くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

【人生の目標】人生に大きな影響を与える心理的な豊かさについて

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人生をより良くする心理的豊かさ

 

誰もができるかぎり良い人生を送りたいと思っているでしょう。

 

しかし、良い人生とはどのような人生でしょうか?社会的に成功した人生でしょうか?好きな仕事に就いた人生でしょうか?大好きな家族と一緒に暮らす人生でしょうか?

 

バージニア大学心理学部のシゲヒロ・オオイシ、フロリダ大学心理学部のエリン・C・ウェストゲート博士らの研究結果は、心理的な豊かさこそが、真に良い人生に貢献できる資産のひとつであることを示しています。

 

この研究では、心理的に豊かな人生とは、「様々な興味深い経験や視点を変えるような経験によって特徴づけられる人生」だと定義されています。

 

心理的に豊かな人生の特徴とは?

 

心理的に豊かな人生の特徴は、「多様性」、「面白さ」、「視点を変える経験」の3つの要素によって構成されています。それぞれ次のようなものです。

 

  1. 多様性:私の人生は、ユニークで珍しい経験に満ちている。
  2. 面白さ:私はこれまで面白い経験をたくさんしてきた。
  3. 視点の変化:死の直前に、「私は多くのことを見て、学んだ」と言う可能性が高い。

 

こうして見てみるとわかりますが、「心理的に豊かな状態」と「幸福な状態」、または「意味があると感じられる状態」は似ているようで異なります。

 

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人間が歩む3つの人生

 

幸せな人生では、快適さ、安心感、喜びなどが重要とされます。友達や家族と笑いあったり、美味しいご飯をを食べるといった感じですね。

 

意味のある人生では、個人の意義や目的の存在が必要とされます。こちらは、「これを成し遂げるんだ!」といった強い意志や目標をもって社会的な成功を目指すという感じです。

 

つまり、私たちが目指す人生には、「心理的に豊かな人生」「幸せな人生」「意味のある人生」の3つの目標があるのです。

 

どんな性格の人が心理的に豊かな人生を送るのか?

 

心理的に豊かな生活を送っている人には、少なくとも3つの性格的特徴があることがわかっています。

 

好奇心、リベラルな思考、成長志向の3つです。

 

好奇心旺盛である

 

心理的に豊かな人生を送っている人たちは、好奇心旺盛で、型にはまらない態度、芸術的感性、知的好奇心、柔軟性、感情の深さなど、経験に対してオープンな姿勢を示しています。

 

彼らはポジティブなものもネガティブなものも含めて、感情を強烈に体験しています。

 

ただし、激しい感情を経験するだけでは十分ではありません。その感情的な経験について深く考え、それをよく理解しようとする姿勢も必要です。

 

成長志向である

 

個人的な成長、自律性、自己受容、人生の目的、ポジティブな人間関係なども、心理的に豊かな人生と関連しています。

 

研究では、心理的に豊かな生活を送っている人は、いつも同じ人たちと付き合っていたり、人生の1つの領域だけで1つの目標を追求したりしているわけではないことを示唆しています。

 

成長したり経験を積むために、いろんな環境にチャレンジをしていくという感じですね。

 

リベラルである

 

また、心理的に豊かな生活を送っている人は、よりリベラルな傾向があります。

 

幸せで意味のある人生を送っている人は、社会の秩序や現状維持を好む傾向があるのに対し、心理的に豊かな人生を送っている人は、社会の変化を受け入れる傾向があります。

 

変化に対してオープンで、異質なものを受け入れる姿勢が心理的に豊かな人にはあるのです。

 

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心理的に豊かな人生を促進するものとは?

 

もしもあなたが幸せな人生を送りたいと思ったら、お金、時間、人間関係(恋愛だけでなく、広い意味での人間関係)などのリソースがあれば、それらは幸せになるための助けになります。

 

また、意味のある人生を送りたい場合には、道徳観、広い意味での人間関係、そして一貫性を持つことが大切です。

 

しかし、もしも心理的に豊かな人生を送りたいのであれば、好奇心、自由な時間、エネルギー、自発性を持つことが重要になります。

 

 

ネガティブな出来事も心を豊かにする

 

ある種の人生経験は、心理的に豊かな人生と関連しています。

 

たとえば、海外に留学をして学生生活を過ごしたり、日常生活の中で小旅行をしたりすることです。

 

また、困難な出来事やドラマチックな人生経験を積むことも心理的豊かさを持つことに役立ちます。

 

なので、必ずしも良い経験が心を豊かにするとは限りません。

 

大惨事や悲劇を経験した人は、その結果、人生が幸せになったとは言えないかもしれませんが、その経験を踏まえることで心理的に豊かな人生にすることはできます。

 

例えば、離婚や死別は痛みを伴いますが、心理的に豊かになるような新たな視点を得ることもあります。

 

といった感じで、自分がどのような人生を送りたいかで私たちが優先すべき行動や目的は変わってくるのです。幸福や成功と比べると、理解するのが少し難しい概念ですね。

 

心理的な豊かさについての解説はまだ続きますが、長くなってきたので次回に持ち越します。

 

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参考論文

 

Oishi, S., & Westgate, E. C. (2021). A psychologically rich life: Beyond happiness and meaning. Psychological Review. Advance online publication. 

https://doi.org/10.1037/rev0000317