人が幸せを感じるための方程式
今回はポジティブ心理学の中で話題に挙がる幸福の方程式(幸せになるための方程式)について解説していきます。
今回紹介するのは、数多くの心理学の研究からわかっている、私たちが幸福感を感じられる要素で立てられた基本的な方程式です。幸福感が足りない人は参考にしてみてください。
紹介する幸福の方程式は、著名なポジティブ心理学者である、ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン博士やカリフォルニア大学リバーサイド校心理学部ソニア・リュボミアスキー博士らが提唱しているものです。どちらも面白い本を書いている心理学者さんです。
幸せになるための3つのポイント
博士らが見つけた幸せの方程式は次のようになります。
H = S + C + V
このままではどういうことかわかりませんね。
頭から順番に説明しますと、Hは「幸福」、Sは「セットポイント」、Cは「環境」、Vは「自発的な行動」という意味です。
幸福感はセットポイントと環境と自発的な行動の組み合わせで決まるということです。つまり、この3つのポイントをどう増やすのかが重要なのですね。それぞれのポイントと意味を解説していきます。
セットポイント(遺伝)
ここで言われているセットポイントというのは遺伝のことです。心理学の研究では人間の幸福感の50%は遺伝で決まっていると言われていて、この数字は私たちがどれだけ努力をしても後天的には変えることができないものとされています。
明るい性格、おとなしい性格というのが生まれつき決まっているように、幸せの感じやすさも生まれつき決まっているのです。身もふたもない話ですが。
そうなると、努力して幸せになるのはあきらめたほうがいいのか?というともちろんそうではありません。
遺伝(セットポイント)は一つの要素にしかすぎないので、生まれつきこの部分の数値が低い人でも、ほかの部分で努力すれば幸せになれます。
環境
環境というのはその名前の通り、自宅の場所や学校や会社の人間関係といった外的な環境のことを指します。
そしてこの環境の中でも特に重要な要素だとされているのが「上司の性格」と「人間関係」 です。意外にも、上司は幸せの大きな要素の一つのなのです。
そうなってしまうのは、以前にも言いましたが、私たちは自分で決めたことを自分の力で実行できているという自己コントロール感が幸せにとっても重要だからです。詳しくは仕事の幸せに関する心理学の記事を読んでみてください。
他にも、通勤時間が短い、騒音が少ないといったことも大事なポイントです。
自発的な行動
自発的な行動とは、自分の強みや好きなことを仕事や生活にうまく活かせているかどうかということです。
セリグマン博士は、美味しいものを食べたり、ゲームで遊んだりといった一時的に感じられる喜びを積み重ねるよりも、自分の強みを活かしている状態のほうが幸福感は高くなるとアドバイスしています。
自分の得意なことや好きなことをして、性格を偽ることなく生きていくことが幸せを多く感じるために重要なのですね。当たり前のように聞こえますが、なかなかできないことです。
幸せを感じにくい人は環境と自発性を高めよう
以上の4つがポジティブ心理学が見つけた、私たちが幸せになるための方程式でした。
遺伝の問題はどうしようもないので、遺伝的に幸せを感じにくい人は、騒音が少ない場所に引っ越したり、近くの職場を探したり、自分の強みを活かせるように得意なことや好きなことを伸ばして、幸福度を高めていきましょう。