幸せになるための2つの大きなポイント
私たちが幸せを感じられるようになるためには、ある2つの要素が大きく関係しているということが心理学の研究の結果から分かっています。
その2つの要素とは、 人間関係と人生の目標です。人生の目標というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、どのような人も生きている以上は、人生の目標や生きている間に何かを達成したいという欲求を持っているのです。
そして目標達成を支えてくれるのは人間関係です。だから私たちは良い人間関係と自分の価値観に沿った人生の目標を持つことで、大きな幸せを感じられるようになるのです。
人生の中で幸せを感じられる出来事とは?
アメリカ、イリノイ大学のスー博士は、115名の成人男女を2年ものあいだ追跡調査し、どういう出来事があると私たちは幸福を感じるのか、また逆にどういうことが起きると私たちは不幸だと感じるのかを調べました。
すると、幸せを感じる出来事のうちの上位3つが人間関係に関する出来事だったのです。
幸せになるためには人間関係が重要
その出来事について詳しく書くと、「親しい友人ができた」ことで幸せを感じられた人たちが90%、「恋人と深い付き合いをしている」ことで幸せを感じられた人たちが82%いました。
これはそこまで驚くべき結果ではないかと思います。心を通わせた親友や大好きな恋人がいれば、誰でも幸せになれそうですものね。大抵の人は休日に誰かと遊ぶとなれば、長く付き合っている友達かそのとき付き合っている恋人を選びますが、これも自然な選択の結果なのですね。
恋人よりも親友を持つことの方が大事
ただ面白い結果になったのが、愛しい恋人との関係よりも仲の良い親友との関係の方が私たちの幸福感をより上げてくれるということです。
これは多くの人にとっても意外な結果ではないでしょうか。幸せに対するイメージで言うと、結婚した相手や恋人と良い関係を持つ方が幸せになれそうですよね。
だから私たちは結婚して温かい家庭を築こうとしたり、恋人候補になる好きな人を探しに様々な出会いを求めようとしているわけです。
しかし実際は逆で、私たちの幸福度に影響するのは恋人よりも親友の存在だったのです。「持つべきものは友達」という言葉がありますが、これは科学的にも本当のことだったんですね。
親友が重要な心理的理由
確かに恋愛関係にある人とは心が冷めてしまえばそれで関係は終わりますが、それに対して友人関係というのはいつまでも長く続くものであり、気遣いが多いというよりも心理的にリラックスした関係です。
親友というと同性であることが多いので、そのために異性の恋人よりもお互いの立場が似通っていて気持ちも通いやすいからという理由もありそうですね。
新しい人との出会いが幸せをもたらす
そしてさらに面白いのが、次の結果です。なんと「新しいグループに参加した」ことで幸せを感じられた人たちは67%もいたのです。
最近オンラインサロンやオフ会などのネットで繋がるコミュニティでの活動が話題になっていますが、これも心理学的には正しいことだったのですね。
確かに新しく人と出会い繋がることで知らなかったことを知ったり、周りの人たちに触発されて好奇心が芽生えたりしますから、それだけで日常に刺激が戻ってくるのです。
相手と親しくなくてもいい
この研究結果の良いところは付き合う相手が特に親しい間柄でなくてもいいというところです。新しいグループに参加して人間関係の輪を広げるだけでも、私たちの幸せに大きく影響するのです。
つまり、それだけハードルも低く、実行しやすい事柄なのです。とりあえず積極的に興味のあるコミュニティに繋がってみればいいのですから。
もちろん大切な恋人や親友が作れたら最高ですが、そうでなくても仕事や経験の異なる色んな考えを持った人たちと出会ったり、ちょっとした知り合いや友人たちと定期的に触れ合うことで私たちは幸せを感じられるということは覚えておきましょう。いつ何時、別れが訪れるとも限りませんからね。
人との触れ合い、それ自体が心にとって大切なことなのです。
人が不幸になる3大ネガティブな出来事
逆に不幸を感じる出来事の上位3つは、「キャリアや人生の目標で悩む」81%、「失恋した」55%、「太った」52%、という結果になりました。
人間関係についての不幸な問題は失恋だけなのが意外ですね。仕事や家族や友人関係では、私たちはそこまで深く落ち込んだり不幸になることがないのです。
失恋はやっぱり不幸になる
仕事上の人間関係がストレスになることはあるかもしれませんが、不幸だとか落ち込むといった感情とは違うのですね。
逆に言うと、恋愛感情、特に失恋はそれくらい私たちの心にとって大きな影響を持っているということです。失恋してひどく落ち込んでしまうのも理解できますね。失恋して落ち込むことも誰もがしょうがないと考えますし、時間が経って傷が癒えるのを待ちます。
ただ、人の目を気にするという意味では「太った」ことも人間関係の問題とも言えそうです。
太っていると不幸になる
単純に太っている自分の姿が嫌という場合もありますが、人が肥満になると自信を失うことも確認されているので、人間関係でも悩みを抱えてしまいやすくなるのかもしれません。
というわけで、残念ながら肥満状態は心身ともに悪影響なんですね。
太ってしまう→自信がなくなる→人付き合いが悪くなる・不満やストレスが溜まるようになる→不幸を感じやすくなる、という感じです。心の健康のためにも体型維持、ボディメイクは重要なのです。
何のために生きるかという人生の目標が必要だった
ただ、その2つの問題も、不幸部門の1位である「人生の目標で悩むこと」と数値が30%近くも離れています。
若い人に限らず、自分の人生や生き方について悩む人は本当に多いのです。これもなんとなく世間的なイメージと合致しますね。
人生の問題で悩みやすくなっている
最近はキャリアにしても働き方にしても結婚などの人生全体に影響を与える生き方にしても、多様性が出てきてそれゆえ自分が本当は何をしたいのかという選択に迷ってしまうことが多くなってきています。
さらにはネットが発達したおかげとSNSの登場で、好きなことを仕事にしている人や「好きなことをやろう」というようなワードが頻出するようになりました。そういったメディアに出てくる言葉の影響も相まって、自分の人生について思い悩むことが増えてきている可能性もあります。
寿命も延びてきていますし、歳を取っても新しい挑戦をする機会はいくらでもあります。それゆえに悩みやすいのです。
人生の方向性を決めないと不幸になる
「自分の人生をどう生きるか」ということが私たちの悩みや悲しみといったネガティブな感情を一番大きく左右しているのです。
この悩みを解決するためには自分と向き合って、自分の価値観を確かめる必要があります。これは他の人には任せられない作業なので自力で何とかする必要があります。
幸せを増やして、不幸を取り除こう
今回の心理学研究の話をまとめると、人間関係を良好にできる人は幸せになれて、なおかつ人生の目標を持ち、それに向かって突き進んでいる人たちは不幸にもならないということです。
幸せを増やすことと不幸を減らすことは同じようで違う道のりなので、人生を楽しむためには両者へのアプローチが必要です。
研究結果が示すように人間関係に不自由しなくても、人生の目標を持てない人はどこかで悩んでしまうので、周りの人たちとコミュニケーションを図るとともに自分が人生にどんな意義や価値を感じているのかを考え、理解することが大切です。
そしてその価値観に従って正直に生きることです。