12.015

Pisano S, Muratori P, Gorga C, Levantini V, Iuliano R, Catone G, Coppola G, Milone A, Masi G. Conduct disorders and psychopathy in children and adolescents: aetiology, clinical presentation and treatment strategies of callous-unemotional traits. Ital J Pediatr. 2017 Sep 20;43(1):84. doi: 10.1186/s13052-017-0404-6. PMID: 28931400; PMCID: PMC5607565.

https://doi.org/10.1186/s13052-017-0404-6

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