外向性の高さと特徴的な行動
今回はビッグファイブ性格特性のなかの「外向性」について続きを解説をしていきます。
外向性は私たちの行動にどのような影響を与えるのでしょうか。
いくつかの心理学研究の結果によると、外向性が高いことが多くの行動と関連しているのに加え、個人のキャリアの選択にも関与していることがわかっています。
つまり、外向的な人かどうかで、その人に適している、興味が持てる仕事が変わってくるというのです。
外向的な人はリーダーのように動く
たとえば、これまでの研究によると、外向性はリーダーシップのある行動と関連しています。
外向性の高い人は集団の中で自己主張する傾向があるので、他の人たちと一緒に働くときにリーダーシップを発揮することが自然と多くなるのです。
さらに、外向性の高い人は、人生に対して非常に前向きで、親しみやすさを持ち、エネルギッシュで、物事の適応能力が高いとよく言われます。
外向的な人はリーダーになりやすい
こうした行動的特徴を持つため、外向的な人はリーダーやグループのまとめ役などの役職に就くことが多く、自然と社会的な立場も高まりやすい傾向があります。
実際によく話す人のほうがリーダーになりやすい!という研究もあります。
さらに、2021年のクイーンズランド工科大学のアンドリュー・スパーク博士の実験でも、依然として外向性の高さとリーダーとの因果関係が確認されています。
しかし、最近では、外向的な人よりも内向的な人のほうがリーダーとして向いている可能性や、従業員が持つ性格特性とのバランスによってリーダーに向くタイプは変わるという説も示唆されています。
外向性が高い人に向いている仕事
これらの性格的な特徴から、外向性の高い人は、特に他人との交流を多く必要とする仕事に向いています。
たとえば、教師、営業、マーケティング、広報、政治などが、外向的な人が向いている仕事として挙げられます。
人付き合いが好きな外向的な人には、会話や対面でのコミュニケーションが自然と発生する職場環境が向いているのですね。
優秀なリーダーになれる6つの条件(アメリカの研究)
・頭の回転が早い
・理解力がある
・誰とでもお喋りできる
・ユーモアがある
・積極性がある
・新しいことが好きリーダーでなくてもこれらの能力があると人生が楽しくなります。1つでも、少しでも、意識してできるようになればプラスです。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2018年12月11日
外向性が低い人に向いている仕事
一方で、内向的な人はあまり人付き合いを好まないので、独立した仕事を多くこなすような仕事が理想的です。
たとえば、ライティング、コンピュータープログラミング、エンジニアリング、会計などは外向性が低い内向的な人に向いている仕事です。
一人で黙々と作業をするような仕事が内向的な人には合っているのです。
しかし、とはいえ、最近の研究では内向的な人のほうが共感力などコミュニケーションに関連するスキルに優れていることもわかっているので、人と交流する仕事が向いていないとも言いきれません。
むしろ疲労がたまらない程度に自分の気持ちをうまくコントロールするスキルを持っているのなら、内向的な人のほうが外向的な仕事や組織のリーダーに向いている可能性が高いです。
参考論文
Spark, Andrew & O’connor, Peter & Jimmieson, Nerina & Niessen, Cornelia. (2021). Is the transition to formal leadership caused by trait extraversion? A counterfactual hazard analysis using two large panel datasets ☆. The Leadership Quarterly. 10.1016/j.leaqua.2021.101565.
https://doi.org/10.1016/j.leaqua.2021.101565
McCabe, Kira O., and William Fleeson. “What Is Extraversion For? Integrating Trait and Motivational Perspectives and Identifying the Purpose of Extraversion.” Psychological Science, vol. 23, no. 12, Dec. 2012, pp. 1498–1505, doi:10.1177/0956797612444904.