恋愛言語について
恋愛感情を表現する方法や、それの受け取り方は人それぞれに異なっています。
愛の言葉をささやかれることが好きな人もいれば、黙って手をつなぐことが好きな人もいます。プレゼントが嬉しい人もいれば、何もなくても一緒にいる時間が大事な人もいます。
このような愛情を伝えるコミュニケーション方法を「恋愛言語(love languages)」と言います。
5つの愛情表現
ノースウェスタン大学のゲリー・チャップマン博士は、臨床的な観察研究に基づいて、人々が愛情(コミットメント)を示すための方法を特定しています。
チャップマン博士の恋愛言語仮説によると、愛を伝える方法は次の5つです。
- 肯定的な言葉を送る(褒め言葉や感謝の言葉を口に出して伝える)
- 質の高い時間を過ごす(パートナーと集中した時間を一緒に過ごす)
- 贈り物をあげる(愛情の視覚的シンボルを示す)
- 奉仕活動(必要な仕事をしている相手を助ける)
- 身体的接触(手をつなぐことから性交まで幅広く触れ合う)
見ての通り、どれも基本的なことですが、親密な人間関係、特に恋愛関係を築くうえで重要なことです。

好みの愛情表現は人それぞれ
ただし、5つの恋愛言語のうち、どれを好むのかは人によって異なり、相手の好みの伝え方をすると、より二人の関係が深まることがわかっています。
100 組の異性カップル(年齢17 ~ 58 歳、31の国籍)を対象にしたワルシャワ大学社会科学部のオルハ・モストヴァ、心理学部のマチェイ・ストラルスキ、ジョージ・メイソン大学心理学部のジェラルド・マシューズ博士らの2022年の実験では、恋愛言語が一致するパートナー同士は関係満足度、性的満足度が高い傾向がありました。
さらに、パートナーが好む方法で愛情を表現した人は、パートナーのニーズをあまり満たしていない人に比べて、より高い関係満足度を経験し、より高い性的満足度を得ていました。
パートナーもそうですが、パートナーが好む方法で愛情表現することは自分自身にとっても良い効果をもたらすのです。
恋愛関係が深くなる理由
パートナーを喜ばせることで自分が幸せになるのは、パートナーを喜ばせることでカップルの雰囲気が良くなるからです。
これをパートナー効果と呼びます。
つまり、パートナーの好む恋愛言語を話すことがより質の高い関係につながり、カップル内に前向きな感情的な雰囲気を作り出すことになるのですね。
また、当然ながら、自分の好きな愛情表現をすることも満足度を向上させます。こちらはアクター効果と呼びます。
カップルが仲良しでい続けるためのコツは、お互いの努力や成功について報告して褒めあうことです。「迷子の子どもを助けてあげたんだ」「えらいね」というような感じでもいいので、相手がポジティブなことをしていたらきちんと褒めて、何かの挑戦に成功したら祝ってあげることが大切です。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) November 27, 2021
カップルで恋愛言語を学ぼう
ちなみに、研究では個々の共感能力は関係がないことがわかっていまして、重要なのは後天的にカップルがお互いの愛情表現について学んでいるかどうかということでした。
というわけで、好きな人との恋愛関係を長続きさせたい人は、ぜひ相手の好む恋愛表現を学び、積極的に使用していきましょう。
もちろん、自分の好みの恋愛言語を相手に伝えることも忘れずに。

参考論文
Mostova O, Stolarski M, Matthews G. I love the way you love me: Responding to partner’s love language preferences boosts satisfaction in romantic heterosexual couples. PLoS One. 2022 Jun 22;17(6):e0269429. doi: 10.1371/journal.pone.0269429. PMID: 35731784; PMCID: PMC9216579.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0269429
愛を伝える5つの方法 Kindle版
Gary Chapman (著), ディフォーレスト千恵 (翻訳)