くるちょろ心理学研究所

心理学・医学・経済学の研究論文の解説と考察をしています

【外向性】外向的な人だけがおこなう、他の人と違うこととは?

 

 

外向的な人は職場で評価されやすい

 

私生活だけではなく職場においても、外向的な性格は有利なほうに働きます。

 

いくつかの研究によると、内向的な同僚に比べ、外向的な人はしばしば質の高い社会的相互作用を行い、他の人と信頼関係を築くのに役立っていることが分かっています。

 

このような社会的能力は、新しい仕事のためのネットワーク作りのほかに、昇進のために上司の目に留まる際にも、外向的な人に際立った優位性をもたらします。

 

つまり、外向的な人のほうが上司からより良い評価を得やすく、昇進もしやすいのです。これは一般的にもイメージしやすい話ですね。

 

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間違った外向的な振舞い

 

しかし、科学者たちは、この「外向的な優位性」をもたらす行動を正確に特定するまでには至っていません。具体的にどのような行動が外向性を感じさせるのかまではわかっていないのですね。

 

たとえば、一般的によく言われるような、視線、笑顔、開放的なしぐさなど、社会的つながりに関連する非言語的行動に関しては、外向的な人と内向的な人の間に一貫した違いがあることは、これまでの研究でも明らかにされていません。

 

意外にも、内向的な人も外向的な人と同様にアイコンタクトをし、笑顔を見せ、興味関心を示しているのです。

 

もちろん、これらは人付き合いに関しては効果的なアドバイスなので、まったく無意味と言うわけではありません。

 

しかし、こと外向的に見えるかどうかについてはこれらの行動は科学的には関連がないのです。

 

正しい外向的な人の振舞い方とは?

 

そこで、デューク大学の心理学者であるコリーナ・ダフィーとターニャ・チャートランドの2015年の研究では、なぜ、そしてどのように外向的な人が社会的に優れているのかを説明する理由を特定しました。そのカギとなるものは擬態です。

 

擬態は、人が無意識のうちに周囲の人の身振り、話し方、動きなどを真似ることで起こります。つまり、モノマネです。

 

心理学の研究では、他人の行動を模倣することが、2人の間にポジティブな感情を増大させる強力なツールであることは昔から知られていました。

 

有名なもので言うと、鏡のように相手の行動を真似するミラーリングと呼ばれる行動です。

 

ミラーリングテクニックは、心理学の世界でラポールと呼ばれる親密な人間関係を形成するために用いられることがありますが、これが外向性にも関係しているのです。

 

模倣行動について調べた実験

 

ダフィーとシャルトランド博士らは、職場や学校のようなお互いが仲良くすることが有利に働くような状況では、内向的な人よりも外向的な人がより多くの模倣行動をとり、最終的に社会的な絆を築く際に「外向的優位性」につながると仮定しています。

 

外向的な人は、他の人と仲良くなりたいと思ったときに、より多くの模倣を行い、この模倣が外向性とラポールの関係を仲介するのです。

 

例えば、105人の参加者を対象にしたある実験では、大学生に単語ゲームをしてもらいました。

 

このとき、ひとつのグループには相手とよく協力してゲームに参加するように促し、もうひとつのグループには特に何も指示しませんでした。

 

学生はテーブルを挟んでもう一人の参加者(研究者の用意したサクラ)と向かい合わせに座り、二人はタイマーが鳴るまで順番に単語ゲームをするよう指示されました。

 

このタスクの間、サクラ役の参加者は、髪や顔に触れ続けるなど、容易に模倣できる一連の行動をとってもらいました。

 

二人のやりとりは隠しカメラで撮影され、研究者はそのビデオを使って、参加者が相手の髪や顔を触るマナー行為をどの程度模倣したかを分析しました。

 

人が外向性を発揮する状況とは?

 

単語ゲームを行った後、参加者は外向性と内向性の性格特性を調べるためのテストを行いました。

 

すると予想通り、外向的な人は内向的な人よりも相手の行動を真似たのですが、それは適切な状況下でのみ起こる行動でした。

 

課題の相手と協力するよう促されなかった場合、外向的な人と内向的な人との間で模倣行動に差はありませんでした。

 

しかし、友好的であることが目標達成に役立つと言われた場合、外向的な人は内向的な人よりも有意に多くの模倣行動を行いました。

 

 

利益が生まれるときだけ外向的になる心理

 

これらの研究の結果から、外向的な人は、そうすることが非常に適応的で目標達成に役立つときに最も他人の真似をすることがわかりました。

 

彼らは、特に提携する目標があるときに、信頼関係を築くための方法として真似をするのです。

 

したがって、外向的な人は内向的な人よりも常に社会的に巧みなわけではなく、そうなるように動機づけられているときにのみ巧みに行動するのだと研究者は結論付けています。

 

外向的な人は状況によってその外向性を利用するかどうかをうまく調整していて、いつでもどこでも無差別に外向的なわけではないのです。面白い話ですね。

 

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参考論文

 

Duffy, K. A., & Chartrand, T. L. (2015). The extravert advantage: How and when extraverts build rapport with other people. Psychological Science, 26(11), 1795–1802. doi: 10.1177/0956797615600890

https://doi.org/10.1177/0956797615600890