見知らぬ人を助けていいのかどうか
曖昧な状況下では、こちらからの援助の申し出を歓迎してくれるかどうかを判断するのは難しいものです。
「困っているように見えるけれど、自分が話しかけていいのだろうか?何か手助けになることなどできるのだろうか?」と私たちは人助けに対して不安になります。
これが漠然とした状況であればあるほど、目の前の人が私たちの助けを必要としているのかどうかの判断が難しくなります。
しかし、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのジェームズ・A・ダンガン、デビッド・M・ムンギア・ゴメス、ニコラス・エプリー博士らの2022年の研究によると、援助を受けた人は、私たちが想像しているよりもずっと肯定的に援助してくれた人のことを受け止めてくれることがわかっています。
つまり、誰かの手助けをしたときに、その行為が間違っていたり相手に迷惑に感じられるということは私たちが思っている以上に少なく、それよりも相手に感謝されることのほうが多いのです。
簡単な応援メールでも喜ばれる
ある実験では、学生たちを対象に、応援メッセージを書いてもらい一緒に大学に通う人にメールで送ってもらいました。
メッセージの送信・受信後、送信者と受信者の両者には、そのメッセージをどの程度暖かく、適格で、肯定的であると感じたかを報告してもらいました。
すると、応援メッセージの受信者は、送信者が思っていたよりも、メッセージの内容は悪くなく、より温かく適切であると感じていました。
この傾向は、二人がどれだけ親しいかに関係なく、平均的に見つかりました。
親しさに関係がないというところが良いポイントで、相手との親密度にこだわってまで応援を躊躇する必要はないのですね。
日ごろから社交的で人付き合いが多い人ほど健康で年を取りにくい!ということがわかっています。人との会話が脳みそに良い!という話は有名ですが、最大で20年ほど老化を遅らせる効果があります。すごい!画面の中にお友達がいっぱいいる人は不老不死ですね!
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) February 15, 2022
能力よりも気持ちが大事
別の実験では、対面での感情的なサポートを受けた場合でも、サポートの受け手はサポートを申し出た人が期待していたよりも、より温かく、適切で、肯定的なサポートであると認識していることがわかりました。
さらに、このときサポートを申し出る側は、まず自分の能力が十分だったのかを気にしていましたが、ほとんどのサポートの受け手は相手の暖かさに注目していました。
つまり、実際に助かったかどうかよりも、気にかけてサポートしてくれたことがうれしかったのですね。
というわけで、もしも知り合いや目の前の人が困っていそうだったり、精神的に疲れていそうだったり、緊張していそうに見えたのなら、勇気を出して声をかけてみてください。
このような些細なコミュニケーションであっても、二人の幸福度は大きく上がりますからね。
参考論文
Dungan, J. A., Munguia Gomez, D. M., & Epley, N. (2022). Too reluctant to reach out: Receiving social support is more positive than expressers expect. Psychological Science.