くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

軽い有酸素運動をするだけでも長生き人間に!!

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健康に最適の運動量とは?

 

「どのくらい運動をしていれば健康になれるのか?」というような疑問は様々な調査や研究で調べられています。

 

そのようにして見つかった、一般的に推奨されている運動量の中でも基準となるのは、WHOが示している以下のようなガイドラインです。

 

  • ウォーキングぐらいの中等強度の有酸素運動(軽めの運動)なら週に150~300分
  • または、ランニングぐらいの高強度の有酸素運動(強めの運動)なら週に75~150分
  • 少なくとも中等強度以上での筋力トレーニングを週に2回

 

年齢の違い、妊娠期間、身体障害や病気の有無によって多少の変化はありますが、日本を含めて多くの国では基本的にはこの数字を最低水準の運動量として考えられています。

 

なので、まずはこちらの数字を参考に運動をするのが好ましいでしょう。

 

激しい運動と軽い運動の健康効果は同じか?

 

しかし、できるだけ楽をしたいのが人間の本能です。特に運動が苦手な人は運動する時間が少ない方がうれしいですよね。

 

そうなると、「軽い運動を150分/週にする」のと「強い運動を75分/週する」のでは、健康に対する効果は同じなのか?という問題が重要になってきます。

 

軽い運動が好きな人は軽い運動だけをしていた方が運動嫌いにならずに済みますし、多少キツくてもすぐに終わる運動の方が好き!という人は、なるべく負荷を強くしてさっさと運動量を稼ぎたいと考えますよね。

 

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有酸素運動の激しさはあまり影響が大きくない

 

そこで、2020年に行われたテキサス大学やトゥルク大学による調査では、WHOの運動ガイドラインで得られる健康効果をそれぞれの負荷ごとに調べられました。

  

これはアメリカの18歳以上の大人479,856人分のデータを分析した大規模な観察研究で、「運動量と死亡リスクの関係」を調べたものです。

 

すると結果は、「激しい有酸素運動を75分/週にする」と「軽い有酸素運動を150分/週にする」場合では、健康効果はほとんど同じであることがわかってのです。

 

時短をしたい人は激しい運動をしよう!

 

厳密には、より激しい有酸素運動をする方が死亡リスクをより低くする効果がありましたが、軽い有酸素運動を長時間行った場合でも、ほぼ同等の効果が認められました。

 

こうしてみると、意外と運動量は少なくなくても良いみたいですね。常に体を動かしていなければならない!というわけではないのです。

 

軽い運動でも長時間行えば、高強度の運動を短時間行った時と同等の健康効果を選られるので、自分の好きな方を選んでも問題ありません。

 

筋トレを組み合わせると最も長寿になれる!

 

さらに、週に2回は筋トレ+1日30分の軽い運動(ガーデニング、ウォーキング、ダンスなど)を週に5回行う、または1日15分の激しい運動(ランニング、サイクリング、競技スポーツなど)を週に5回行うと、最も長生きになる!ということもわかりました。

 

WHOに推奨されている身体活動のガイドラインと同じレベルの有酸素運動と筋力トレーニングの両方を行う人は、そうでない人に比べて、全死亡リスクが40%もの低下を示した!とのことで、筋トレと有酸素を組み合わせるのが一番良かったのです。

 

筋トレよりも有酸素運動の方が大事

 

しかし、推奨されている有酸素運動だけを行っていた場合でも全死亡のリスクが29%減少し、筋力トレーニングだけを行っていた人の場合では全死亡のリスク11%減少していました。

 

ということで、有酸素運動と筋トレとを個別に比べた場合には、違いがはっきり出ています。

 

一応、どちらの場合でも死亡率は大きく下がりますが、どちらか一方の運動習慣から始める場合には、筋トレよりも有酸素運動を先に始めた方が健康効果が出やすいです。

 

また、十分に運動をする時間がない場合にも、筋トレよりは有酸素運動を優先した方がいいと結論付けられています。

 

数字を見ても、それだけで3倍も結果が違いますからね。

 

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上位15%の健康習慣

 

ちなみに、推奨される有酸素運動と筋力トレーニングの両方をしていた人たちは全体の15.9%という割合でした。

 

つまり、有酸素運動と筋トレを組み合わせてちゃんと運動をするだけでも全人口の上位15%ほどの健康な人になれるのです。やらない手はないですね。

 

日本では欧米よりも推奨される運動量が多い

 

ただし、ここでひとつ注意があります。

 

実は日本の厚労省が提示している「運動の推奨量」はWHOのガイドラインよりも多く、「ウォーキングくらいの身体活動を毎日60分(歩数だと 8,000〜9,000 歩/日)」というふうになっています。

 

この数字は、なんとアメリカの推奨レベルの2倍!もありまして、これはもともと日本人が欧米人よりも運動量が多いからという理由があるからのようです。

 

なので、日本人の我々は、できれば1日8,000〜9,000 歩を目安に散歩・ウォーキングするというふうに考えておきましょう。

 

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参考論文

 

Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et alWorld Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviourBritish Journal of Sports Medicine 2020;54:1451-1462.

http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2020-102955

Recommended physical activity and all cause and cause specific mortality in US adults: prospective cohort study

https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2031

Bartlett JD, Close GL, MacLaren DP, Gregson W, Drust B, Morton JP. High-intensity interval running is perceived to be more enjoyable than moderate-intensity continuous exercise: implications for exercise adherence. J Sports Sci. 2011 Mar;29(6):547-53. doi: 10.1080/02640414.2010.545427. PMID: 21360405.

https://doi.org/10.1080/02640414.2010.545427