髪を染めるだけでチップが増加する
以前に「注文したメニューを繰り返して確認するだけでチップの金額が増える!」という心理テクニックについて解説しましたが、今回の稼げる心理テクニックはもっと簡単です。
なんと、ただ髪の毛の色をブロンド(金髪)になるように染めてあげればいいのです。
2014年にホーリーファミリー大学のカオ・ジアン、メリッサ・ガルム博士らは、9人の女性を対象に髪の色が与える社会的な心理効果を調べる研究を行いました。
アメリカのフィラデルフィアにあるスポーツバーに勤めるウェイトレスが、髪色をブルネットからブロンドに30日間髪を染めた場合に、より高い頻度でより多くのチップを得られるかどうかを実験したのです。
すると、髪色がブロンドになったウェイトレスは全員チップを多く受け取るようになり、平均して5%増加(最大で7.94%の増加)するという結果になりました。
金髪から黒髪で収入が低下
一方で、髪色をブロンドからブルネットカラー(簡単に言うと黒髪)に染めた女性は、収入が大きく下がることはなかったものの、金髪の心理効果がなくなったためか受け取ったチップの金額が減少してしまいました。
実験に参加した女性によると、成果は髪を染めてから1週間以内に感じることができたと言います。
お客さんの態度の変化も主観的にかなりはっきりと感じられるようですね。
この調査は、実験参加者は少ないものの、2,000時間の労働時間・300種類のシフト・8000ものテーブル対応など合計で1,600種類のデータを集めて分析したため、統計的には有効であるとジアン博士は述べています。
また研究結果は、シフトの時間と曜日のほか、実験参加者の年齢、教育レベル、GPA(学業成績)、性格、肥満度、身長、配偶者の有無、目の色、ウェイトレスとしての経験の長さを制御してあとでも残りました。
金髪にするだけでチップが増えた心理的理由
過去の研究では、金髪の女性は知性が低いとみなされるバイアスがあったため、同情されてチップの金額が増えた可能性があります。
アメリカなどでは有名な話ですが、「金髪女性=頭が悪い」という偏見があるのです。もしかすると日本でも金髪の女性、特にギャルっぽい人は頭が悪いと一般的に思われがちかもしれませんね。
また、女性が金髪であることと男性に知覚される美しさの間には関連性が見つかっており、単に美しいと思う女性により気前よくチップを渡したという理由も考えられています。
いずれにせよ、理由ははっきりとはわかっていないものの、どうやら人は金髪の女性に対して優しくなる心理があるようです。
アメリカ人10,000人を対象にした研究では、生まれつきブロンド髪の人の方が、そうでない人よりも、IQが高いという結果が出ています。恋愛心理学でも白人でブロンドの人が一番モテるという結果が出ています。もしかするとブロンドを持っている人は生存に有利な遺伝子も持っているのかもしれません。
— 心理学を解説する ちょっぺ〜先生 (@kruchoro) 2020年4月13日
金髪に染める費用対効果は23倍!
博士によると、費用と利益の面を考慮してみても、金髪になるために定期的にかかるコストに対して23倍の費用対効果が見込めると述べています(月に1回100ドルかかるとしても、1年で約2,300ドルになって返ってくる計算)。
金髪に染めるだけなら月に1万円もかからないので、チップがもらえる仕事についている女性は試してみる価値ありですね。
ただし今回はアメリカで行われた実験なので、この内容がそのまま日本人にも当てはまるかどうかはわかりませんが、たとえばナイトクラブやガールズバーなどの環境ではより有効かもしれません。
一般的に見ても女性は男性よりも美容やオシャレにお金をかけていますが、これは男性よりもそれらの費用対効果が高いからという可能性がありますね。
参考論文
Jiang, Cao and Melissa Galm. “The economic benefit of being blonde: A study of waitress tip earnings based on their hair color in a prominent restaurant chain.” (2014).